4月18日
携帯を見たら、着信あり。誰やろと思って、伝言メモを聞くと、塾の先生から。珍しいな、何やろ。声を聞いた感じでは多分あんまりええことじゃないな。
早速、塾に電話をかける。先生が出た。声が暗い。具合良くないんかなと心配になる。すると、今まで僕の家族と飲んでたとのこと。えっ?!そりゃ、珍しい。っていうか、親父とおかんと飲み屋に行ったことって、僕、無いで。親父さんも元気になったなあという先生の話を聞きながら、それはありがたいことやけど、伝言メモの様子からやと、それだけじゃないやろと思いつつ、話を続けていると、果たしてそうだった。前田のお父さんがガンで亡くなられたのだ。以前、前田本人から病気の事は聞いていた。父親の病状を淡々と話していた。その様子から、前田がすでに覚悟はしている感じはあった。そうか、とうとう来てしまったか。その時、柄谷行人が親友である中上健二に対して書いた追悼文を思い出した。中上もガンで亡くなっており、ガンについて柄谷はこう言っている。
ガンは教育的である。本人にとっても、周囲の者にとっても。この長い過程を経験することは、死についての生半可な観念を解体する。
この文を読んだのはかれこれ2年前になる。僕の母親が子宮ガンで入院していた時だ。母親のことを考えていた時、この文章が目に入った。結果として、僕の母親は子宮を全摘出することで助かったのだが、その時、僕はこう思った。「死」っていうのは身近なものだなって。普段、元気な僕らはそれに気づかないだけであって、実はいつでも自分の近くにある。そして、それは、ふとした拍子に現れてくる、決定的な形で。自分の一番身近な人がそうなるまで、そんなこと思いもしなかった。幸い、僕の母親は元気になってくれたけど、あの時、僕は確かに死を意識した。そして、その意識は消えずに、今も僕の心のどこかにある。とはいえ、今、前田がどんな気持ちでいるかはわからない。僕としては、ただただお父さんのご冥福を心からお祈りしたい。
携帯を見たら、着信あり。誰やろと思って、伝言メモを聞くと、塾の先生から。珍しいな、何やろ。声を聞いた感じでは多分あんまりええことじゃないな。
早速、塾に電話をかける。先生が出た。声が暗い。具合良くないんかなと心配になる。すると、今まで僕の家族と飲んでたとのこと。えっ?!そりゃ、珍しい。っていうか、親父とおかんと飲み屋に行ったことって、僕、無いで。親父さんも元気になったなあという先生の話を聞きながら、それはありがたいことやけど、伝言メモの様子からやと、それだけじゃないやろと思いつつ、話を続けていると、果たしてそうだった。前田のお父さんがガンで亡くなられたのだ。以前、前田本人から病気の事は聞いていた。父親の病状を淡々と話していた。その様子から、前田がすでに覚悟はしている感じはあった。そうか、とうとう来てしまったか。その時、柄谷行人が親友である中上健二に対して書いた追悼文を思い出した。中上もガンで亡くなっており、ガンについて柄谷はこう言っている。
ガンは教育的である。本人にとっても、周囲の者にとっても。この長い過程を経験することは、死についての生半可な観念を解体する。
この文を読んだのはかれこれ2年前になる。僕の母親が子宮ガンで入院していた時だ。母親のことを考えていた時、この文章が目に入った。結果として、僕の母親は子宮を全摘出することで助かったのだが、その時、僕はこう思った。「死」っていうのは身近なものだなって。普段、元気な僕らはそれに気づかないだけであって、実はいつでも自分の近くにある。そして、それは、ふとした拍子に現れてくる、決定的な形で。自分の一番身近な人がそうなるまで、そんなこと思いもしなかった。幸い、僕の母親は元気になってくれたけど、あの時、僕は確かに死を意識した。そして、その意識は消えずに、今も僕の心のどこかにある。とはいえ、今、前田がどんな気持ちでいるかはわからない。僕としては、ただただお父さんのご冥福を心からお祈りしたい。