「J2でも1年出続けたことがない」欧州1年目20歳MFに現地興奮・・クラブ最高7億円移籍金を「もたらす」【現地発コラム】
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https://news.goo.ne.jp/article/football_zone/sports/football_zone-533277
※以下、引用です。
NECの佐野航大は岡山から欧州挑戦 兄は佐野海舟
ある日、NECナイメヘンの取材を終え、ホッフェルト・スタディオンを出ようとしたところ、サポーターから呼び止められた。
「佐野航大は最高だ。彼は本当に色々なポジションをこなせるし、テクニックだけでなく守備の強度も高い。近い将来、航大はNEC史上最高額の移籍金をもたらすだろう」
クラブ記録は今季冬の移籍市場、マグヌス・マットソンをコペンハーゲンに売却したときの425万ユーロ(約7億円)。昨夏、J2のファジアーノ岡山から推定45万ユーロ(約7600万円)の移籍金でオランダに渡り、NECと5年の長期契約を結んだ19歳(当時)はシーズン後半から右肩上がりの成長曲線を描くと同時に、何倍もの価値を持つ移籍市場の注目株になった。
「ボランチが一番好き」と語る20歳の佐野だが、NECではボランチに加えて左右ウイング、トップ下、試合展開によってはウイングバック、サイドバックと多機能ぶりを発揮する。直近の5月23日ゴー・アヘッド・イーグルス戦(1-2)では左ウイングとしてスタート。後半、自身のゴールで1-0とすると、ベンチから右ウイングバックを命じられ、やがて1-1になると今度は右ウイングとしてプレーした。他の試合でNECに退場者が出た時、自らの判断で左サイドバックのポジションに入ったこともある。
主に2列目、時にボランチでスタートする佐野は、そのなかでも左ウイングのポジションにつくことが多い。やはり彼は左サイドを得意とするのか? それとも右ウイングに適性があるのか?
「左なんですかね? でも、左だとビルドアップが停滞した時に下がっちゃう癖があるんです。右のほうがサイドに張っていられる気もするし……。でもボールを受けた時は、左のほうが右足でボールを持てるからやりやすい。右ウイングなのか左ウイングなのか、俺も良くわからない。本当、どっちなんだろうという感じです」
ただし、4-2-3-1基調のNECはボール保持時にダイヤモンド型の中盤に可変し、佐野はワイドのポジションから中に絞って“エキストラなMF”に姿を変える。
「中盤は楽しいですね。自分はウイングではなくミッドフィルダー、“8番(攻守のつなぎ役、ダブルボランチの一角など)”のイメージ。(NECのシステムは)自分を出すことができます」
しかも、シーズンラストの3試合で毎試合ゴールを決めるなど得点力も付いてきた。NECのFW小川航基は「オランダのアタッカーはみんなシュートを撃つ。航大の岡山時代はよく分からないですが、彼はそんな(自らシュートを打ちに行く)感じじゃなかった。しかし、なんか自分ですごく行くようになりましたね」と述懐する。こうして佐野はオランダ挑戦1年目で公式戦6ゴール3アシスト(リーグ4ゴール3アシスト、プレーオフ1ゴール、KNVBカップ1ゴール)の数字を残した。
「海外1年目で、しかもシーズン最初の頃は出られずにハーフシーズンで6点というのは悪くはないですが、もっとアシストを伸ばしていきたい。両方できる選手になりたいなと思っているので満足していません」
ハーフシーズンで6ゴール――。オランダリーグ前半戦17節のうち、佐野はすべて途中出場で7試合プレーした。1試合辺りの出場時間はわずか14分。それが後半戦は全試合で先発し、1試合平均82.5分と一気に出場時間を伸ばし、4ゴール3アシストを記録した。
「KNVBカップ決勝戦(対フェイエノールト、0-1)、プレーオフ(UEFAカンファレンスリーグ出場権を争い準決勝で敗退)に出られて、滅多にすることのできない経験ができたオランダ1年目でした。前半戦、試合に関われず、試合に出ることの喜びをまた再確認することもあった。でも、僕はJ2でも1年を通じて試合に出続けたことがない。来季ここで1年通じてプレーして、始めの試合と最後の試合のパフォーマンスに(悪い意味で)差があったらダメなので、シーズンを通じていいパフォーマンスを出しつつ、10ゴールを目指してやりたい。練習でコツコツやることが1番だと思うので、100%で常に挑んでもっと成長した姿をピッチでお見せします」
「多機能性という武器を活かしてぜひ出場したい」とパリ五輪出場を虎視眈々と狙う若武者は「ゆくゆくはA代表に入って、お兄ちゃん(佐野海舟)とボランチを組みたい」と夢見ている。
FOOTBALL ZONE編集部
佐野航大がオランダの1部ECナイメヘンに移籍するというニュースが飛び込んできたのが昨年の8月14日のことでした。折しもチームは低迷の時期で大宮戦で終了間際に追いつかれてのドローという落ち込んでいた中での移籍発表でした。
出典:https://www.fagiano-okayama.com/
佐野航大選手の移籍に際して
岡山県出身の佐野航大選手が、ヨーロッパのクラブからオファーが来る選手に成長し、ファジアーノ岡山に関わる皆さまだけでなく、岡山県の皆さまが世界で活躍する地元出身の選手を応援できる一歩を踏み出したことを大変嬉しく思っています。
幼少から高校までこれまで所属したチームで築き上げた土台の上に、ファジアーノ岡山で過ごした1年半の経験を積み重ね、加入当初からヨーロッパでプレーすることを夢見ていた一人の青年の夢が叶う後押しをしたいと思っております。
改めて、自分自身の努力で夢を掴んだ佐野選手には敬意を表します。これからヨーロッパを舞台に「佐野航大」の名前をとどろかせてくれる日々が、とても楽しみでなりません。次の夢も自分自身の努力で掴んでくれると信じています。
今後も夢を後押しできるクラブでありたいと思いますし、クラブを離れる選手が、岡山に戻りたい、またファジアーノでプレーしたいと思えるようにクラブとしても成長してまいります。
航大、応援しています。そして、いつかまた一緒に戦いましょう!
そして、残りのシーズンについて、昨日の結果も大変悔しく厳しいものとなりましたが、可能性のある限りチームには誰一人昇格を諦めている人間はいません。
出番に恵まれなかった選手はチャンスです。チャンスを掴むのも自分次第。チーム、個人の結果に拘って戦ってくれるはずです。
リーグ戦残り12試合、佐野選手も一緒に喜び合えるようJ1昇格を目指して全身全霊で戦っていく所存です。
株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ
代表取締役社長 北川真也
彼への一番のはなむけはチームがJ1に昇格することだと昨年8月15日のブログにも書きました。
その後、ファジは4連勝してプレーオフ圏内を確保できたかに見えましたが10月に入って失速。J1昇格を逃しました。
そんなこんなで彼のオランダでの活躍を期待しながら見送ったものです。
佐野航大の才能は誰もが認めるところですが、実績はありませんでしたからクラブでの活躍に加えて、クラブが認めてくれるなら日本代表としてパリ五輪に出ることが、存在を日本国内だけでなく世界中に知らしめることに繋がります。
よくファジサボは『岡山から世界へ!』を呪文のように唱えますが、それは岡山という地元に対する自信のなさをも示していると感じています。ミッチェル・デュークがカタールW杯で大活躍をしたのを我がことのように喜んだのも、岡山の存在を世界に知らしめるきっかけになってほしいという気持ちの表れでしょう。
北川さん(現会長)も述べられていたように、佐野航大という名前が世界的に認められて、名実ともにスターへの階段を上り切った後、彼が日本に戻ってこようと思った時に「帰って活躍したい」と思えるクラブにファジがなっていないといけません。その為に、彼の世界での活躍を楽しみにするとともに、成長した彼が戻ってこられる場所になっているようにファジアーノ岡山が飛躍したいものです。