日中経済協会の渡里杉一郎会長らは、財界・経済界の「戦争責任」を反省し、謝罪、賠償せよ

2005年06月17日 13時13分25秒 | 政治
年1回は首脳の相互訪問を 日中経済協会が意見書 (共同通信) - goo ニュース
 
 日中経済協会の渡里杉一郎会長(東芝相談役)が16日、反日デモが相次ぐなど悪化している最近の日中関係について、「未来に向けて日中経済の相互連帯を発展させよう」と題した意見書を発表した。
 しかし、この意見書を読む限り、渡里杉一郎会長をはじめ日中経済協会の経営者たちが、いかに無責任な経済団体であるかを露呈している。意見書は「教科書問題を含めて互いの歴史認識に対する理解を深める作業に着手するよう」求めているけれど、「教科書問題」に関しては、執筆者の歴史観や思想・信条にかかわるものであり日本国憲法が「思想・信条の自由」と「言論・出版、その他一切の表現の自由」を認めている以上、文部科学省が事前検閲することはできないし、経済団体がいくら騒いでも、執筆者に圧力をかけることはできない。仮に教科書執筆者が明らかに「皇国史観」や「マルクス史観」に基づいて執筆した教科書を「検定申請」した場合、検定官が多少の修正・訂正を求めるとしても、全面書換えまでは指示できないであろう。もちろん、これらの教科書を現場の教師が選び各教育委員会が選定するかどうかは別問題である。
 日中経済協会が、まず行わなければならないのは、財閥をはじめ経済人が大東亜戦争にいかに関わり、日本の「帝国主義」と「植民地主義」にどのような役割を果たし、中国、韓国、その他、アジア諸国の人々に対して、「蛮行」を繰り返してきたかを問い、「自己批判」し、「反省」し、「謝罪」することである。大東亜戦争が、軍部のみの暴走によって遂行されたわけではないからである。
 明治維新以降、「富国強兵」のスローガンを掲げ、日本の資本主義の進歩、発展を目指して活動してきたのは、三井、三菱、住友、安田、日産、大倉、浅野、野村、鴻池などの財閥ではなかったのかを問えば、財界・経済界の戦争責任は明らかになる。
 いまさらマルクスの「資本論」を持ち出すまでもなく、資本主義は、産業資本主義から、高度な金融資本主義に向けて進歩、発展していく過程で、必然的に「帝国主義」と「植民地主義」を生み出してくる。日本は封建体制から資本主義体制に入った途端、この「宿命」から逃れることはできなきなった。
 資本主義が「帝国主義」と「植民地主義」を避けられないのは、「労働コスト」の削減、低減が絶対に求められるたろである。この原理は、現代資本主義においても避けては通れない。その証拠に海外の進出する企業のほとんどが、「安い労働力」を求めているではないか。「安い労働力」の「極限」にあるのが、「奴隷」である。かつて、英国やフランスが、アフリカの黒人を捕まえて、アメリカに奴隷として売り、「生かさず、殺さず」の最低の生活状態に置いて綿花栽培などの重労働させた歴史が、よく物語っている。
 この経済原理は、社会が資本主義体制を取り続ける限り変わることはないのである。
 日中経済協会ばかりでなく、日本経団連など経済団体は、小泉首相に苦言を呈する前に、財界・経済界の先人たちが行い、いまだに自己批判も、反省も、ましてや謝罪も、賠償責任も果していないその無責任さを問わなくてはならない。
 朝鮮半島、中国、台湾などから強制連行してきて、重労働させ、数え切れない人々を死に追いやったり、逃亡を図ろうとした人々を銃殺したりした残虐な蛮行を繰り返してきた責任は、財界人、経済人にあったことを忘れてはならない。軍部がいちいち命令して、死なせたり、殺したりしたわけできない。
 戦争責任は、それを指導した軍人のみにあるのではなく、現場で蛮行を行ったり、行わせたりした財界人、経済人にある。それに対して「知らぬ半兵衛」を決め込むことは許されないのである。
 日中経済協会の渡里杉一郎会長(東芝相談役)が「未来に向けて日中経済の相互連帯を発展させよう」と題した意見書を発表するのは、構わないけれど、それならば、日中経済協会として、大東亜戦争における財界人と経済人の「帝国主義」「植民地主義」の責任と反省と謝罪と賠償責任をしっかり果たすための決意と実際の具体的な行動計画を示すのが、何より先決である。小泉首相を責めることによって、自らの責任逃れをすめことできない。
 また、日本資本主義の中核を担っている財界、経済界のなかにいる日中経済協会は、これから未来にわたって、「帝国主義」「植民地主義」とは無縁な経済活動を続けて行けるかどうかを検討すべきである。「安い労働力」を求める余り、「奴隷」をつくってはならなのである。
 さらに日中平和友好条約には、日中両国が「覇権主義」的な行動を行うことを禁止しているが、最近の中国共産党一党独裁の北京政府が、「国際覇権戦略」を展開しつつあることについて、日中経済協会は、「これは日中平和友好条約の覇権条項に反しているので、止めるように」と厳しく抗議するべきではないか。
 中国共産党一党独裁の北京政府に対して「ごますり」をしていれば、いくらでも儲けられるという安易な考えでは、日本民族のためにはならない。北京政府のご機嫌伺いに夢中になっていると、逆に国民のナショナリズムを呼び起こし、かえって社会不安を招く結果になる。財界人、経済人と言えども、日本国民の間から噴出の兆しが見えている「ナショナリズム」への配慮も必要であることを肝に命ずるべきである。
 日本という国家は、「天皇制イデオロギー」の下、しっかりした「思想」を守り、警察や自衛隊、海上保安庁によって「治安」が保たれてこそしっかりと「安寧」を維持できる。その意味で、    日中経済協会の渡里杉一郎会長(東芝相談役)らは、「企業利益」のみに基づいて、小泉首相にもの申す身勝手を深く反省するとともに、「中国贔屓の姿勢」を印象づけて、無用な社会不安を駆り立てる不用意な行動は慎むべきである。


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