日本道路公団をめぐる「政・官・業・学癒着」にメスを入れる公正取引委員会と東京高検の捜査に期待する

2005年06月30日 18時51分56秒 | 社会
道路公団部長ら参考人聴取 橋梁談合で東京高検 (朝日新聞) - goo ニュース

 東京高検が29日、鋼鉄製橋梁工事をめぐる談合事件で、日本道路公団本社や元公団理事の自宅などを独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で家宅捜索した。東京高検は、「官製談合」の可能性があるとみて、公団側の全容解明に全力を上げているという。
 この事件は、「政・官・業・学癒着」のいわば「橋梁版」である。こんな形でしか、「政・官・業・癒着」の構造にメスを入れられないというのも情ない話ではあるが、「検察の意気込み」に期待したい。
 小泉構造改革は、政治構造改革、行政構造改革、経済構造改革、産業構造改革と重層的な日本の構造を根底から覆して、21世紀に耐えうる日本を築き上げようとしてきた。だが、「官僚」の激しい抵抗と、自民党政治家のいわゆる「抵抗勢力」に阻まれて、改革が中途半端な状態に止まっている。
 政治構造改革もいい加減に済まされているけれど、それにも増してひどいのが、行政構造改革である。橋本龍太郎元首相は、22省庁を「1府12省庁」に数を減らしたものの、実態は何も変わっていない。それどころか、「焼け太り」になって、官僚たちは、ほくそ笑んでいるのだ。規制緩和も前川レポートが示していたものとは程遠く、大して進んでいない。学校、病院の規制緩和も進まず、「株式会社」が自由に設立できる状態にはない。
 「公社・公団」は昭和13年4月1日に公布された「国家総動員法」の下で、戦争遂行のための手段の一環として設立された「政府の下請け機関」だった。国家総動員法は、国民経済・生活を官僚統制の下に置き、統制に関する権限を政府に委任することを規定し、同年5月5日施行された。
 国家総動員法は 敗戦後、廃止されたが、「公団」も速やかに廃止されるべきだったにも関わらず、「経済統制」の考え方と組織はそのまま残り、逆にどんどん増殖して行った。民営化されたのは、国鉄と電電公社などのごく一部であった。小泉首相が、郵政民営化に熱心なのは、この意味で当然であった。
 とくに「国家総動員法」体制の残滓と尾てい骨を残している「公団」はいま直ぐにでも、全廃すべきである。
 こうした構造改革は、本来ならば政治家主導で構造改革すべきところであるが、それができない政治家はだらしがない。官僚の巧妙な言い訳に丸め込まれて、改革は、遅々として進んでいない。特殊法人の改革がその典型であり、「独立法人」という看板を塗り替えただけで、誤魔化されている。
 そんな矢先に、公正取引委員会と東京高検が、頑張り、「政・官・業・学癒着」の実態に切り込んだのである。
 事件に関係している企業は、みな超一流企業ばかりである。公正取引委員会が告発したのは、
 ①横河ブリッジ
 ②三菱重工業
 ③石川播磨重工業
 などであった。これらの企業に日本道路公団からの「天下り」が要所要所に配置され、「談合」を繰り返していたというから、呆れてしまう。
 政治や官僚にできないなら、公正取引委員会と東京高検に今後とも期待するしかない。
 できれば、せっかく三菱重工業や石川播磨重工業などの「軍需産業」の名前ができたのであるから、「防衛庁・自衛隊」との癒着関係にもメスを入れてもらわなくてはならない。防衛庁・自衛隊のOBが多数これらの大企業に「天下り」して、戦闘機や艦船、ミサイルなどの発注をめぐり「談合」を続けているからである。
 ちなみに、国土交通省の関係で言えば、現在「都市再生機構」に名前を変えているかつての住宅・都市整備公団にもメスを入れてもらわなくてはならないだろう。都市再生機構が東京都港区青山3丁目に所有している広大な土地の「売買」をめぐり、自民党政治家もからんで、「不明朗な関係」が取り沙汰されている。

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