参院選で業界団体の大半が中立化、菅民主党と谷垣自民党のどちらが本当の勝ち馬になるか静観している

2010年06月24日 12時09分39秒 | 政治
◆参院選挙が6月24日公示され、17日間の選挙運動期間を経て、7月11日投開票される点。争は、すでに周知のように「消費税アップの是非」となり、「沖縄普天間基地の辺野古移設」は、争点にはならない。選挙結果によっては、菅直人首相は引責辞任に追い込まれる。また、結果如何にかかわらず、民主党は、9月の代表選挙を前に、最大派閥の小沢派と菅首相らの反(非)小沢グループとが壮絶な権力闘争を繰り広げて分裂し、やはり分裂する自民党を巻き込んで政界大再編へとダイナミックに動くことになる。
◆朝日新聞の6月24日付け朝刊は、大変面白い記事を1面から2、3、4、5、39面にわたって掲載している。1面は「業界 地方は中立化」「民主支持 広がらず 中央方針と食い違いも」というタイトルを付けて、日本歯科医師会、日本医師会、農協グループ、土地改良組合、建設業協会、トラック協会、商工会の政治団体の政党支持状況を調査してまとめている。
◆これら業界団体は、従来、自民党支持基盤であった。民主党の小沢一郎前幹事長が、幹事長室に「陳情の一元化」までして、「自民党はがし」を進めていた。これに対して、自民党は、検察権力やマスコミを前面に立てて、「政治とカネ」をめぐり小沢前幹事長を執拗に攻撃し、ついに鳩山由紀夫前首相ともどもダブル辞任に追い込むことに成功した。この結果、小沢前幹事長は、業界団体の「自民党はがし」を徹底できず、なおかつ、菅首相、枝野幸男幹事長らは、「自民党はがし」にまったく関心もやる気もなく、それどころか、政策調査会を復活させて、陳情のルートを複雑化させ、業界団体への威嚇力を低下させてしまったのである。これが参院選挙の比例代表区の勝敗に影響し、業界団体の地方組織の大半が「中立方針」を相次いで打ち出したため、ある意味で民主党の圧勝を遠ざけ事態を招いてるいるとも言える。
◆業界団体は、民主党が長期安定政権を維持できるだけの政権担当能力を持っているのか、自民党が次期総選挙で政権復帰するのか、はたまた、政界大再編が起こるのか、しばらくこの「合戦」を静観し、最後に「本当の勝ち馬」に乗ろうとしているとも言える。つまりは、少なくとも菅首相がこれまでに示してきた勝敗ライン「54議席」が危うくなっていると感じているということである。これらの情勢からみて、今回の参院選挙は、岐路に立っている日本がこれからどちらの方向を選択していくのかをある程度定める重要な選挙になる。
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福田博幸氏の最新刊に思いがけず碩学・佐藤慎一郎先生に再会する思い

2010年06月24日 11時49分12秒 | 政治
◆日新報道(遠藤留治社長)から福田博幸氏の最新刊「中国の日本乗っ取り工作の実態」と題する著作が届いた。早速、拝読した。「まえがき」のなかで、「恩師である故・佐藤慎一郎先生には・・・」という記述に思わず、懐かしい人に何年かぶりにめぐり合ったような感動を覚えた。と同時に佐藤慎一郎先生に対して私と同じような感情を抱いている人がいることを知り、驚きであった。まずは、「まえがき」の肝要部分を引用させてもらおう。
◆「中国の文化大革命当時、マスコミや多くの学者達は、こぞって中国の文革を絶讃していた。そのような世相の中で、恩師である故・佐藤慎一郎先生は、毎年、香港へ出かけ、大陸から鮫の泳ぐ揚子江へ飛び込み、命がけで大陸を逃れて香港へ泳ぎ着いた難民達からコツコツと大陸の実態を聴きとり、調査をしていた。学生だった私は、日本のマスコミ報道とは全く異なる中国大陸の悲惨な実情を、つぶさに聴かされたものだ。
 その後、卒業と同時に放送局へ入社、駆け出し記者として、マスコミへのサイドで、田中内閣の誕生、日中国交締結を体験することとなったが、その一方で、故.佐藤慎一郎先生から、報道されない真相について、こと細かに解説してもらったことを覚えている。
 だが、その頃のマスコミ界は、左翼思想全盛期で、中国批判は勿論、中国の手先となっていた左派系労組批判さえも許されない職場環境にあった。
 中国の対日諜報工作は、この三〇年間、着々と進行してきた。多くの疑問を感じてきた現象も、短期的な視野では解明できなくても、歳月を経て、長期的視野でみると、不思議なほど、工作の足跡がはっきりと見えてくるものだ。
 それにしても日本人は、余りにも現実の中国について"無知"であり、中国を支配している中国共産党の諜報工作に対して"無防備"すぎる。」
◆佐藤慎一郎先生は、明治38年3月、東京に生まれ 、青森県師範2部卒、満州国大同学院勤務などを経て、戦後は、拓殖大学海外事情研究所に勤務し、昭和51年3月に定年退職してからは、自民党本部はじめ、全国各地で講演活動をされた。漢学及び中国情報の古今希なる碩学であった。
 私は、佐藤慎一郎先生の晩年、友人の紹介で知己を得て、東京都北区飛鳥山の旧渋沢栄一邸で開かれた佐藤慎一郎先生の講義を拝聴したり、杉並の先生の自宅を訪問して、奥様のおもてなしを受けながら、ご高説に耳を傾けたりした。また、蔵書のなかから大切にされていた書籍を拝読したりもした。そのなかから、伊藤肇氏が「帝王学」をテーマにした書籍、しかも、佐藤慎一郎先生に贈呈したサイン入りの書籍を拝借するなど、楽しいひと時を過ごすことがことができた。その後、日中関係について、改めてお話しを聞きに、伺いたいと思っていた。だが、雑事に紛れて、ついにその機会を得ないまま時が無為に過ぎているうちに、佐藤慎一郎先生は、他界されてしまった。手元には先生を慕うファンたちが発刊した「佐藤慎一郎選集」があるのみである。
◆しかし、福田博幸氏の最新刊「中国の日本乗っ取り工作の実態」には、佐藤慎一郎先生から聞き逃した数多くの情報がふんだんに記述されており、これからの日中関係を考えるうえで、大いに役立つ秀作である。
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