◆西郷隆盛翁の「租税を薄くして民を裕にするには、即ち国力を養成する也」という言葉を再び取り上げてみよう。
菅直人首相は、財政再建策と景気政策とを組み合わせた「第三の道」を標榜している。「第一の道」は、公共事業中心の経済政策、「第二の道」は、「行き過ぎた市場原理主義」といし否定し、これらとはまったく歩もうとしている。「第三の道」を理論づけているのが、プレーンの一人である小野善康大阪大学教授(2月26日付けで内閣府参与に就任)という。 精緻な数学モデルを特徴する経済理論家で知られている。金融政策を使わない財政に重点を置くオーソドックスなケインジアンに近い。増税して公共投資をしても経済効果があるとするケインズ・タイプの「均衡乗数」を武器に理論展開する。これにすっかり虜になった菅首相は、「増税しても使い方を間違わなければ景気は良くなる」と言い張っている。しかし、この経済理論は、かなり現実離れしていると言わざるを得ない。所得階層の低い人たちの生活を圧迫するという強い副作用があるからである。
◆先行すべきは、西郷隆盛翁が言うように「国力を養成すること」である。しかるに、菅首相は、公共事業中心の経済政策や「市場原理主義」を排除して、医療、介護、福祉、それに環境、観光によって経済成長を図ろうとしている。
しかし、この「第三の道」理論は、大きな間違いを冒している。「第一の道」である公共事業中心の経済政策と、「第二の道」である「市場原理主義」が経済成長に有効な機能を果たしてこなかったのは、それら自体に原因があったからではない。海外からの圧力によるダメージが余りにも大きく、効果が目立たなくなり、無力に感じられたにすぎず、それでも経済・景気の下支えとして立派に機能を果たしていたことを見逃すべきではない。止めていたらもっと危機的状態に陥っていたと知るべきである。
◆海外からの圧力とは、米国からの圧力である。
第1は、米国レーガン大統領-中曽根康弘首相時代に、低金利政策を要求されたうえ、貿易黒字減らしを求められる。これに応ずるべく、「プラザ合意」によって始められた外国為替市場操作とその結果である急激な円高が起こした日本から米国への巨額資金の還流。日本繊維産魚の経営者が「血の犠牲」を担わされる。
第2は、米国レーガン大統領-竹下登首相時代に、再び黒字減らしを要求され、日本が導入に応じた日経平均株価TOPIXを先物で売買する「裁定取引」(デリバティブのはしり)にサーキットブレーカーがセットされておらず、約40兆円が米国に流出。日本人投資家の多くが、バクチ経済の犠牲となる。
第3は、バブル経済崩壊後の大不況下、米国クリントン大統領-細川護煕、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗の各首相時代に、超低金利政策を求められ、さらに金融・証券・保険市場を開放する日本版金融ビッグバンの断行を求められる。その極め付けが、ペイオフであった。東邦生命がGEキャピタルに、山一証券がメリルリンチに、日本長期信用銀行がリップルウッドホールディング(ゴールドマンサックスの子会社)に奪い取られている。
第4は、米国ブッシュ大統領―小泉純一郎首相時代に、郵政民営化が図られ、350兆円資産が、シティグループやゴールドマンサックスに狙われて、投資市場を介して奪い取られる。
第5は、米国の不動産投資基金(リート)が東京都心一等地の不良資産を大量に買い占めて、再建し売却して、巨利を得て次の儲け口を求めて立ち去る。
第6は、2008年9月15日のサブプライムローン破たんによるリーマンショックの影響により、日本の金融機関は、みずほグループ以外は、細切れのサブプライムローンを組み込んだ証券をほとんど買っていなかったにもかかわらず、世界的な信用不安がメーカーにも及び、深刻な打撃を受ける。
第7は、米国シティグループ立て直しに必要な公的資金の調達の必要から、米国は、菅直人政権に消費税アップを要求、5兆円~10兆円の上納を強要してきているという。
◆日本は、景気浮揚のためにも財政出動と金融出動という二つの手段を放棄するわけにはいかないのである。そもそも「第三の道」のみでは、景気浮揚の力は弱い。
菅直人首相は、財政再建策と景気政策とを組み合わせた「第三の道」を標榜している。「第一の道」は、公共事業中心の経済政策、「第二の道」は、「行き過ぎた市場原理主義」といし否定し、これらとはまったく歩もうとしている。「第三の道」を理論づけているのが、プレーンの一人である小野善康大阪大学教授(2月26日付けで内閣府参与に就任)という。 精緻な数学モデルを特徴する経済理論家で知られている。金融政策を使わない財政に重点を置くオーソドックスなケインジアンに近い。増税して公共投資をしても経済効果があるとするケインズ・タイプの「均衡乗数」を武器に理論展開する。これにすっかり虜になった菅首相は、「増税しても使い方を間違わなければ景気は良くなる」と言い張っている。しかし、この経済理論は、かなり現実離れしていると言わざるを得ない。所得階層の低い人たちの生活を圧迫するという強い副作用があるからである。
◆先行すべきは、西郷隆盛翁が言うように「国力を養成すること」である。しかるに、菅首相は、公共事業中心の経済政策や「市場原理主義」を排除して、医療、介護、福祉、それに環境、観光によって経済成長を図ろうとしている。
しかし、この「第三の道」理論は、大きな間違いを冒している。「第一の道」である公共事業中心の経済政策と、「第二の道」である「市場原理主義」が経済成長に有効な機能を果たしてこなかったのは、それら自体に原因があったからではない。海外からの圧力によるダメージが余りにも大きく、効果が目立たなくなり、無力に感じられたにすぎず、それでも経済・景気の下支えとして立派に機能を果たしていたことを見逃すべきではない。止めていたらもっと危機的状態に陥っていたと知るべきである。
◆海外からの圧力とは、米国からの圧力である。
第1は、米国レーガン大統領-中曽根康弘首相時代に、低金利政策を要求されたうえ、貿易黒字減らしを求められる。これに応ずるべく、「プラザ合意」によって始められた外国為替市場操作とその結果である急激な円高が起こした日本から米国への巨額資金の還流。日本繊維産魚の経営者が「血の犠牲」を担わされる。
第2は、米国レーガン大統領-竹下登首相時代に、再び黒字減らしを要求され、日本が導入に応じた日経平均株価TOPIXを先物で売買する「裁定取引」(デリバティブのはしり)にサーキットブレーカーがセットされておらず、約40兆円が米国に流出。日本人投資家の多くが、バクチ経済の犠牲となる。
第3は、バブル経済崩壊後の大不況下、米国クリントン大統領-細川護煕、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗の各首相時代に、超低金利政策を求められ、さらに金融・証券・保険市場を開放する日本版金融ビッグバンの断行を求められる。その極め付けが、ペイオフであった。東邦生命がGEキャピタルに、山一証券がメリルリンチに、日本長期信用銀行がリップルウッドホールディング(ゴールドマンサックスの子会社)に奪い取られている。
第4は、米国ブッシュ大統領―小泉純一郎首相時代に、郵政民営化が図られ、350兆円資産が、シティグループやゴールドマンサックスに狙われて、投資市場を介して奪い取られる。
第5は、米国の不動産投資基金(リート)が東京都心一等地の不良資産を大量に買い占めて、再建し売却して、巨利を得て次の儲け口を求めて立ち去る。
第6は、2008年9月15日のサブプライムローン破たんによるリーマンショックの影響により、日本の金融機関は、みずほグループ以外は、細切れのサブプライムローンを組み込んだ証券をほとんど買っていなかったにもかかわらず、世界的な信用不安がメーカーにも及び、深刻な打撃を受ける。
第7は、米国シティグループ立て直しに必要な公的資金の調達の必要から、米国は、菅直人政権に消費税アップを要求、5兆円~10兆円の上納を強要してきているという。
◆日本は、景気浮揚のためにも財政出動と金融出動という二つの手段を放棄するわけにはいかないのである。そもそも「第三の道」のみでは、景気浮揚の力は弱い。