大阪府の橋下徹知事が制定を目指す「教育基本条例」は危険、教育委員会は今のままでよい

2011年10月03日 00時33分00秒 | 政治
◆大阪府の橋下徹知事(「大阪維新の会」代表)が、教育委員会をめぐり、大きな間違いを犯そうとしている。それは、「教育基本条例」を制定した「教育の中立」を揺るがそうとしているということだ。「大阪維新の会」が作成した「教育委員会制度を根底から問う条例案」は、大阪市議会で否決されたが、府議会は、「大阪維新の会」が過半数を占めており、可決成立する可能性が大だ。11月には、府知事選挙と市長選挙のダブル選挙が行われるので、この問題が争点になる。
 全国的に教育委員会が形骸化しているのは、事実であるけれど、だからと言って、「教育委員会制度を根底から問う」からには、それなりのしっかりした信念を持って臨まなくてはならない。それは、「教育委員会」が、保守勢力と革新勢力(過激派は、革命勢力)との激しい陣取り合戦の場であるからだ。「子どもの教育」ではなく、「教育現場を思想教育」、言い換えれば、「洗脳教育の場」として、政治闘争の戦場の1つとしか考えられていないのである。
 しかし、橋下徹知事が意欲を燃やす「教育委員会制度を根底から問う条例案」が、可決成立したとしても、万が一、大阪府政が後に「革新府政」に政権交代した場合、今度は、逆に「革命教育」を大々的の進めていく突破口と口実を与えてしまう危険がある。このことを覚悟しておかなければなにないのである。
◆実は、「教育の中立」という言葉は、いかにも中立公平を守るための法律用語に聞こえるが、これほど政治的な言葉はない。保守勢力が、教育の場から「革新・革命勢力」を排除する目的で編み出したものであったことを忘れてはならない。
 このことを理解するには、戦後、GHQ(連合国軍最高司令部)が断行した「日本の民主化」の1つに「教育の民主化」があった。その大きな柱として米国流の「教育委員会制度」を導入させた。具体的には、そこで文部省が1948年、教育委員会法によって創設した教育委員会である。地方自治体の長から独立した公選制・合議制の行政委員会で、予算・条例の原案送付権、小中学校の教職員の人事権を持ち合わせていた。このなかで特筆すべきは、「教育委員の公選制」だった。
 ところが、共産党など革命勢力が党員多数を都道府県・市町村の「教育委員」に当選させて、教育の場での洗脳教育により、日本での共産主義革命を成功に導こうとした。日教組も、共産党・社会党系の教職員組合員を動員して、選挙活動を激しく展開した。そうしたなかで、共産党は、徳田球一らの極左冒険主義者が火炎瓶闘争を繰り広げて、警察権力と激しく衝突、加えて、米ソ冷戦が深刻になり、米国は、日本列島を自由主義体制を守る最前線基地と位置づけて、「赤化革命」の防止に懸命になっていた。
 日本の保守勢力も、教育委員会が、共産党に占領されて、教育現場が共産主義教育による洗脳の場と化するのを恐れた。このため、保守勢力は、1956年6月2日、参議院本会議場に警官隊500人を投入して、地方教育行政法を成立させた。この法律には、①教育委員会に党派的対立が持ち込まれる弊害を解消するため、公選制の廃止と任命制の導入②教育長の任命承認制度の導入③一般行政との調和を図るため、教育委員会による予算案・条例案の送付権の廃止などが盛り込まれた。この結果、教育行政に対する首長の影響力が増すことになったのである。
 さらに1970年代、都道府県知事が任命する教育長人事について、事前に文部大臣が候補者を文部省大臣室に呼んで面接するようになっていた。文部省は、本来、都道府県教育委員会に対する指導・助言機関であるに過ぎないのに、これは明らかに越権行為であった。
 私は、文部省記者クラブに所属していて、この事実をキャッチして、当時、内藤誉三郎文相に直接取材して、事実を確認したうえで書いた記事が、毎日新聞1面トップを飾った。後に、小泉純一郎元首相が進めた「構造改革・規制緩和策」のなかで、「文部大臣の承認」は、廃止されている。
◆ともかく教育委員の公選制の廃止と任命制の導入によって、「教育の中立」という言葉が「魔よけ」となり、「革命勢力」が排除され、日本の国体である「天皇制」が護持され、かつ「天皇制イデオロギー教育」「国旗日の丸掲揚、国歌君が代斉唱」もよく行われるようになった。
 しかし、共産党が教育委員会や教育現場に対する「拠点経営」の意欲を消失させているわけではない。
 東京都内では、練馬区、港区、杉並区、中野区で闘争を継続、中野区では、区長に教育委員候補者を推薦、助言する「教育委員準公選制」を条例化して、教育委員会に食い込もうとして、文部省と激突した。「ミスター日教組」の異名を取った日教組の槇枝元文委員長(社会党系、戦前は陸軍憲兵)も、中野区に乗り込んで、「教育委員準公選制」を調べたところ、共産党が主導しているのを目の当たりにして、逃げ帰ったいた。結局、この制度は、多くの区民の支持が得られず、長続きしなかった。
 だからと言って、共産党を侮ってはならない。闘争は依然として続いているからである。たとえば、埼玉県では、県立所沢高校が、「最後の砦」として頑張っている。
 橋下徹知事の「教育委員会制度を根底から問う条例案」が危険なのは、「教育の場を、知事が定めた目標を実践するピラミッド型組織に変えようとする条例案」(朝日新聞10月2日付け朝刊「2面」)だという点にある。これは、「教育行政に対する首長の影響力」がこれまで以上に「増す」ことを意味している。万が一、大阪府政が、かつての京都府政(共産党・蜷川虎三知事)のように府庁舎に赤旗がはためくようになったら、どうなるのか。それよりも、全国の教育委員会が、文部科学省の植民地として、形骸化して、無力化されている今の姿の方が、よほど好ましい。

本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
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◆〔特別情報①〕
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もくじ

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