歯並びの予防

健康は大切です。お金よりも地位よりも。理想的には、無病息災を目指して自己管理したいものです。

先ず、治療しなくていけないと宣告される前に、予防することが賢明です。治療すれば、治癒して正常近くに戻れるのであれば、当然治療するべきです。俗に、cure(治療)よりもcare(細心の注意)とも言います。＜治療よりも予防を優先＞という姿勢でありたいのもです。

専門外ですが、脳卒中の予防十か条を見つけました。常識的な内容ですが、常々実行することが難しく、継続するのはさらに難しい気がします。脳卒中は、寝たきりになる最大の原因だそうです。

では、歯並びについての予防は何でしょう。決定的な予防は無いように思います。患者さんの努力で、歯の大きさ・位置や顎の骨の広さ・形が自在に変えられる訳ではないので、歯並びの予防には限界があります。

患者さんができる範囲で考えると、乳歯の時からむし歯にならないこと、悪習癖（口呼吸、指しゃぶり、舌突出、低位舌など）をしないことなどですかね。骨格的な不正があれば早期に矯正治療が必要であると知り、信頼できる歯科医に定期的に診察を受けることが、一番大切なように思います。


　

保定装置はいつまで使うの？

矯正治療は、歯を動かしている期間（ブラケットが装着されている期間）と、良い状態を保つ期間（保定期間）より構成されます。厳密に言うと、保定期間も、歯の裏からワイヤーを接着して保定している期間と着脱可能な保定装置で保定している期間より構成されます。

歯の裏からワイヤーを接着して保定している期間が終了すると、全く保定装置を付ける必要がないと、勘違いされている方も多く見られます。歯並びを気にされるのであれば、半一生保定装置を使ってください。夜間のみの使用で構いませんので。

歯の周りの組織から絶えず力を受けて、歯はいろんな方向に動く可能性があります。舌や頬粘膜、咬み合わせる反対側の歯などから、歯は随時力を受けています。口呼吸、唇を咬む癖、下前歯を舌で押す癖など、悪い癖などがあると、簡単に歯は動きます。親知らずを抜かないままにしておくと、後ろからドミノのように力を受けて、歯全体が前方に押し出されることも、成人によく見られます。

いろんな力が歯に絶えず掛かっていると分かれば、保定装置を長期間使用する必要性もご理解してくださるものと存じます。着脱可能な保定装置の代表例をご覧下さい。

米国人の患者さんのお母さんが自慢げに言っていました。＜私は矯正した後、20年間保定装置を使ったいる。＞確かに素晴らしく綺麗な歯並びでした。米国人では、長期間保定装置を使用するのは、ほぼ常識です。


　

素敵な口元

テイラー・スウィフト(Taylor Swift)さんをご存知ですか？アメリカ出身で20才の女性でカントリーミュージックの歌手です。私は歌を聴いたことがありましたが、顔を知りませんでした。アルバム＜Fearless>が有名で、昨年のグラミー賞を4部門で受賞しています。
　
現在彼女はプロモーションのため来日中です。当方がワイドショーを見ていると、ライブで歌を披露していました。とても魅力的な女性であると知りました。何よりも素敵な口元です。魅惑的な唇から、自信に満ちながら見事な歯並びを見せびらかせています。素敵な口元からの美声を聞かせ、はち切れんばかりの若さを発散させると、ファンも増える訳です。


　

日本顎関節学会の講演会

顎関節症を煩って、悩んでいる方は多いと思います。顎関節症とは何だ、という方も、顎を開ける時に＜カキ、カキ＞とか＜カク、カク＞とか音がしたり、顎が開けにくかったり、開けると痛っかたりする病気というと、イメージが湧くのではないでしょうか。顎関節の研究や診療している歯科医師が結集した学会を、一般社団法人　日本顎関節学会といいます。

同学会では、専門医制度を軌道に乗せるように制度を整えています。顎関節症の診療知識と技術を有する歯科医師を養成しようとしています。さらに、顎関節の診療の担い手として認知してもらえるように、行政にこの専門医制度を申請中です。近日中に正式に認可を受けるようで、そうなれば、もっと広範にこの専門医制度の情報を発信できるようになることでしょう。

私も専門医として、定期的に学術講演会を受講し、常々最新の知識を吸収しています。今回は鶴見大学で開催され、一日中缶詰になり、普段見ることにない稀有な症例の発表を見ることができました。


　

メンテナンスは重要ですよ

私の歯科医院はビルの4階にありますので、エレベーターのお世話になっています。自転車通勤ですので、朝晩愛車ともども利用しています。

定期検査が約半年ごとに実施され、エレベーターが止まります。止まると、自転車を4階まで運ぶのに、一苦労です。こんな時には、何で定期検査なんかするのか、と愚痴ることもあります。ある日、定期検査の担当者と話すことがありました。定期検査では、異常箇所の発見もするのですが、交換時期の決まっている部品を随時交換しているとのことでした。そもそもエレベーターの事故が発生すると、大ニュースになります。
よく考えると、自動車だって定期的にオイルやタイヤを交換しています。どんな製品でも、消耗品はある訳です。期限が来る前に、または正常に可動している間に、正確には異常になる前に、または事故が発生する前に、検査して部品を交換する必要があります。

この考え方は、矯正治療の保定と同じです。＜保定＞とは、良い歯並びを維持する装置を装着することです。矯正治療でも、メンテナンスは重要です。良い歯並びの間に、良い歯並びが失われる前に、チェックする必要があります。エレベーターの保守点検担当者のお陰で、定期的にチェックしていく意義を、再確認できました。