岩国矯正歯科クリニック(山口県)院長の矯正日記

院長が、健康・矯正に関すること、日々の出来事などを綴っています。

矯正学会のアライナー型矯正装置の推奨例と非推奨例

2017-03-06 18:34:29 | 矯正歯科に関すること
矯正歯科の最大の学会である日本矯正歯科学会からアライナー型矯正装置の使用指針が出ました。今までは、アライナー型矯正装置の利用に関して会員が手探りでした。

推奨例と非推奨例とは、次ぎの通りです。

【推奨される症例】
1) 非抜歯症例で、以下の要件を満たす症例
・軽度の空隙を有する症例 ・軽度の叢生で歯列の拡大により咬合の改善が見込まれる症例 ・大きな歯の移動を伴わない症例
2) 矯正治療終了後の後戻りの改善症例
3) 抜歯症例であっても歯の移動量が少なく、かつ傾斜移動のみで改善が見込まれる症例
4) 金属アレルギーを有する症例

【推奨されない症例】
1) 抜歯症例
・犬歯が遠心傾斜している症例
・前歯部が大きく舌側傾斜している症例
・歯の大きな移動を必要とする症例
・大きな回転、圧下・挺出を必要とする症例
・患者の協力度が低い症例
2) 乳歯列期、混合歯列期で顎骨の成長発育や歯の萌出の正確な予測が困難な症例
3) 骨格性の不正を有する症例

日本矯正学会から指針の中には、診断と治療計画、治療における留意点、施設基準と術者の資格、リスク対策などが掲載されています。

マルチブラケット装置を嫌がる患者さんへ、アライナー型矯正装置を勧めることがありえます。手軽さと審美性に勝る利点はありますが、治療の仕上げまで達し、保定後までに咬合を長く維持するには、難点がありえます。日本矯正学会所属の矯正歯科医だけでなく。広く歯科医に衆知されることを、望みます。

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