和泉の日記。

気が向いたときに、ちょっとだけ。

【SS】呼吸

2011-11-19 23:02:34 | 小説。
大きく息を吸っても、足りない感覚。
胸の内側が焼けるような、苦痛。
生物として必要な機能が、もうすぐ止まる予感。

両の手で胸を掻きむしる。
意味などないと分かりながらも、そうしないではいられない。
何かを掴んでいなければ、不安で不安で仕方がない。

それでも僕は、まだ息をしている。
完全なる停止まで、まだ時間が残っている。

爪先が痙攣する。
舌が痺れる。
眼の奥が熱くなる。
喉が乾く。
胸が、肺が、酷く痛む。

ああ、こんなにも苦しいならば、意識など捨ててしまえばいいのに。
脳内麻薬で満たして、夢を見せてくれればいいのに。
僕の中のもうひとりの僕は、それすらも許さない。
孤独に、苦しんで死んでいけと、そう告げる。

目の前がうっすらと暗くなっていく。
世界にモザイクがかかるように、ぼやけていく。
ゆっくりと、あくまでもゆっくりと。
視界は確実に狭くなる。

やがて、手足の感覚が失われる。
痛みを感じる意識と、呼吸を繰り返す肺だけが生き残る。
そう、それでもまだ、生きている。
音もない暗闇で、ただただ呼吸を繰り返す。

それでもまだ――生きている。

呼吸だけが、僕が生きていることの唯一の証明。

理不尽な痛みに耐えながら。
どこかで終わりを望みながら。
それでも僕は、生きている。
誰かに殺してもらえる時まで。
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【SS】生命の花

2011-11-19 23:02:01 | 小説。
見渡す限り一面に――美しい花が咲いていた。
紅い花弁は、鮮やかな血を吸ったよう。
いやいや、それは例えでも何でもなく。
事実、人の生命を糧に咲く花だから。

土も水も、もしかしたら空気さえいらない。
そこに生命があればいい。
どこからか現れた目に見えない種子は、僕らの体に根を下ろし。
芽生え、成長し、花を咲かせて。
生命を全て、吸い尽くして。
そしてまた、周囲に種子をばら撒いた。

人々が気付いたときには、もう遅かった。
種子を駆除する方法は簡単に見つかったが、如何せん数が多すぎる。
そうこうしている間に種子は次々増えていく。
手の打ちようがなかった。
というより、手を打っても繁殖の速度に間に合わなかった。

人が花に変わる。
僕は、この現象をそんな風に捉えていた。
種子が舞い降り、生命を吸って、花を咲かせる。
それはつまり、生命という形のない何かが、花へと移り変わること。
花へと成り変わること。
だから僕は、これはこれで幸せなのかも知れないと思った。

醜い世界は、こうして終わっていく。
美しく、美しく死んでいく。
酷く酷く腐った世界だったから。
それはそれは、美しい花が咲くだろう。
今眼前に広がる花畑が、世界に広がる。
そう考えると、何だかとてもわくわくした。
勿論、僕も――花になってしまえば、それを見ることは叶わないのだけど。

さようなら、醜い世界。
世界は今、こんなにも美しい。
さようなら、醜い僕。
きっと僕は。

誰よりも美しい、花になる。
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13-2。

2011-11-19 18:15:10 | いつもの日記。
あれ、FF13-2って普通に面白そうじゃね?

っていうか、僕はそもそも13が普通に面白かった派です。
アダマンタイマイも倒したしな。
さすがにシナリオとか13章までの自由度のなさとかを擁護する気にはならんけど、
画面とかゲームシステムとか声優さんとかはほぼ満点だったと思うんだ。

更に遡ると、FFブランドとしての評判がだいぶ落ちてきた12も大好きだった。
従来のFFファンをドン引きさせた10-2もほぼコンプした。
根っからのFF信者ってわけでもないんですが、毎回とにかく新しいことをしよう、
という路線は個人的に好印象です。
片や昔懐かしい路線を守るDQも好きなんだけどね。

ともあれ、FFシリーズは実験的な部分や前衛的過ぎる部分が多い作品です。
それは失敗というか、一部の人にしか受け入れられない可能性も高いということ。
ゲーマーは、そこら辺を理解した上でナンバリングといえど油断せずに正しく
見極めなければならんのです。

つまり、一見さんは容易に手を出すなよ、と。

これは結構昔からの持論なんですけどね。
FFはちょっとトガってるところがあるんだから、人によっては壮大なクソゲーに
なりえます。
なので、いいところ悪いところを事前に見極めて買わないとダメなんです。

となると、問題はメーカー側の販促だよね。
さもライトゲーマー向けみたいな今の宣伝方法は、あまりに卑怯だと思う。
トガってるのは悪いことじゃないんだし、包み隠さず行こうぜ。
グラが凄いよー、とかパッと見の部分でライト層を掴むのやめようぜ。
ゲームとしての本質で勝負しようぜ。
そんなことをすれば200万本とか馬鹿げたセールスが出せなくなるでしょうけど。
正々堂々あって欲しいものです。
大メーカー・スクエニだもの。

そんな訳で、僕はFF13-2に期待しています。
コメント (2)
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