「ミステリと言う勿れ」8巻まで読みました。
今の所これで全部かな?
面白いです。
ミステリのトリック部分もそうだけど、
みんなキャラクターがしっかりしてて面白い。
ただねー、これ、最初の方から思ってたんだけど。
説教臭いのが辛いのよね。
多様性を語るのはいいんだけど、
「読者はそこまで考えてないでしょ?
それ差別の温床だからね?」
と責め立てんばかりじゃない。
いずみは何も悪いことしてないのに怒られてる気分。
その多様性も、今となっては割とメジャーな思想だしね。
まあ、ここまでしっかり考えて行動してるのは偉いけども。
で、そこから派生するような感じだけど、
女性の地位向上を訴え、男尊女卑を覆そうとしながら、
主人公の整くんから性欲を感じさせないところが怖い。
男女平等を訴えかけたいのは分かる。
でも、それを「性欲のない男性」に語らせるのは卑怯じゃない?
だって、整くんはどうしようもない性欲に
支配されたこととかないんでしょう?
電車やバスの中で、痴漢をしたい、けどそれはいけないことだ、
って葛藤したことないんでしょう?
そんなやつが男性性を語っていいの?
すれ違う女性の露出度が高かったらうっかり
視線が行ってしまう男性は多いと思います。
けど、それはいけないこと。
欲望と理性が、常に葛藤しているのが大多数の男性です。
それを、「自分にはそんな欲ないから」と
澄まして言っちゃう。
欲望の結果を絶対悪として断罪する。
それで、本当に男女平等の社会を目指せる?
いずみは、そういう男性の邪な部分を認め、
それをみんなの理性で抑え込んで初めて男女平等が
成り立つんじゃないかなと思っています。
整くんの主張は、だから結構見ていて辛い。
そんな考え方ができたらそりゃ理想だよ、と
絵に描いた餅感が否めない。
最終的にガロくんとくっついちゃっても不思議はない。
そんな整くん自体は魅力的なキャラクターですが、
それを通して男性へのメッセージを投げかけるのは
いささか卑怯じゃないかなと思うわけです。
世の男性は、もっと厳しい戦いをしているよ。