Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

60年前の8月6日から続く史上最大の悪魔的人体実験

2005-08-06 | Education
 60年前の8月6日に,広島では「神への挑戦」ともいえる,人体実験が行われた.
 あれは,戦争の早期終結を図る戦術でもなんでもなく,最新の新兵器:原子爆弾の人体実験以外のなにものでも無かった.その原子爆弾の直接的な被害により,その直後だけで14万人の市民が犠牲者となったといわれている.
 
 その悪魔的実験の影響は,実は,60年たった今も継続しているのだ.

 広島大学名誉教授である 鎌田七男 先生 らの原爆被爆者白血病に関する研究(分子生物学的解析)によって,被爆時の放射線による染色体への影響とそれによる様々な障害が明らかになりつつある.
 爆心地から1000mの範囲にいながら,原爆投下後も奇跡的に生き残った2000余名の被災者の多くが,被爆時に浴びた強い放射線の影響によって,染色体に大きな損傷をうけている.さらに,それが原因で,被爆後数十年たってから,白血病や 重複ガン を発症して,長い間苦しめられている.

 戦争中だったからといって,何をしても許されるわけはない.


原爆を投下するまで日本を降伏させるな――トルーマンとバーンズの陰謀
鳥井民
草思社

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夏休み読書月間 (9) グリッドコンピューティング入門

2005-08-06 | IT
 グリッドコンピューティング(Grid Computing) というのは,電力網(Grid)からのアナロジーである.
 通常我々は,電力会社からやってくる電気がどの発電所で発電され,どの変電所を経て自分のところへ送られているか意識していない.電力のユーザからみると,電力網全体が自分の目の前のコンセントに繋がった「電力システム」である.
 同じように,ネットワークにつながれた様々な計算資源(CPU,メモリ,ストレージ...)を,一つの「コンピュータシステム」のように使えるようにしようというのが,グリッドコンピューティングである.このようなアプローチは1990年代の後半から行われているが,比較的広い範囲で活用されるようになってきたのは,この2-3年であると思う.
 
 本書は,日本語で書かれたグリッドコンピューティングの入門書としては,最も新しいものの一つである.並列計算機について全く知らなくても,グリッドコンピューティングの概要について理解できるようにまとめられいる.また,参考資料となる URLのリスト,参考文献リストが充実しているのでその点も親切である.
 ちなみに, Amazon.co.jp では40冊以上の英文の Grid Computing の本が販売されているが,日本語の本はとてもすくなくて,本書を含めて数冊しかない.

 筆者の溝口文雄 先生 は,東京理科大の教授であり,私が学生のころは人工知能などの研究で活躍されていた.溝口先生の門下生だった知人によると,元々は化学が専攻だったらしい.数年前は,Javaの関係の研究や活動が多いような印象をうけたが,いつのまにか「グリッド」であるが,並列計算については,古くから取り組んでおられたらしい.

 高速なあるいは強力な「計算資源」を手元におきたい,自由に使いたい,安く使いたいと考えたことがあるすべての方に,「グリッドコンピューティング」について少し勉強したいと思う方に,最初の一冊としてオススメできる.


グリッドコンピューティング―情報処理の新しい基盤技術
溝口文雄
岩波書店

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夏休み読書月間 (8) 有機化学入門

2005-08-06 | Environment
 現代社会において,我々の身の回りには,「化学物質」が溢れ様々な問題の原因となっている.
 理工系でない人も,日常生活の上で化学物質と適切に対峙するためには,ある程度の化学的知識,特に有機化学の知識は必要と思う.
 # 化学物質過敏症の方は,なおさらですね.何事も原理を知ることは大切.

 本書は,毒物や食品添加物などの専門家で,千葉大学名誉教授, 現新潟薬科大学学長 である.山崎幹夫先生による,有機化学の啓蒙的入門書(縦書き)である.
 メタンから,アルコール,アスピリン,ショ糖,ペニシリン,DNAまで,21のトピックスについて,化学の歴史もふまえながら,読み物風にまとめられている.

 有機化学のエッセンスを楽しみながら学びたい方にオススメ.
 

新化学読本―化ける、変わるを学ぶ
山崎幹夫
白日社

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夏休み読書月間 (7) 女性専門家の半生記

2005-08-05 | Weblog
 本書は,日本を代表する物理学者である, 米沢富美子 先生 の半生記的なエッセイである.

 米沢先生は,慶應義塾大学名誉教授で,日本で初めて,女性として日本物理学会会長の会長も務められている.さしずめ,日本のキューリー夫人というところ.
 物理の研究の話しも少し含まれているが,全体としては,女性が専門的な職業人(米沢先生の場合は物理学者)として一流の仕事をしながら,結婚,出産,子育てなどをしていく上での色々な問題や体験的方策について述べられている.
 # 亡くなった御主人への,オノロケもたっぷり :-)
 

 何かの分野の専門家を目指す女性,あるいは,専門家を妻や恋人に持つ人.専門家になるかもしれない娘を持つ人に,オススメである.

二人で紡いだ物語
米沢富美子
朝日新聞社

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戦闘機や潜水艦やミサイルを買うためのお金は援助しない!

2005-08-03 | Weblog
 あちこちで 中国の軍事費 の伸びと金額について話題になっている.

 日本の防衛予算は約5兆円程度だが,これは,国のGNPを基準に考えれば多い金額ではない.
 中国のGNPは,まだ日本の1/3程度,国民一人当たりでは日本の1/30以下であるが,それでも,中国は防衛費として,公式の発表で3兆円以上,米国の推定では10兆円近い金額を使っている可能性があるらしい.

 最近は小さな会社や個人でも警備会社のサービスをうけているところが増えたが,その手の予算は,その収入や守りたい財産の大きさにある程度比例するというのは,比較的普通の感覚だと思う.このような考えは国にも当てはめることができる.
 国における収入や財産をGNPに例えるとすると,日本の1/3程度のGNPの国の防衛費が,日本の倍かもしれないというのは,非常にアンバランスな「防衛費」ではないだろうか? むしろ,すでに「防衛費」というよりは,より広い意味での対外活動を含む「軍事費」と考えるべきだろう.実際,中国がロシアから購入している新しい戦闘機や原子力潜水艦は「防衛」のための装備とはとても言えないものである.

 少なくとも,そのような国に,政府開発援助(ODA)として,何兆円も出す理由はない!

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夏休み読書月間 (6) 「話が通じない」お話し

2005-08-03 | Weblog
 最近,生業としての仕事の上でも,その他の団体での活動等でも,「話が通じない」と思うことが多い.

 もちろん,私の説明不足によるもの等も少なからずあるだろうが,明らかに先方が「相手の話しを聞いて理解しようとしていない」と思われることが多い.
 議論の論点の相違の前提について「説明は聞きたくない」と明言された人がいて驚いた話しについては, 7/10 の blog に書いた.

 そんなところに,産経新聞の書評欄で,『なぜ「話」は通じないのか』という本が紹介されていた.タイトルに惹かれたので,すぐに Amazon に注文してしまった.8/2に届いたが,夜帰宅して,一気に読んでしまった.
 筆者の 仲正昌樹氏 は,金沢大学法学部の教授だが,法学者というよりは社会思想史の研究者のようだ.何が専門かなと思って,学位論文について調べると「<隠れたる神>の痕跡 -ドイツ近代の成立とヘルダリン」という題目であった.ヘルダリンは小説家,詩人のようだが,教養のない私には,この論文題目からはどんな研究か見当がつかない.

 肝心の本の内容は,ややくどい感じはあるが,私には面白い内容だった.
 だれにでもオススメという本ではないが,最近「話が通じない」と思うことがある人は,楽しめると思う.

 それにしても,最近,「話が通じない」ことが多い.


なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論
仲正昌樹
晶文社

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夏休み読書月間 (5) 物質から情報へ

2005-08-02 | IT
 本書はMITのマルチメディアに関する研究所: Media Lab の創設者であり,現在 Chairman を務める ニコラス・ネグロポンテ教授 による,エッセイである.1993-94年ごろに,米国の情報通信メディア雑誌 WIRED に書かれ,1995年に出版された内容だが,あまり古さを感じさせない.

 技術の流れだけでなく,現在および未来の「デジタル・ライフ」について考える上で,とても示唆に富んだ内容である.

 また,ITに関係ない仕事をしている人でも,何らかの形で普段コンピュータやインターネットを使っている人には,読み物として,広くオススメできる.



ビーイング・デジタル - ビットの時代 新装版
ニコラス・ネグロポンテ(著) 西和彦(監訳)
アスキー

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夏休み読書月刊 (4) アーキテクトとプログラマーの哲学

2005-08-02 | Software
 ソフトウェアの技術は,その多くが人間の頭の中から生み出されたものであるため,非常に属人的なものである.
 そのため,「誰がそれをデザインしたのか?」「誰がそれをプログラミンングしたのか?」という情報は非常に重要である.

 著名なソフトウェア・アーキテクトやプログラマーの場合,彼らの普段の言動やその発言等の行間から,その人のコンピュータやソフトウェアに対する哲学やスタイルを学ぶことができる.
 そのため,そのアーキテクトやプログラマーのインタビューなどを含んだ記事や解説は一般向けの読み物として楽しめるだけでなく,技術的な資料としても重要な情報である.
 
 そういう意味で以下の2冊は,これから,ソフトウェアについて学ぶ人も,すでにプログラミングはしているが,設計や開発についてまだ経験の浅い人にオススメできる.


あなただけができることをやりなさい ソフトウェア界の偉人23人の名言集

翔泳社

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*年号やシステムの仕様にかかわる数字には,一部校正もれがあるのがおしい.


実録!天才プログラマー

アスキー

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夏休みコンピュータ自習教室(3) ブログラムのしくみ

2005-08-01 | Education
 この手の本の中では,比較的新しいもの.
 「イラストで理解する,プログラミングの基本的な考え方」
 小学生から,文科系の大人までオススメできる.


コンピュータ・プログラムのしくみ―イラストで理解する、プログラミングの基本的な考え方

ソシム

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夏休み読書月間 (3) 女性の視点と生活

2005-08-01 | Weblog
 いつもとちょっと違うシリーズその2.女性筆者の本.
 普段,仕事関係の本や趣味の本ばかり読んでいる方にオススメ.

ヒヨコの猫またぎ
群ようこ
文芸春秋

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女の底力、捨てたもんじゃない
岸本葉子
講談社

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ことば美人は一生の得
広瀬久美子
幻冬舎

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いいかげんに片づけて暮らす
岩里祐穂
集英社

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夏休み読書月間 (2) リラックスと元気

2005-08-01 | Weblog
 いつもとちょっと違う,大人も子供も楽しめる本.
 リラックスしたい人,元気を出したい人に,オススメ.


リラックマ生活―だらだらまいにちのススメ

主婦と生活社

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だららん日和―リラックマ生活 2

主婦と生活社

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トリダヨリ

主婦と生活社

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元気を出して

PHP研究所

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そっと心にささやく元気が出る50の言葉

PHP研究所

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