明石
京よりも、うちしきたる御とぶらひども、たゆみなくおほかり。のどやかなる夕月夜に、うみのうへくもりなくみえわたれるも、すみなれ給し故郷の池水思ひまがへられ給に、いはむかたなくこひしきこと、いづかたとなくゆくゑなき心ちし給て、たゞめのまへにみやらるゝはあはぢしま成けり、あはとはるかになど給て、
あはとみるあはぢのしまのあはれさへのこるくまなくすめるよの月
ひさしうてふれ給はぬきむをふくろよりとりいで給て、はかなくかきならし給へる御さまを、みたてまつる人もやすからず哀にかなしうおもひあへり。
松風
中におひたる。とうちずんじ給ふついでに、かのあわぢしまをおぼしいでゝ、みつねが、ところからか。とおぼめきけむことなどの給ひいでたるに、ものあはれなるゑいなきどもあるべし。
めぐりきててにとるばかりさやけきやあはぢのしまのあはとみし月
第十六 雜歌上
題しらず 凡河内躬恒
淡路にてあはとはるかに見し月の近きこよひはところがらかも
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