新古今和歌集の部屋

俳諧七部集 ひさご 序 蔵書

江南の珎碩我にひさごを送レり。これは

是水漿をもり酒をたしなむ器にも

あらず。或は大樽に造りて江湖をわた

れといへるふくべにも異なり。吾また

後の恵子にして用ることをしら

ず。つら/\そのほとりに睡りあや

まりて此うちに陥る。醒てみるに

日月陽秋きらゝかにして雪のあけ

ぼの闇の郭公もかけたることなく

なを吾知人ども見えきたりて皆風雅

の藻思をいへり。しらず是はいづれの

ところにして乾坤の外なることを。出て

そのことを云て毎日此内にをとり入

           越智
元禄三六月        越人

 


※珎碩 濱田酒堂の号。近江膳所藩医師。元禄二年頃、松尾芭蕉に入門。ひさご集を撰した。

※水漿 飲み物。

※大樽〜恵子 荘子逍遥遊第一。荘子と恵子の問答「魏王、我れに大瓠の種を貽れり〜何ぞ以て大樽と為して江湖に浮かぶことを慮えずして、其の瓠落として容るる所なきを憂うるや。」による。

※雪のあけぼの 新勅撰 冬歌 後京極摂政前太政大臣
寂しきはいつも眺めのものなれど雲間の峯の雪のあけぼの
など。

※闇の郭公 拾遺集 夏歌 実方朝臣
さ月やみくらはし山の郭公おほつかなくも鳴きわたるかな
など。

藻思 詩文を作ること。その才能。

越智越人 尾張蕉門で十哲。更科紀行で同行。

コメント一覧

jikan314
@kwg1840go 所が、ひらがなが分かっても濁点は分からないと俳諧歌仙は無理です。
例えば「まだ」と「また」は違う意味で、次の句に影響します。ひさごは濁音記載が無いです。
序を終え、次の歌仙に入る前にあきらめ、図書館で解説本を借りて、最終確定に利用させています。
しかし、誤字はあるでしょうから、又御指摘頂ければ幸いです。
拙句
春立つとかぜをよんでは震えけり
(風と風邪、読んでと呼んでの掛詞。未だ未だ感染者数は減らないですね。くれぐれもご注意下さい。)
jikan314
@kwg1840go 川越原人様
コメント有難うございます。
先ず漢字が読めないです。珎は読めたのですが、碩が読めない。読めないとblogに書けないですので、漢和辞典、ネット漢和辞典、それでも読めない時は、図書館にある大漢和辞典で読みます。これは漢詩で良く使うので慣れています。読めたら直ぐにネット検索で、酒堂と分かった所です。
しかし、論語などや漢文学は不得手です。恵子や大樽?検索掛けると女優や飲み屋ばかり。(笑)
でもひさごって瓢だと思い、やっと荘子にたどりつきます。
そう言えば、瓢の中で眠る仙人の話もあったなあ?でひらがなをクロスワードで確定させていきます。
和歌検索は得意分野なので省略。
kwg1840go
こんにちは。いつも楽しく拝見させて頂いています。
俳諧七部集を再開して頂き、ありがとうございます。
他の作品でもそうですが、本文はもちろん、その後の注も楽しく読ませて頂いています。
この注があるとないとでは、大違いだと思います。
どのようにして調べられているのか、毎回感心しています。
さて、今回の文は「荘子」を踏まえているとのことですが、ちょうど読んでいたところなので、該当箇所を読み直して見ました。
「水漿をもり酒をたしなむ器にもあらず」もそれに含まれているようですね。
それにしても、当時の俳諧をやるような人にとって、「荘子」くらいは読んでいるのが常識だったのでしょうか?
これは、今の私たちが古典を読む祭の、ネックの一つだと思います。
そういう意味で、注を付けて頂けるのは、非常にありがたいことです。
大変だと思いますが、これからもよろしくお願いします。
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