イヌが鋭い嗅覚があることは、私たちもみんなよく知っていますよね。
実際、科学的な実験においても、隠された爆弾のにおいを検知して知らせることができたり、血糖値の変動など人間の体内の変化をにおいだけから検
知できたり、がんやパーキンソン病、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)といった病気の存在を嗅ぎ分ける能力もあることが、これまですでに知
られてきています。
ところが今回、人間が吐いた息や汗に含まれるストレスのにおいまで、イヌは嗅ぎ分けられることが明らかにされました。物理的・生理的な状態だけ
でなく、心理的な状態までもが、嗅ぎ分けられるのです。
イギリスのクイーンズ大学ベルファストのウィルソンらによる研究で、つい最近、「PLOS ONE」誌の9月28日号に発表されています。
この研究では、まず参加者36人に、ストレスを誘発する暗算の課題を課し、その前と後の参加者の汗と呼気のサンプル(それぞれベースラインサンプ
ルとストレスサンプル)を採取しました。あわせて参加者には自分のストレスレベルを自己評価してもらい、また参加者の血圧と心拍も測定され、血
圧も心拍も上昇していた場合のサンプルだけが残されました。これにブランクサンプル(未使用のサンプル採取用のガーゼ)を加えて、これら3つの
サンプルを4頭の犬に合計36回提示して、そのなかからストレスサンプルを検知できるかを調べたところ、何とその検知の正確度は93.75%にものぼる
ことが明らかになったとのことです。
原著論文
Wilson, C., Campbell, K., Petzel, Z. & Reeve, C., 2022 Dogs can discriminate between human baseline and psychological stress condition odours, in PLoS One,vol.17, no.9
:e0274143. →こちら
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