幻聴体験を持つ仲間に声の種類を尋ねたところ
ごく近しい仲間や友達の声というのが多かった。
頭の中で再生可能な声が出現してくるみたいである。
そしてその声は往々にして幻聴を聞く本人を誘導していく。
幻覚で竜を見たという仲間の声より僕との同一性を感じるが
部屋にいて目を閉じてその部屋の様子がわかると
応えた仲間の多いのにも気がついた。
目を閉じてもしばらくの間は網膜に残るみたいである。
そして、妄想が加わると不可思議な行動をとるようになる。
公共の機関で例えば電車やバスの中で聞こえる声は
自分と関連付けられていく。「あっそれ私にもあるわ」
というレベルを超えて「まったく俺やんけ」となり
妄想を引き起こさせる。
公共の機関で話される声は往々にしてその風俗や
内容がよく似ているため、自分にマッチする声があるものである。
通常の人はそのような声には敏感でないから
「なんか話しとんで」くらいで意にかえさないが
関連付けが始まると、妄想が膨らむことになる。
人の話は多かれ少なかれよく似たことで悩んだり
苦しんだりしているものである。それを聞いて
関連付けが起きても無理なからぬことであろう。
一昔前までは公共の機関で話をすると怒られたものであるが
今は静かにただ聴く、聞かぬふりをする人が多いためか
個人が発するストレスを公共の機関でも発している輩もいる。
個人のストレスが発散されてより広くストレスを撒き散らす。