「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

語り継がれるでしょう。鈴木優磨選手が鹿島の「ピッチ上の王様」になった日

2018年10月27日 19時15分44秒 | サッカー選手応援
さる24日(水)に行なわれたACL準決勝2Lg 三星水原vs鹿島戦は、後半15分までに3-1とリードをゆるしながら、鹿島が2点を返して引き分けに持ち込み、見事決勝進出を果たしました。

この試合、分水嶺となった出来事が、3点目を入れられた後半15分にありました。鹿島イレブンが円陣を組んだのです。

その出来事のいきさつを、10月26日の隔日刊「エル・ゴラッソ」紙がレポートしてくれています。

田中滋記者の記事から、その時の様子を描写してみましょう。

「あっという間の3失点に色を失う選手がいる中で鈴木(優磨)の闘志は衰えていなかった。(後半8分に)逆転されたときにレオ・シルバを呼び寄せて指示したのに続き、(この場面では)ほぼ全員を集めて円陣を組む。肩を落とす昌子に強い言葉をかけられる選手がいなければ、この試合は終わっていたかもしれない。」

その昌子は「どこがよくなかったのか、決勝に進むためには何をしないといけないのか。視野の効かない霧の中を手探りで歩いている感覚でいたとき、『源!』と自分を呼ぶ鋭い声が耳に入ってきた」

「(鈴木)優磨に呼ばれて、『あ! まずはこっちだ!』と思っていきました。」
「我にかえった昌子は、鈴木の叱咤を制して矢継ぎ早に指示を出す。まずは1点とろう。ウチが攻める時間は多く残っている。・・・・・」

昌子源選手に強い言葉をかけたことについて鈴木優磨選手は「源くんが、(失点を)ちょっとひきずっているように見えたので、強めに言った。ピッチの中では年齢は関係ないので」

「昌子にどんなことを言ったのか報道陣から問われると『忘れました』と答える。プレーだけではなく、そうした気遣いからもチームを背負う自覚と風格が漂う。・・・・・」

その円陣からわずか4分後、西大悟選手が難度の高いキックでゴール。円陣を組んでイレブンが士気を鼓舞した結果がすぐに出たのです。

これで二戦合計スコアが全くのイーブン。そして後半37分のセルジーニョの同点ゴールに結びついたのです。

AFCが選ぶマンオブザマッチはゴールを奪っていない鈴木優磨選手でした。田中記者も「前線でボールを収めては起点を作り、ピッチ内外で精神的支柱となったとなれば、そこに異論を挟む余地はない。・・・・」と書いています。

チームは決勝を残しています。勝って悲願のACL制覇を果たせば、それに越したことはありませんが、私は、この準決勝2Lgの試合。鈴木優磨選手が、鹿島の「ピッチ上の王様」に就任した日として語り継がれるに違いないと確信しました。

「王様」というと語弊があるかもしれませんが、かつての日本代表における本田圭佑選手のような圧倒的存在という意味です。

円陣を組むべく集めたのが鈴木選手だったのかどうかは明確ではありませんが、昌子源選手を我に返らせた『喝!』は、強い気持ちの人でなければできないことで、それを実際にできる鈴木優磨選手のスケールの大きさは楽しみでなりません。

私が鈴木優磨選手のことを初めて書いたのは2016年6月13日の書き込み「鹿島に第三期黄金時代到来の予感」の中です。

このタイトルをつけたように、「鹿島の試合をじっくり観戦して感じたのは、いま鹿島は次の全盛期の前夜にあるのではないか、ということでした。」

「途中から出場した杉本太郎、鈴木優磨の両選手はまだ20歳とのこと、FWの鈴木選手に至っては自ら獲得したPKを決めてしまう気持の強い選手のようで、将来が本当に楽しみな選手です。」と。

そう書いてから2年ちょっと。これから先8年で、彼はどのような進化を遂げてくれるでしょうか。彼も本田圭佑選手のように日本代表の圧倒的存在になってくれるかも知れません。

少なくとも、この準決勝2Lgにおいて、試合の分水嶺となった円陣での出来事は、それを十分予感させてくれるものですし、語り継がれると思います。

では、また。

【お詫びと訂正】
今回、昌子源選手の名前を、これまで「昌司」と書いてきたことに気が付きました。漢字変換で出た「昌司」をそのまま使っていたようです。

おそらく2016年6月13日が初めてで、それ以降、昌子選手は相当多く話題にしていますから、夥しい数の「昌司」があると思います。

本来でしたら、一つひとつ訂正しなければなりませんが、お詫びして一括訂正ということにさせていただきます。

どうぞ、ご容赦願います。

コメント
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