昨日、2019年12月15日に放送された、テレビ東京の番組「その日、人生が変わった。サッカーがくれた未来」というドキュメンタリーを見ました。かれこれ4年も前の番組です。
当「夢追い人」がサッカー関係の番組などを収録し続けてきたことは、何度か紹介しました。最終的には今年(2023年)1月初めで、一切の録画作業を終了しました。昨年暮れのカタールW杯の収録と、その余韻が残った番組の収録をもって終了した感じです。
その後は、収録済の試合、番組等のHDDへの格納と、データベースである「ファイルメーカー」への記録作業に全力をあげているところです。
今回ご紹介するテレビ東京のドキュメンタリー番組は、その点検作業で出てきたものです。
もともとテレビ東京さんは「FOOT×BRAIN」という番組で「この国にサッカー文化を」を合言葉に、当「夢追い人」が考えている「サッカー文化フォーラム」を、番組上で体現してくれています。この「FOOT×BRAIN」という番組をフォローしておけば「サッカー文化」として扱うべきテーマの太宗を掴むことができる感じです。
この2019年12月15日放送の番組は「FOOT×BRAIN」の拡大版というか、年末特集版といった趣きで、4人の方を紹介しながら、その方が「サッカーというものに出会って、いかに人生が変わったか」を伝えてくれています。
その4人は、
①「熱血課長、街とクラブをつなぐ51歳」というタイトルで、FC東京のホームタウンの中心地であり「味の素スタジアム」の所在地でもある東京都調布市役所の、産業振興課長をされている方
②「夢は日本一の芝」というタイトルで、湘南ベルマーレの本拠地である「レモンガススタジアム・平塚競技場」のピッチメンテナンスに心血を注ぐ湘南造園の社長さん
③「会計士からJリーグ理事へ」というタイトルで、「Jリーグを使おう」とJリーグの改革と社会連携に全国を飛び回っている若き女性理事の方
④16歳「僕はあきらめない。アンプティサッカーで日本一の夢」というタイトルで、足に障害を抱えカナディアンクラッチ(松葉づえのような用具)で体を支えながらアンプティサッカーに青春を賭けている16歳の方
どの方も、何かの縁でサッカーと出会い、サッカーの持つスポーツとしての素晴らしさ、世界的な広がりを知り、特にJリーグが地域との関わりをとりわけ重視していることに、人生が変わるほどの大きな刺激を受け、サッカーの世界にのめり込んでいる方々です。
当「夢追い人」は、中年に差し掛かった頃、サラリーマンとして終わる人生に見切りをつけ、当時、仕事で関わることができた「まちづくり、むらおこし」の分野で、自立していこうと脱サラをした人間です。
それがちょうどJリーグスタートの時期と重なりましたので、例えば鹿島アントラーズのホームタウン地域の皆さんが、何とかJリーグ参入を認めてもらうために、大変な努力と団結で必要なミッションを完遂して、見事にスターティング10チームの枠に滑り込んだいきさつなどを、つぶさに見ていました。
そして、Jリーグが次第に参加チームを拡大していく方針であったことから、一般の産業誘致と同様、Jリーグ参入に向けた取り組みも、まちづくりの大きなチャンスであることを、自分が関わった「まちづくり、むらおこし」関連のセミナーなどで提言してきました。
ですから、30年を経た現在、多くの地域で、Jリーグクラブの存在を、そのホームタウンの人々が「わがまちの誇り」「わがまちの起爆剤」「わがまちが一つになれる存在」として大切にしてくれる時代になってきたことを、実感しています。
プロサッカーリーグというのは、勝負の世界であり、1部リーグから2部リーグ、現在は3部リーグまで、成績によりふるい分けられる世界です。1部リーグであれば注目度も高く、有名選手も多いわけですが、そういう華やかな部分を望むだけなら、決してJリーグクラブは地域に根付かないでしょう。
Jリーグ30年の歴史にも、スタート当初、全国ナンバーワンの人気を誇ったクラブが、その分、地域を大切に思わないかのようなふるまいに終始して、結局、下部リーグに落ちて、地域からの支えも十分に得られない悲哀を味わっている例があります。
海外には3部リーグだけでなく4部リーグ、多いところでは5部リーグぐらいのプロクラブがいくらでもあります。そういうクラブが、その地域で成り立っていないかと言えば、熱烈にサポートする人々に支えられ、いつかは上位リーグに上がる日を夢見て何十年も戦っているクラブがあります。
結局プロサッカーグラブは、勝負の世界で勝ち上がる目標は持ちつつも、地域になくてはならない地域文化の一つとして存在するようになってこそ、初めてプロサッカークラブなのです。
それには、プロサッカーの歴史も、最低でも50年以上、イングランドやイタリア、スペインなど欧州のクラブは100年以上の歴史を積み上げてこそ「地域文化」として根付いていますから、日本でも、そのような継続の力で「地元のクラブが地域文化の誇り」となるまで育てていく必要があると思います。
サッカークラブの運営には、ある程度の資金が必ず必要になります。クラブの収支だけでやっていけるクラブは一握りです。ですから「地元のクラブが地域文化の誇り」となるまで育てていくには、地域の経済界をはじめ多くの人々が資金面でも支えクラブを守り抜いていくという思いが必要であり、クラブ側には「このクラブは守ってやりたい」と思ってもらえる日頃からの努力が不可欠です。
それには「技術・体力などでは他のクラブにかなわないが、このクラブの選手たちは決して最後まであきらめない。その頑張りには本当に頭が下がる」といったプレー面の努力が第一ですが、サッカーの指導や交流、そしてボランティア活動など、地域との積極的な交流による信頼と親近感も欠かせません。
Jリーグの若き女性理事が「Jリーグを使おう」と呼びかけたのも、地元のサッカークラブが持っている、さまざまなリソース、アセットといったものを地域の皆さんに知っていただいて、ぜひ、使えるものは使ってくださいということで、それが地域におけるクラブの価値をあげることにつながると考えてのことです。
30年を経た今日、J2やJ3のクラブは、そうして重要性をどのクラブも深く理解しています。そして、地域の側にも調布市の課長さんや湘南の造園会社社長さんのように、サッカーとの出会いによって、クラブを支えることに自分の未来を見つけた人たちが、どの町のクラブにも出てきています。
Jリーグの村井前チェアマンは、川崎フロンターレ・中村憲剛選手からかけられた「Jリーグは「地域密着」と言っていますが、川崎Fは一生懸命、それこそ必死にやっています。Jリーグはどんなことをしてますか?」という一言にガーンと頭を殴られた気がして、Jリーグ本体も地域貢献・地域連携というものについて旗を振り直さなければならないと決意したそうです。
その具体的な作戦が、上記番組の③「会計士からJリーグ理事へ」すなわち米田恵美さんの招へいです。彼女の行動力、オーガナイズ力は「Jリーグを使おう」という刺激的なキャッチフレーズに見事に集約されています。
当「夢追い人」は、最近つくづく思います。Jリーグもそうですしサッカー界における経営感覚が、ずいぶんMBA的になってきたなと。MBAというのはご存じのように「経営学修士」と呼ばれる大学の学位のことですが、つまり、打ち出される施策が極めて論理的というか、唸ってしまうことが多いのです。
例えば、Jリーグ理事に招へいされた米田恵美さんが打ち出した2つのコンセプト。
1 .ダイバーシティ&インクルージョン(Diversity & Inclusion)、個々の「違い」を受け入れ、認め、活かしていくこと。
2. トライセクター・リーダー(Tri-sector Leader)、民間・公共・社会の3つの垣根を超えて活躍する人材のこと。
これらの言葉選びもそうですし、その言葉が表している考え方が、とても、当「夢追い人」の及びもつかない内容です。
ですから、当「夢追い人」のような草の根の「ただサッカーを愛するだけの人間」には、JリーグやJFAで構想されているようなことは、別世界のことで、とても自分がその議論の中に入れるような気がしなくなっています。
昔「サッカー」と「まちづくりむらおこし」を結びつけることに関われればと願っていた当「夢追い人」が、何の能力もない「ただサッカーを愛するだけの人間」だということを、最近、いやというほど思い知らされているところです。
やはり、社会的なこれだけ大きな存在になった日本のプロサッカー界をリードしていくには、相当の経営感覚が必要なのだ、相当能力の高い人でないと務まらないのだと、つくづく思わざるを得ません。
ちなみに「Jリーグをつかおう」というキャッチフレーズで全国を駆け回った米田さんは、2022年にJリーグチェアマンが野々村氏に交代して、役員体制も一新されたのを機にJリーグ理事を退任されました。
「シャレン」や「Jリーグをつかおう」という合言葉が彼女の退任とともに消え去ることなく引き継がれていくことを願ってやみません。そのあたりは「FOOT×BRAIN」でもフォローしてもらえるとありがたいのですが。
ところで、今回取り上げた2019年12月15日放送の番組ですが、あれっと思ったことがあります。それは、放送された日付です。思い起こすと、この放送からまもなく、年が明け1月末から新型コロナウィルス禍が全世界にひろがり、日本国内でも、まったく様相が変わってしまった直前の番組です。この時は、まだ、なんの憂いもなく未来を見据えていられた時です。
あれからほぼ4年、やっと元通りの日常が戻ってきて、やっと、また何の憂いもなく未来を見据えられそうなところまで来ました。世界的に見れば戦争が暗い影を落としています。それこそ「日本有事」にでもなって、私たちの日常がまた破壊されるようなことにならないことを願うばかりです。
当「夢追い人」がサッカー関係の番組などを収録し続けてきたことは、何度か紹介しました。最終的には今年(2023年)1月初めで、一切の録画作業を終了しました。昨年暮れのカタールW杯の収録と、その余韻が残った番組の収録をもって終了した感じです。
その後は、収録済の試合、番組等のHDDへの格納と、データベースである「ファイルメーカー」への記録作業に全力をあげているところです。
今回ご紹介するテレビ東京のドキュメンタリー番組は、その点検作業で出てきたものです。
もともとテレビ東京さんは「FOOT×BRAIN」という番組で「この国にサッカー文化を」を合言葉に、当「夢追い人」が考えている「サッカー文化フォーラム」を、番組上で体現してくれています。この「FOOT×BRAIN」という番組をフォローしておけば「サッカー文化」として扱うべきテーマの太宗を掴むことができる感じです。
この2019年12月15日放送の番組は「FOOT×BRAIN」の拡大版というか、年末特集版といった趣きで、4人の方を紹介しながら、その方が「サッカーというものに出会って、いかに人生が変わったか」を伝えてくれています。
その4人は、
①「熱血課長、街とクラブをつなぐ51歳」というタイトルで、FC東京のホームタウンの中心地であり「味の素スタジアム」の所在地でもある東京都調布市役所の、産業振興課長をされている方
②「夢は日本一の芝」というタイトルで、湘南ベルマーレの本拠地である「レモンガススタジアム・平塚競技場」のピッチメンテナンスに心血を注ぐ湘南造園の社長さん
③「会計士からJリーグ理事へ」というタイトルで、「Jリーグを使おう」とJリーグの改革と社会連携に全国を飛び回っている若き女性理事の方
④16歳「僕はあきらめない。アンプティサッカーで日本一の夢」というタイトルで、足に障害を抱えカナディアンクラッチ(松葉づえのような用具)で体を支えながらアンプティサッカーに青春を賭けている16歳の方
どの方も、何かの縁でサッカーと出会い、サッカーの持つスポーツとしての素晴らしさ、世界的な広がりを知り、特にJリーグが地域との関わりをとりわけ重視していることに、人生が変わるほどの大きな刺激を受け、サッカーの世界にのめり込んでいる方々です。
当「夢追い人」は、中年に差し掛かった頃、サラリーマンとして終わる人生に見切りをつけ、当時、仕事で関わることができた「まちづくり、むらおこし」の分野で、自立していこうと脱サラをした人間です。
それがちょうどJリーグスタートの時期と重なりましたので、例えば鹿島アントラーズのホームタウン地域の皆さんが、何とかJリーグ参入を認めてもらうために、大変な努力と団結で必要なミッションを完遂して、見事にスターティング10チームの枠に滑り込んだいきさつなどを、つぶさに見ていました。
そして、Jリーグが次第に参加チームを拡大していく方針であったことから、一般の産業誘致と同様、Jリーグ参入に向けた取り組みも、まちづくりの大きなチャンスであることを、自分が関わった「まちづくり、むらおこし」関連のセミナーなどで提言してきました。
ですから、30年を経た現在、多くの地域で、Jリーグクラブの存在を、そのホームタウンの人々が「わがまちの誇り」「わがまちの起爆剤」「わがまちが一つになれる存在」として大切にしてくれる時代になってきたことを、実感しています。
プロサッカーリーグというのは、勝負の世界であり、1部リーグから2部リーグ、現在は3部リーグまで、成績によりふるい分けられる世界です。1部リーグであれば注目度も高く、有名選手も多いわけですが、そういう華やかな部分を望むだけなら、決してJリーグクラブは地域に根付かないでしょう。
Jリーグ30年の歴史にも、スタート当初、全国ナンバーワンの人気を誇ったクラブが、その分、地域を大切に思わないかのようなふるまいに終始して、結局、下部リーグに落ちて、地域からの支えも十分に得られない悲哀を味わっている例があります。
海外には3部リーグだけでなく4部リーグ、多いところでは5部リーグぐらいのプロクラブがいくらでもあります。そういうクラブが、その地域で成り立っていないかと言えば、熱烈にサポートする人々に支えられ、いつかは上位リーグに上がる日を夢見て何十年も戦っているクラブがあります。
結局プロサッカーグラブは、勝負の世界で勝ち上がる目標は持ちつつも、地域になくてはならない地域文化の一つとして存在するようになってこそ、初めてプロサッカークラブなのです。
それには、プロサッカーの歴史も、最低でも50年以上、イングランドやイタリア、スペインなど欧州のクラブは100年以上の歴史を積み上げてこそ「地域文化」として根付いていますから、日本でも、そのような継続の力で「地元のクラブが地域文化の誇り」となるまで育てていく必要があると思います。
サッカークラブの運営には、ある程度の資金が必ず必要になります。クラブの収支だけでやっていけるクラブは一握りです。ですから「地元のクラブが地域文化の誇り」となるまで育てていくには、地域の経済界をはじめ多くの人々が資金面でも支えクラブを守り抜いていくという思いが必要であり、クラブ側には「このクラブは守ってやりたい」と思ってもらえる日頃からの努力が不可欠です。
それには「技術・体力などでは他のクラブにかなわないが、このクラブの選手たちは決して最後まであきらめない。その頑張りには本当に頭が下がる」といったプレー面の努力が第一ですが、サッカーの指導や交流、そしてボランティア活動など、地域との積極的な交流による信頼と親近感も欠かせません。
Jリーグの若き女性理事が「Jリーグを使おう」と呼びかけたのも、地元のサッカークラブが持っている、さまざまなリソース、アセットといったものを地域の皆さんに知っていただいて、ぜひ、使えるものは使ってくださいということで、それが地域におけるクラブの価値をあげることにつながると考えてのことです。
30年を経た今日、J2やJ3のクラブは、そうして重要性をどのクラブも深く理解しています。そして、地域の側にも調布市の課長さんや湘南の造園会社社長さんのように、サッカーとの出会いによって、クラブを支えることに自分の未来を見つけた人たちが、どの町のクラブにも出てきています。
Jリーグの村井前チェアマンは、川崎フロンターレ・中村憲剛選手からかけられた「Jリーグは「地域密着」と言っていますが、川崎Fは一生懸命、それこそ必死にやっています。Jリーグはどんなことをしてますか?」という一言にガーンと頭を殴られた気がして、Jリーグ本体も地域貢献・地域連携というものについて旗を振り直さなければならないと決意したそうです。
その具体的な作戦が、上記番組の③「会計士からJリーグ理事へ」すなわち米田恵美さんの招へいです。彼女の行動力、オーガナイズ力は「Jリーグを使おう」という刺激的なキャッチフレーズに見事に集約されています。
当「夢追い人」は、最近つくづく思います。Jリーグもそうですしサッカー界における経営感覚が、ずいぶんMBA的になってきたなと。MBAというのはご存じのように「経営学修士」と呼ばれる大学の学位のことですが、つまり、打ち出される施策が極めて論理的というか、唸ってしまうことが多いのです。
例えば、Jリーグ理事に招へいされた米田恵美さんが打ち出した2つのコンセプト。
1 .ダイバーシティ&インクルージョン(Diversity & Inclusion)、個々の「違い」を受け入れ、認め、活かしていくこと。
2. トライセクター・リーダー(Tri-sector Leader)、民間・公共・社会の3つの垣根を超えて活躍する人材のこと。
これらの言葉選びもそうですし、その言葉が表している考え方が、とても、当「夢追い人」の及びもつかない内容です。
ですから、当「夢追い人」のような草の根の「ただサッカーを愛するだけの人間」には、JリーグやJFAで構想されているようなことは、別世界のことで、とても自分がその議論の中に入れるような気がしなくなっています。
昔「サッカー」と「まちづくりむらおこし」を結びつけることに関われればと願っていた当「夢追い人」が、何の能力もない「ただサッカーを愛するだけの人間」だということを、最近、いやというほど思い知らされているところです。
やはり、社会的なこれだけ大きな存在になった日本のプロサッカー界をリードしていくには、相当の経営感覚が必要なのだ、相当能力の高い人でないと務まらないのだと、つくづく思わざるを得ません。
ちなみに「Jリーグをつかおう」というキャッチフレーズで全国を駆け回った米田さんは、2022年にJリーグチェアマンが野々村氏に交代して、役員体制も一新されたのを機にJリーグ理事を退任されました。
「シャレン」や「Jリーグをつかおう」という合言葉が彼女の退任とともに消え去ることなく引き継がれていくことを願ってやみません。そのあたりは「FOOT×BRAIN」でもフォローしてもらえるとありがたいのですが。
ところで、今回取り上げた2019年12月15日放送の番組ですが、あれっと思ったことがあります。それは、放送された日付です。思い起こすと、この放送からまもなく、年が明け1月末から新型コロナウィルス禍が全世界にひろがり、日本国内でも、まったく様相が変わってしまった直前の番組です。この時は、まだ、なんの憂いもなく未来を見据えていられた時です。
あれからほぼ4年、やっと元通りの日常が戻ってきて、やっと、また何の憂いもなく未来を見据えられそうなところまで来ました。世界的に見れば戦争が暗い影を落としています。それこそ「日本有事」にでもなって、私たちの日常がまた破壊されるようなことにならないことを願うばかりです。