この椅子が構造的に問題があった椅子です。
3年くらい前に4脚納品したんですが・・・
椅子の前脚がこんな状況になっていると、お客様からご連絡いただきました。
前脚が加重に耐えきれず、前方へと開いてしまっています。
こりゃ、ひどい・・・
今思えば、こうなって当然。
前脚に角度をつけてしまったため、ホゾを支点に足が開いてしまったのだと思います。
こうならないようにするには、脚を真直ぐにするか、ホゾを2枚以上にしておけばよかったのかも。
再びこのような状況にならないようにするには、脚を真直ぐなモノに付け変えるのがいいと思いますが、それではデザインが変わってきてしまいます。全体的なバランスもおかしくなるかも。
このデザインのまま、強度を増す方法はやっぱりホゾを増やすしかないのでしょう。
というわけで、一度前脚を取り外し、ホゾを増やすことに。
これだけ脚が動いちゃっているにも関わらず、幕板はねじれていません。ホゾだけがねじれていたんです。
そしてホゾと脚はガッチリ接着されていました。脚を取り外すのにかなり苦労しました。
通しホゾにクサビはかなり強力ということを実感しました。
ホゾを増やす言っても、この状態でホゾを増やすのは無理。
ですので、ホゾの代わりにダボを埋め込むことにしました。
今度は3点で接着しているので、脚が開いてくることはないと思います。
ダボを埋め込んだあとは再び前脚を接着です。
何事もなかったように、脚が元に戻りました。
4脚、全て修理完了!
この椅子は、こちらのお客様専用にデザインしたもので、一度試作してから制作をしたんですが、大きな会社と違って耐久テストとかは出来ません。個人の工房では、たぶん大丈夫だろうという見切り発車的になってしまうのは仕方ないのではと思うのですが、これももっと経験を積んでいれば、このような作り方はしなかったのでしょう。
まだまだ未熟な分は、誠意を持って修理させていただくことで勘弁していただくしかありません。今回のお客様は、ともてご理解がある方で、「直してもらえると思っていたので心配はしていませんでした。」って言っていただきました。
今回のことは、とてもよい勉強になりました。お金をいただいて勉強させてもらっているとは、本当に良い仕事です。お客様に恵まれていることにも感謝です。
オマケの話し
先日、新座ハンドメイドの雑貨市に超荷物少なめで行ったのは、実はこの椅子4脚を回収するためもあったんです。しかも、椅子4脚はお客様が直接会場に持って来てくれたんです。本当に感謝、感謝です。