知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

PC樹脂営業秘密控訴審

2011-12-19 05:24:46 | 知的財産権訴訟

PC樹脂営業秘密控訴審

平成22年(行ケ)第10296号 

請求認容

裁判所の判断は28ページ以下。

本判決の概要は以下のとおりです。

1 営業秘密性

本判決は、まず、「秘密管理性」の要件について、工場内への入構の制限、「立入禁止の表示」などを根拠として、「外部者・従業員のいずれにとっても、本件図面図表及びその電子データが記録されたフロッピーディスクが秘密として管理されていることは当然に認識されていたというべきであり、本件情報が秘密として管理されていたことは明らか」であると判断しました。

2 不正取得行為

本判決は、次に、図面の入手経路について、「PC樹脂の製造技術が限られた企業によって保有されるもので、一般的に入手し得るものではないこと、被告Y2が平成11年まで出光石化の従業員であり、退職後も千葉工場に出入りしていたこと、被告Y2が日中友好会館での会議に参加し、その直後に中国の藍星公司本社にまで赴くなど、早い時期から深く関与していること、三共PTにおいては被告Y2が仮名で呼ばれ、三共PTのメンバーとの接触も制限されていたこと、出光石化千葉工場に勤務していたDが少なくとも機器図4枚のコピーをとり、被告Y2に交付していることなどからすると、被告Y2が、Dあるいはその他の出光石化の従業員から、甲16の図面1ないし7を複製した図面あるいはこれらの図面に係る電子データを入手し、これを三共プロセスに提供し、三共PTにおいてこれを基にして甲16の図面8ないし14を作成したものと推認するのが相当」と判断しました。

3 損害

本判決は、3項により損害を算定し、「本件情報の使用により原告が受けるべき金額は2億9000万円」と判断しました。

本判決は、損害額の大きさもさることながら、図面の入手経路について間接事実から認定しており、類似の事例の参考になるものと思われます。


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