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地方紙・全国紙も「内部留保」などの活用で雇用の維持を求め始めた

2008-12-12 09:39:20 | 雇用・労働
 当ブログでも度々取り上げている「派遣切り」など、非正規労働者の「使い捨て」問題。
 ソニーでは、正社員8千人を含む、国内外での1万6千人の人員削減を打ち出し、今回の金融危機以降“最大規模”の労働者切り捨てを行おうとしている。

 日本共産党や「赤旗」が、内部留保を雇用維持に回せと論陣を張り、株主配当を一株あたり僅かに3円や5円下げれば、「派遣切り」の必要はなく、正社員化さえも可能であると主張しているが、そのキャンペーンが地方紙まで波及してきた。

 メルマガの配信を受けている【河北新報】でも、下記のような一節を社説(12/11)に掲載している。

 雇用環境の急激な悪化は避けられない。
失業者が増えれば、消費はさらに冷え込む。 
それは企業の生産活動に跳ね返り、景気が一層後退するという悪循環に拍車を掛ける のは必至だ。

 雇用維持に向けた工夫と取り組みを企業に強く望みたい。
 特に大企業はここ数年、好決算続きで、少なくない内部留保がある とみられる。配当の減額 についても株主の理解を得たい。
 そうした資金も活用し、戦略を練り直して事業の再編・再生を図るとともに、雇用の確保に最大限の努力を払ってほしい



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以下、河北新報【社説】2008年12月11日 全文引用

 ソニー人員削減/雇用の維持に最善を尽くせ

 ソニーが、世界規模で正社員を含む約1万6000人の人員削減に乗り出す。このところ自動車産業を中心に雇用調整が相次ぐ中、国内企業としては最大規模の「人減らし」になる。

 これまで着実に改革を進め、世界ブランド復権の足かがりをつかみかけていたソニーでさえ、さらなる改革に急ぎ取り組まなければならない。それほど「金融災害」の影響が、急激で厳しい証左でもあろう。

 国内での削減規模は明らかではないが、その事業規模などから見ても相当数に上ることは間違いなかろう。

 企業によるリストラの動きは自動車業界から電機大手へ、非正規労働者から正社員へと確実に拡大、加速している。

 雇用環境の急激な悪化は避けられない。失業者が増えれば、消費はさらに冷え込む。それは企業の生産活動に跳ね返り、景気が一層後退するという悪循環に拍車を掛けるのは必至だ。

 雇用維持に向けた工夫と取り組みを企業に強く望みたい。
 特に大企業はここ数年、好決算続きで、少なくない内部留保があるとみられる。配当の減額についても株主の理解を得たい。そうした資金も活用し、戦略を練り直して事業の再編・再生を図るとともに、雇用の確保に最大限の努力を払ってほしい。

 ソニーの業績が悪化したのは、景気後退が著しい欧米を中心にした需要減と、急激な円高が原因だ。薄型テレビをはじめとする主力のエレクトロニクス部門が不振に陥った。

 過去3年間で1万人の人員削減を進め、08年3月期には過去最高の純利益を上げた。その経営環境が激変したのは9月の「リーマンショック」以降。「これだけの急変は予測できなかった」(同社幹部)という。

 リストラの軸はエレクトロニクス事業で、国内外の正社員約8000人、非正規社員も約8000人削減する。正社員約16万人のうち国内は4割近い6万人強を占め、しかも同事業が中心なのだから、それ相応の削減数を覚悟しなければならないだろう。

 自動車・トラック大手12社による非正規従業員の削減数は計1万4000人に上る。電機業界のリストラの動きも急だ。東芝やキヤノンをはじめ大手が数百人から1000人規模の非正規従業員を削減。その波は正社員にも及び、パイオニアや沖電気工業といった中堅メーカーに加え、大手でも日本IBMの1000人規模に続き今回のソニーだ。

 世界をリードする「ものづくり」の現場で雇用の縮小が進むのは、世界経済の現状を考えれば無理からぬ面はある。だが、工場や、関連の部品産業を抱える地域の雇用、景気に与える打撃は計り知れない。

 景気の先行き不透明感から、企業がむやみに縮み志向を強め、リストラの流れに便乗するような形で、過度な雇用調整に走ることがあってはならない。

 自動車、電機を中心に事業を海外に依存する企業には、世界戦略の早急な再構築を求めたい。これだけの人的犠牲を払うのだから、経営を再び成長路線に乗せる責任があろう。
                2008年12月11日木曜日 


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派遣切り 労働者を使い捨てにするな
           毎日新聞【社説】(11月27日)毎日.jp 

 「君は明日で終わりだから」。自動車部品メーカーの工場で派遣で働いていた埼玉県の男性(38)は派遣元の営業担当者から突然そう言われた。契約はまだ1カ月残り、その後も更新されると思っていた。休まず残業もこなしてきた。「減産」を理由にメーカーとの派遣契約が中途解約されたことを、派遣元が男性に伝えていなかった。

 派遣元との交渉で残り1カ月分の金銭補償は得られそうだが、新たな働き先はまだ見つからない。男性は「派遣はいつ切っても平気な道具としか思われていない。年末年始をどうしのげばいいのか」と憤る。

 米国発の金融危機のあおりを受け、こんな光景が製造業の現場で広がっている。自動車、電機を中心に工場などで働く派遣労働者や有期雇用の期間工との契約打ち切りが一斉に進む。その数は報道されている大手企業だけでも計1万7000人以上。年末に向けてさらに増えるのは確実だ。非正規社員の「大量首切り」で景気悪化に備えようとする企業の姿が浮かぶ。

 突然切られる労働者はたまらない。派遣や期間工の多くは3カ月や6カ月の短期契約を更新しながら働いているが、更新なしの雇い止めだけでなく、一方的な中途解約も少なくない。工場近くの寮も同時に出なければならず、仕事と住居を一遍に失ってしまうケースが多い。インターネットカフェで寝泊まりしたり、そのまま路上生活に移行したりする人も出始めている。

 まさしく使い捨てだ。 非正規を正社員よりも安い賃金で働かせ、巨額の収益を上げてきた製造大手が先行きに不安を抱くや、千人単位でばっさり切ることが許されるのだろうか。増益を見込んだり、多額の内部留保があったりする企業も少なくないのに、である。

 企業が正社員を経営上の理由で解雇するには、努力しても他に方法がないなど厳格な要件が必要だが、この考え方は非正規にも通じるはずだ。企業には再考を求めたい。派遣元も含め、再就職先のあっせんなどにも手を尽くすべきだ。雇用の不安定は消費低迷を招き、景気悪化に拍車をかけ、社会不安も引き起こす。企業には重い社会的責任があることを自覚してほしい。

 政府も手をこまねいている場合ではない。全国の実態を早急に調べ、問題あるケースがないか監視を強めるべきだ。就職先紹介や住宅あっせん、失業給付金支給などにも万全を尽くしてもらいたい。

 派遣では、相次ぐ規制緩和で派遣先の対象が広がり04年から製造業へも解禁されたことが今日の事態を招いたといえる。派遣は雇用の調整弁に使われるとの懸念がまさに現実になった。政府が今国会に提出した労働者派遣法改正案は、今起きている「派遣切り」問題には無力のままだ。派遣先を専門業務に限るなどの抜本改正がぜひとも必要だ。

           毎日新聞 2008年11月27日 0時01分 


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内定取り消し 厚労省あの手この手 採用で助成金、企業名公表…(産経新聞) - goo ニュース