鳩山総理の資金問題を不起訴処分としたことに対して、検索審査会は「不起訴相当」との結果を出した。
<blocckquote>
鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」をめぐる偽装献金事件で、東京第四検察審査会は、政治資金規正法違反(虚偽記載など)容疑で告発された首相と元政策秘書(55)を東京地検特捜部が不起訴(嫌疑不十分)とした処分について、不起訴相当とする議決をした。21日付。26日に公表した。
特捜部の処分を妥当としたもので、再捜査は行われず、偽装献金事件をめぐる首相の捜査は終結する見通しだ。
議決書は、収支報告書の実態のない個人寄付やパーティー券収入水増しなどの虚偽記載については、友愛政経懇話会の事務担当者だった元公設第1秘書・勝場啓二被告(59)以外の者が知っていたとの証拠は見いだしがたい、と指摘した。
ただ、首相が偽装献金の原資の一部になった実母からの年間1億8千万の資金提供を「まったく知らなかった」などと釈明したことを「素朴な国民感情として考えがたい」と批判。また特捜部が首相への事情聴取をしなかったことにも触れ、「(首相の)一方的な言い分にすぎない上申書の内容そのものに疑問を投げかける声が少なからずあった」と異例の「付言」をした。
規正法は会計責任者の選任・監督義務違反について、選任と監督の両方の注意を怠った場合と定めている。鳩山首相については「選任に相当の注意義務を怠ったとはいえない」と判断し、監督責任までは検討せずに不起訴を支持した。一方で、「政治家に都合のよい規定だ。選任さえ問題なければ監督不十分でも刑事責任に問われないというのは、監督責任だけで会社の上司等が責任を取らされている世間一般の常識に合致しないので改正されるべきだ」と指摘した。
特捜部は昨年12月、勝場元秘書を同法違反(虚偽記載)罪で起訴した。会計責任者だった元政策秘書も、今回の審査対象の虚偽記載容疑とは別に、重大な過失があったとして同法違反罪で略式起訴され、罰金30万円、公民権停止3年の略式命令を受けた。
首相は「勝場元秘書にすべて任せており、自分は知らなかった」とする上申書を提出。特捜部は「首相自身が虚偽記載に関与した証拠がない」として不起訴とした。これに対し、首相を告発していた都内の男性が2月、検察審査会に審査を申し立てた。
勝場元秘書は、東京地裁での公判で起訴内容を全面的に認め、22日に執行猶予つき有罪判決を受けた。(浦野直樹、久木良太)
*******************************************
(左のアイコンをクリックして
もらえたら嬉しいです)
*******************************************
鳩山首相不起訴相当 検察審査会の議決要旨
産経新聞 04月26日13時27分
鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」をめぐる偽装献金事件で、東京第4検察審査会(検審)が、鳩山氏の不起訴処分について「相当」とした議決の要旨は次の通り。
【議決の趣旨】
本件各不起訴処分は相当である。
【議決の理由】
(1)被疑事実の要旨
(略)
(2)検察官の不起訴処分
各被疑事実について嫌疑不十分
【審査会の判断】
▽関係者の供述は、収支報告書の虚偽の記載は勝場啓二被告(59)以外の者は全く知らず、鳩山氏は一切関与していないということで一致し、鳩山氏自身が虚偽の記載に積極的に加担しなければならない動機も見いだしがたく、他の証拠を検討してもこれを否定、覆すに足りる証拠はない。
収支報告書の虚偽の記載には直接関係しないが、一連の証拠によれば、「友愛政経懇話会」を含む鳩山氏の政治団体には、鳩山氏の母から、総支出に総収入を合わせる形で、実際の寄付などのほか、毎月1500万円、1年間で1億8000万円が拠出されている。
それにもかかわらず、鳩山氏は母からの莫大(ばくだい)な資金が使われていることも全く知らなかったという。
しかし、当検察審査会としては、素朴な国民感情として、このようなことは考えがたいとし、鳩山氏自身に対して検察官の取り調べがなされなかったこともあり、鳩山氏の一方的な言い分にすぎない上申書の内容そのものに疑問を投げかける声が少なからずあったことを付言する。
▽鳩山氏が会計責任者の選任について、相当の注意義務を怠ったということはできない。
政治団体の代表者が、政治資金規正法の適用を受けるのは、代表者が会計責任者の選任および監督について相当の注意を怠ったときである。「選任および監督」の「および」は、選任と監督の両方を充足しない限り、責任を問うことはできない。
したがって、選任において問題がないことの結論に至った以上、監督面について検討するまでもない。
なお、この「選任および監督」について、当検察審査会では「政治家に都合のよい規定になっている。監督責任だけで会社の上司らが責任を取らされている世間一般の常識に合致していないので改正されるべきである」との意見が強く主張されたので付言する。