今朝のNHKニュース(7時代)で、3月11日午後2時46分から5分程度連続して起こった【M9.0】の「本震」の予兆と思われる【M7.3】の巨大な予震が、二日前に観測されていたという話が紹介されていた。
(NHKニュースのサイトを2時間後に探してみたが見つけられなかった。)
地震予知に携わっていた科学者は、この【M7.3】の巨大な地震が『本震』と思い込んでいて、これが【東日本大震災】の前兆とは全く考えなかったと言う。
しかし、予知できなかったことを責めることはできないだろう。
今となっては、【M9.0】の超弩級の巨大な地震が『本震』であったことが解っているから何とでも批判できるが、当時の観測としては、この【M7.3】の巨大な地震の前兆となる地震が多発しており、この地震を『本震』であると確信したのも致し方無いことであったと思う。
私は思うのだが、3月11日午後2時46分の地震は、確かに被害の大きさから言えば最大ではあるが、一連の地殻変動の内の大きなものの一つであり、これが、「本震」であり、その前後が『予震』 や『余震』という言い方は、単なる「呼び方」の違いに過ぎないのではないだろうか?
プレート境界ですこしづつ歪(メディアではストレスと表現している処もある)が蓄積し、これを解消しようと言う力が働いて反発する。
有る処で歪が少し解消すると隣接する境界に応力が集中し、そこも反発する。
そういう動きが次々と(主に3月9日~11日まで)連なって行く中で、一気に相当範囲のプレートが反発したのが3月11日午後2時46分の現象であり、
さらにその外側に残った歪を解消する方向で、いわゆる『余震』というものが続いている訳であって、
これらは一連の地殻変動なのである。
そういう意味でも、「『本震』を予知できなかった」というマスメディアの言い方は、結果論に過ぎないと考える。
今回の経験を科学的に精密に分析し、今後必ず起こると科学的に立証されている関東・東海・東南海地震・予知に活かして頂きたい。
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上の記事とは少し異なりますが、一連の地震に関して、各地の震度について最新の情報によって改訂されたものが4月25日気象庁より発表されました。
リンクアドレスをコピペしておきます。
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」及び同地震以降の地震により各地で観測された震度等について(第2報) [PDF形式: 267KB]
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気象庁のサイトから、これらの『予震』や【本震】、『余震』
のうち幾つかを引用する。
2011年3月 9日11:45:12.9 最大震度:5弱 M:7.3 三陸沖
38゜19.7'N 143゜16.7'E 深さ:8km
2011年3月 9日11:55: 9.9 最大震度:1 M:4.8 三陸沖
38゜24.2'N 143゜19.2'E 深さ:14km
2011年3月 9日11:57:10.7 最大震度:2 M:6.2 三陸沖
38゜19.3'N 143゜23.8'E 深さ:12km
2011年3月 9日11:58:11.8 最大震度:3 M:6.0 三陸沖
38゜17.9'N 143゜ 9.3'E 深さ:21km
2011年3月10日06:23:59.7 最大震度:4 M:6.8 三陸沖
38゜10.3'N 143゜ 2.6'E 深さ:9km
2011年3月11日03:13:59.3 最大震度:3 M:3.4 宮城県北部
38゜48.2'N 140゜51.6'E 深さ:5km
2011年3月11日07:44:21.6 最大震度:1 M:4.8 三陸沖
38゜38.0'N 143゜14.8'E 深さ:31km
2011年3月11日14:46:18.1 最大震度:7 M:9.0 三陸沖【本震】
38゜ 6.2'N 142゜51.6'E 深さ:24km
この【本震】以降、以前は『大地震』と思われてきた
「震度5」が、ごく当たり前になってきた。
(コメントは引用者:以下同様)
2011年3月11日14:51:27.4 最大震度:5弱 M:6.8 福島県沖
36゜44.0'N 142゜ 1.7'E 深さ:11km
その後も福島県沖で最大震度:5弱の余震が頻発
ここからプレートの反発(ズレ)が次第に範囲を広げてくる
2011年3月11日15:06:10.7 最大震度:5弱 M:6.4 岩手県沖
39゜ 2.5'N 142゜23.8'E 深さ:27km
2011年3月11日15:08:20.3 最大震度:5弱 M:4.6 静岡県伊豆地方
35゜10.8'N 139゜ 1.5'E 深さ:6km
2011年3月11日15:15:34.4 最大震度:6強 M:7.7 茨城県沖
36゜ 6.5'N 141゜15.9'E 深さ:43km
やがて、歪は内陸部にも
2011年3月12日03:59:15.6 最大震度:6強 M:6.7 長野県北部
36゜59.1'N 138゜35.8'E 深さ:8km
2011年3月15日22:31:46.3 最大震度:6強 M:6.4 静岡県東部
35゜18.5'N 138゜42.8'E 深さ:14km
プレートの歪の反発は一層南に広がる
2011年3月16日12:52: 2.7 最大震度:5弱 M:6.1 千葉県東方沖
35゜50.2'N 140゜54.3'E 深さ:10km
2011年3月19日18:56:48.0 最大震度:5強 M:6.1 茨城県北部
36゜47.0'N 140゜34.2'E 深さ:5km
福島原発の至近「福島県浜通り」でも震度5クラスが続き
2011年3月23日07:12:28.7 最大震度:5強 M:6.0 福島県浜通り
37゜ 5.0'N 140゜47.2'E 深さ:8km
以下度々「福島県浜通り」を震度5クラスが襲う(省略)
2011年4月7日23:32:43.4 最大震度:6強M:7.1 宮城県沖
38゜12.2'N 141゜55.2'E 深さ:66km
これが今のところ最大の余震とされている。
2011年4月11日17:16:12.0 最大震度:6弱 M:7.0 福島県浜通り
36゜56.7'N 140゜40.3'E 深さ:6km
福島原発の至近「福島県浜通り」を度々巨大地震が襲う!
(以下、略)
気象庁 最近の有感地震(震度 ≧ 1)
(4月19日24時まで) より引用
東日本大震災の前兆すべり観測できず 問われる予知体制
(朝日新聞) - 2011年4月26日(火)22:20
(画像もasahi.com 2011/4/27 より)
巨大地震の前触れと考えられている「前兆すべり」が東日本大震災の前に観測されなかったことが、26日に開かれた地震予知連絡会で報告された。前兆すべりの検知を前提とした東海地震の予知体制のあり方が問われることになりそうだ。
予知連では、山岡耕春名古屋大教授が、国土地理院や防災科学技術研究所などの観測結果をまとめて報告。全地球測位システム(GPS)による地殻変動や、岩盤のわずかな伸び縮みや傾きを観測データを示し、「本震前に前兆すべりのような顕著な変動はみられない」と説明した。
前兆すべりは、地震を起こすプレート(岩板)とプレートの境界が、地震の前にゆっくりと滑り始める現象。東海地震の予知を目指して、気象庁は東海地方に展開する観測網でとらえようとしている。
この理論では、東日本大震災の前に前兆すべりが観測されたはずだった。観測網は東海地方の方が充実しているが、マグニチュード(M)9.0という巨大地震でも観測できなかったことは、M8級と想定される東海地震の予知が本当に可能かの検証が必要になる。
東海地震は、政府が唯一予知の可能性があるとして、大規模地震対策特別措置法で予知した場合に備えた防災体制を構築している。
地震予知連会長の島崎邦彦東大名誉教授は「東海地震のような前兆すべりは観測できなかった」と認めた上で、「(観測条件や地下の特性は)東海とは同じではない」と話した。
東海地震の予知は、地震学者にも「今の地震学では予知できない可能性の方が高い」とする意見や、ロバート・ゲラー東大教授のように「政府は不毛な短期的地震予知を即刻やめるべきだ」との指摘もある。しかし、予知の可能性は残されており、政府は失敗した場合に備えながらも、予知体制を維持している。
気象庁地震予知情報課の土井恵治課長は「前兆すべりがとらえられなかったことは事実だが、『なかった』と証明されたわけではない。東海地震の予知体制が否定されたわけではなく、今後も見逃さないように観測を続けていく」と話している。
(朝日新聞) - 2011年4月26日(火)22:20(松尾一郎)