定期点検で停止中の原発を再起動することについて、
原発推進派の経済産業省の海江田万里経済産業相が原発の早期再開を
求めたことについて、菅直人首相は、「私も(考え方は)まったく同じ。
きちんと安全性が確認されたものは、稼働していく」と述べた。
原発の早期再稼働要請、首相が経産相判断を支持(朝日新聞) - 2011年6月19日(日)21:16
一方、原発を抱える各県知事は、難色を示している。 当然のことだ。
原発再稼働 信頼得られぬ「安全宣言」 地元冷ややか(産経新聞) - 2011年6月19日(日)08:00
政府が、点検中の原発の再稼働を急ぐ背景には、『電力不足キャンペーン』
という、電力会社の居直り脅迫を真に受けてしまった政府の失態を隠し、
原発の運転再開を何がなんでも実行しなくてはならなくなった事情がある。
マスコミからも 『夏前ありき「安全宣言」』 と突っ込まれている!
原発再稼働要請へ 夏前ありき「安全宣言」
毎日新聞 <クローズアップ2011> 2011年6月19日(日)13:00
まさに、その通りで、様々な側面を全て点検して 【安全である】 ことが
確認できてから再稼働を認めた訳ではなく、(東電フクシマだけでもまだ多くの
課題が残っているのに、他の原発の脆弱性がこの3ヶ月で解決できたとは到底
考えられない)、「夏前ありき」の『安全』宣言なのである。
国民を一層危険な状況に落とし入れても平気らしい。
とんでもないことだ!
(産経新聞 2011年6月19日 より 全国の原発の状況図)
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原発の早期再稼働要請、首相が経産相判断を支持(朝日新聞) - 2011年6月19日(日)21:16
菅直人首相は19日、海江田万里経済産業相が定期点検で停止中の原発の早期再開を求めたことについて「私も(考え方は)まったく同じ。きちんと安全性が確認されたものは、稼働していく」と述べ、海江田氏の判断を支持した。自然エネルギーに関するインターネット番組で視聴者の質問に答えた。
首相は、東海地震の想定震源域にある中部電力浜岡原発について「例外的な事情がある」と指摘。そのうえで他の原発について「従来よりもより厳しい観点で安全性を確認し、再稼働を認めていく。全ての原子炉を止めることは、あまりにも経済への影響が大きい」と強調した。
原発再稼働 信頼得られぬ「安全宣言」 地元冷ややか(産経新聞) - 2011年6月19日(日)08:00
海江田経産相が18日に行った原子力発電所の安全宣言は、原発の立地する自治体に理解を促し、再稼働につなげるのが狙いだ。しかし新潟県の泉田裕彦知事は「原発の安全性について、大臣談話は論評に値する内容を何も含んでいない」と突っぱねた。再稼働は立地自治体を個別に説得できるかが焦点となる。
新潟県には東電柏崎刈羽原発が立地する。泉田知事は「(経産相は)福島原発の事故原因の検証も行わないまま、『安全性』を確認したとの談話を出した」と切り捨てた。
安全宣言によって、政府に対する不満や不信感を募らせたのは新潟県に限らない。
福島原発の地元、福島県の佐藤雄平知事も同日の会見で、「国はどんな安全基準を示したのか。(各県とも要請を受けるには)安全確認の証左が大前提だ」と、事故収束が進まない現段階での再開要請に不快感を表明。停止中の福島第2原発について「再稼働はありえない」と断言した。
全国最多の原発13基(商業炉のみ)が立地する福井県の反応も冷ややかだ。これまで国に対し新たな安全基準を求めてきたが、同県安全環境部の桜本宏企画幹は「(この日の談話には)目新しい内容がない。プラント(原発)の安全が担保できるとは考えられない」と吐き捨てた。
関西電力美浜原発を抱える同県美浜町の中村春彦副町長も、同日開かれた県原子力平和利用協議会で安全宣言に触れ、津波対策などについて国が明確に示していない点をあげ「要請があっても再起動に応じられない」と宣言した。
関電管内では大阪府の橋下徹知事がこの日、「無責任だ。海江田大臣をはじめ、経産省の皆さんを強制的に原発の周りに住まわせたらいい。事故の収束もつけられない日本政府が『安全だ』とはどういう思考回路だ」と気勢を上げた。
戸惑いをみせる自治体もある。
全国で唯一、県庁所在地に島根原発を抱える島根県の溝口善兵衛知事は「(県の)原子力安全顧問など専門家の意見も聴く必要がある」と表明。東北電力女川原発の地元である宮城県の村井嘉浩知事は「コメントする段階にない」、日本原子力発電東海第2原発がある茨城県は「コメントは控える」(原子力安全対策課)とそれぞれ直接の言及を避けた。
東北電力東通原発を抱える青森県東通村の越善靖夫村長は「今の段階でどうだこうだといわれても…」と困惑の表情を浮かべた。
九州電力玄海原発を抱える佐賀県の古川康知事は「談話は再起動への国としての意思が明確に示されたものと受け止める」と前向きの談話を発表。ただし玄海原発の運転再開に関しては「県議会の議論なども踏まえて判断する」と述べるにとどめた。
北海道電力泊発電所のある泊村の牧野浩臣村長は「よかった。一刻も早く再稼働してほしい」と話すが、歓迎する自治体は少数派で、政府は今後、多くの立地自治体が抱える不信感の解消に取り組む。
原発再稼働要請へ 夏前ありき「安全宣言」
毎日新聞 <クローズアップ2011> 2011年6月19日(日)13:00
◇政府、電力不足恐れ
海江田万里経済産業相が18日、「各原発ではシビアアクシデント(過酷事故)対策が適切に取られている」とし、再稼働を地元自治体に要請する考えを示したのは、放置すれば電力不足が深刻化し、日本経済や生活に重大な影響が出ると判断したためだ。だが、肝心の原発の安全性については地元の疑問や要望に応えておらず、再稼働への道筋は見えていない。【野原大輔、中西拓司、久野華代】
「(今回の対策が)行われた上でもなお再稼働できない場合には、関東、東北だけではなく、中部、関西、西日本においても産業の停滞、国民生活の不安が出てくる」
海江田経産相は18日の緊急会見でこう訴え、原発の立地自治体に再稼働への理解を求めた。口調は穏やかながら、半ば「脅し」とも取られかねない厳しい発言の裏には、全国的な電力不足への強い危機感がある。
定期検査などで停止中の原発のうち、本来なら今夏までに再稼働するはずの原発は11基。定期検査は13カ月ごとに義務付けられており、待つほど稼働中の原発は減ることなどから、「ドミノ的に電力不足が広がる」(電力関係者)懸念がある。
海江田経産相は原発の所管大臣である一方、産業振興の担当でもある。全国的な電力不足に陥れば生産などに大きな支障が出る経済界からは「国が責任を持って国民に説明し、再稼働を図ってほしい」(日本商工会議所の岡村正会頭)などのプレッシャーが集中している。電力消費がピークを迎える真夏まで残された時間はほとんどなく、これ以上の日本経済への打撃を避けるためには、自ら乗り出して再稼働を働きかけるしかないと判断したとみられる。
さらに、海外向けに日本が原発の安全対策に最大限取り組んでいることをアピールするという意味もある。海江田経産相は、20日からウィーンで開幕する国際原子力機関(IAEA)閣僚級会議に出席し、原発対応を報告する。会議前に発表するために原発の現地調査などを急いだとみられるが、「スケジュールありき」で進められた側面は否めない。
しかし、地元自治体が再稼働に応じるメドは立っていない。政府が中部電力浜岡原発の停止を要請した際、「国策として協力してきた地元への説明がなく、信頼関係がなくなった」(福井県敦賀市)ことが響いており、今回の再稼働要請に対しても「国は責任ある説明が必要」(高橋はるみ・北海道知事)など慎重姿勢を崩していない。
地元は全国一律の安全基準以外に、それぞれの事情に応じた対応策を求めている。例えば、福井県は運転開始から40年以上を経過した高経年化原発へのより厳しい安全基準の必要性を指摘している。だが、海江田経産相が、各自治体の要望に沿った対策を持っていくのは「時間的に無理」(経産省幹部)とみられ、国と自治体の間にある「不信」という溝は埋まりそうにない。
◇事故対策、対症療法否めず
原発の安全規制を担う経済産業省原子力安全・保安院は、福島第1原発事故のようなシビアアクシデント対策について7日に調査を始めてからわずか11日で原発の「安全宣言」を出した。だが、今回の点検項目は、水素爆発対策など第1原発の事故に関係した5項目だけで、それ以上については「今後の検討課題」(保安院)。現地立ち入り検査もたった2日間で終え、発表を急ぐ政府に配慮して「お墨付き」を与えた格好になった。
「保安院は(再稼働について)地元同意を得るためにやっているのではない」。保安院の山本哲也・原発検査課長は18日の会見でこう述べたが、会見には資源エネルギー庁幹部も同席。「(電力供給不足による)産業空洞化は今そこにある危機」とするエネ庁作成の資料も配布され、「一体感」は否めなかった。
保安院は11事業者に対して、福島第1原発1~3号機で発生した水素爆発対策、中央制御室の非常用換気装置の電源確保などを求めたが、いずれも第1原発の事例をなぞった「対症療法」。より過酷な事故対策については「どういう事態を想定するかも含めて中長期課題で取り組む」と述べるにとどめた。
各事業者の取り組みも「津波浸水を想定し、2017年度ごろまでに内線電話交換機電源を高所へ移設」(関西電力美浜原発1~3号機)▽「今後3年程度で水素ガス抑制装置を設置」(九州電力玄海原発1~4号機)――など、緊急性を優先しているとはいえない。
「人類が経験した原発事故をすべて考えて対応した。今回の対策をやっている原発は安全だ」。西山英彦・保安院審議官は18日夜の記者会見で力説した。
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◆原子力安全・保安院が実施した調査の流れ◆
7日 国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に提出する政府報告書を受け、電力各社など11事業者に「水素爆発などの過酷事故」を想定した対策の報告を指示
14日 11事業者から報告書を受理
15日 関電、九電などの各原発を立ち入り検査
16日 東電福島第2などの各原発を立ち入り検査
18日 全事業者について「対策は適切に実施されている」との調査結果を公表。海江田万里経産相が現在停止中の原発の再稼働を要請
20日 IAEA閣僚会議に海江田経産相が出席、国内の取り組み状況を報告へ
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