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沖縄の声を無視し、オスプレイ追加配備 2機・普天間飛行場に着陸

2013-08-03 23:13:56 | 戦争と平和
2013年8月3日(土)

 殆どの沖縄の人々と、多くの日本国民の声を無視して、

オスプレイの普天間飛行場への追加配備が米軍によって強行されました。

 下の映像を見ていると、普天間飛行場周辺の人口密集地を

いわゆる『ヘリモード』で飛んでいます。


    (画像は 【琉球新報】 号外 より)

 これは、日米合意にも反する危険な行為です。

 オスプレイの配備は、日本のために何の役にも立ちません。

 地元、沖縄の【琉球新報】の関連記事を下記に引用します。

  
オスプレイ2機飛来 普天間に追加配備


オスプレイ追加配備 普天間飛行場 動画
 琉球新報 - 2013年8月3日
 

 米軍普天間飛行場への追加配備に向けて山口県の岩国基地に一時搬入されていた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機の沖縄への移動が3日始まり、最初の1機が午後4時34分ごろ、2機目が同40分ごろ同飛行場に着陸した。 



オスプレイ2機飛来 普天間に追加配備
 琉球新報 - 2013年8月3日
 

 米軍普天間飛行場への追加配備に向けて山口県の岩国基地に一時搬入されていた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機の沖縄への移動が3日始まり、最初の1機が午後4時34分ごろ、2機目が同40分ごろ同飛行場に着陸した。当初、午前中に到着予定だったが、出発が遅れた。同日午前、普天間飛行場の野嵩ゲート前では、オスプレイの追加配備に反対する抗議行動をしていた男性1人が、公務執行妨害の疑いで逮捕された。オスプレイ配備に関する抗議行動で逮捕者が出るのは初めて。

 オスプレイ2機は3日午後2時25分すぎ、岩国基地を離陸し、普天間飛行場に向かった。
 追加配備が完了すれば昨年10月に配備された12機と合わせて普天間のオスプレイは24機態勢となり、米海兵隊は「CH46中型輸送ヘリコプターからの更新が完了する」と説明している。
 安全性などへの懸念から県内世論が強く反対している中での再度の配備強行に反発が強まっている。
 在沖米海兵隊は3日、オスプレイの追加配備の状況を公開するため、米軍普天間飛行場に集めた報道陣に対し同日、岩国基地から配備予定のオスプレイの飛来が夕方になるとの見通しを説明。在沖米海兵隊報道部は「機体の問題はないが、来るまでにクリアしなければいけないステップが多く、まだクリアできていない」と予定より飛来が遅れている理由を説明した。詳細には触れなかった。
 米軍普天間飛行場の野嵩ゲート前には、同日早朝から追加配備に反対する市民ら数百人が駆け付け、座り込みなど抗議行動を続けている。宜野湾署は午前8時40分ごろ、抗議行動をしている50代とみられる男性1人を公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕した。
 宜野湾署によると、男性はもみ合いの最中、警察官の制服のボタンを引きちぎったとしている。
 仲井真弘多知事は追加配備に対して「県民の不安は払拭ふっしょくされていない」と反発しており、今後、今月中旬の県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)の要請行動などを通して引き続き配備撤回を求めていく考えだ。
 追加の12機は7月30日、民間輸送船で岩国基地に搬入された。防衛省は県などに対し、試験飛行などを経て約1~2週間後に普天間に移動すると説明していたが、陸揚げから4日で沖縄に配備された。 



県民反対の声届かず オスプレイ追加配備
 琉球新報 - 2013年8月3日
 

「負担倍増」も無関心/両政府、規定路線を強調

 米軍普天間飛行場に追加配備されるオスプレイ4機が3日飛来する。残り8機も5日に到着する見通しで、既存の12機と合わせて県民の負担は「倍増」することになる。運用ルールや安全確保策に違反している飛行実態を指摘しても、日本政府は米軍の説明に沿って安全性を強調。県庁内では県民挙げた配備反対の声が届かないことへのもどかしさが渦巻く。一方で、米政府は追加配備問題を淡々と見守る。日本の国内問題と捉える向きもあり、無関心さが際立ち始めている。


■「言い続けるしか」

 訪問先の米ハワイで飛来に関する連絡を受けた県の又吉進知事公室長は「県の懸念は変わっていない。政府にはこれまで通り再考を求めていきたい」と強調し、今後も配備計画の見直しに向けた対政府折衝を続けていく考えを示した。
 だが庁内では昨年10月の最初の配備の見直しも求めている中で、「既成事実」を積み重ねられることへのいら立ちも隠せない。県幹部は「本土への訓練移転などの負担軽減の実現性は見えず、意見は聞き入れられない。今後どのように反対を訴えていけばいいのか」とため息を漏らす。
 親川達男基地防災統括監は今後の対応について「悩ましいが、配備反対を訴え続けるしかない」と語る。県軍用地転用促進協議会(軍転協)などの枠組みを通して、オスプレイをめぐる政府の姿勢にくさびを打ち続ける構えだ。


■安全性を強調

 政府は沖縄の負担軽減に向けた取り組み姿勢を強調しているが、米軍に配備計画を見直しを求める考えはない。
 小野寺五典防衛相は2日、「基本的には民主党政権時代に(配備計画に関する日本側への正式通告となる)接受国通報があった。今回も淡々と行われていると思う」と追加配備は既定路線との認識を示した。
 岸田文雄外相は「依然地元に大変厳しい声があると承知しているが、安全性、安全保障上の意義をしっかりと丁寧に説明していかなければならない」とオスプレイの「安全性」を強調し、県民に理解を求めた。


■問題「決着済み」

 安全性に関する県民の懸念を横目に米国内ではオスプレイ配備問題は一段落したとする雰囲気が漂う。
 昨年10月の最初の12機配備時は海兵隊のエイモス総司令官が声明を発表し、長期間の設計、開発過程などを細かく説明したが、今回は米側からの声明などはなく、日本国内の状況を見守る姿勢に終始している。
 追加配備を正式に合意した今年4月の日米防衛相会談の際、小野寺防衛相はヘーゲル米国防長官に「安全対策の徹底を求めた」と強調したが、直後に防衛省の担当者は「今回は岩国からの移動に時間はかけない。安全性の確認作業はもうない」と説明。「問題はもう決着した」とする米側の意向を追認する考えを示していた。こうした日本政府の姿勢を背景に米軍は岩国への陸揚げからわずか4日で沖縄への配備を発表した。
 (池田哲平、問山栄恵、島袋良太) 



12機岩国到着 オスプレイ全機を撤収せよ
 琉球新報 - 2013年7月31日・社説
 

  米軍普天間飛行場に追加配備される米海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が岩国基地に到着した。機体の搬入や整備を経て8月上旬にも普天間に飛来する予定だ。昨年10月の12機に続いての強行配備で、24機が沖縄に駐留することになる。
 県内では知事と全41市町村長が反対を表明し、県議会と全市町村議会が反対決議をしている。沖縄の民意を無視した強行配備は到底容認できない。
 オスプレイ配備後の昨年10月から今年3月末までの間で、普天間飛行場から派生する航空機騒音は宜野湾市上大謝名地区で9344回発生した。前年同期と比べて1206回、14・8%増加した。機数が倍増すれば騒音も倍増するのは明らかだろう。飛行場周辺の住民被害を日米両政府はどう考えるのか。
 昨年2月、米側から在沖海兵隊の岩国への一部移転を打診された際、政府は即座に断った。玄葉光一郎外相(当時)は岩国市長に「(移転を)お願いするつもりはないので安心してほしい」と述べた。沖縄配備を断り、なぜ沖縄県民に「安心してほしい」とは言わないのか。この国にとって沖縄は何なのか。
 普天間飛行場に駐留する第1海兵航空団は1976年に岩国から沖縄に移転した。本土から沖縄には簡単に移転し、沖縄から県外への移転は政府が拒絶する。これは差別以外の何物でもない。
 昨年8月、当時の森本敏防衛相は一時移駐した山口県知事に「大変な心配、迷惑をかけ申し訳ない」とわびた。今回の地元への伝達では沖縄県と宜野湾市を訪れたのは沖縄防衛局の企画部長で、1週間程度とどまるだけの山口県と岩国市には国会議員の防衛政務官が向かった。沖縄軽視にも程がある。
 オスプレイの飛行実態について、日米間で合意した安全確保策に照らして違反だと県が指摘した318件について、沖縄防衛局は「違反しているとの確証は得られていない」との結論を公表した。午後10時以降の飛行を確認しているが「運用上必要と考えられるものに制限される」とあることから、合意違反ではないとしている。野放図な飛行を容認するとは犯罪的だ。
 これ以上、県民は危険と共存する不条理を受け入れることはできない。沖縄から全てのオスプレイを撤収させるべきだ。 



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麻生副総理による ナチスの「「あの手口、学んだらどうかね」 『撤回のコメント』に説得力皆無!

2013-08-02 23:54:57 | 政治
2013年8月2日(金)

 麻生副総理が、憲法改悪について、要旨「ナチスの手口に学んだらどうか?」

と7月29日に『トンデモ発言』をして、31日に撤回した事件。

 新聞Web版などの情報によると、大まかな流れは以下のようです。

1)『右翼文化人』櫻井よしこ氏が主催する「国家基本問題研究所」で発言

① ヒトラーは民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って出てきた。
  ワイマール憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ憲法下にあってヒトラー
  が出てきた。常に憲法が良くても、そういったことはあり得る。
  日本の憲法改正も狂騒の中でやってほしくない。

② ワイマール憲法もいつの間にか変わっていて、ナチス憲法に変わっていた。
  誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。
  喧噪の中で決めないでほしい。

③ しかし、重ねて言いますが、 喧騒 の中で決めないでほしい。
  それだけはぜひ、お願いしたい。


2)7月30日頃から、WebニュースやSNSで話題沸騰。

3)7月31日に、発言撤回と麻生太郎本人の釈明のコメント

① 私のナチス政権に関する発言が、私の真意と異なり誤解を招いたことは
  遺憾である。(この『遺憾』は、「心外だ」の意味らしい)

② 喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま
  進んでしまった悪(あ)しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に
  係る経緯をあげたところである

③ この例示が、誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示として
  あげたことは撤回したい。


     ******************

 しかし、誰でも気付くような矛盾があります。

 7/29の発言では、
ワイマール憲法もいつの間にか変わっていて、誰も気づかないで変わった。
 あの手口に学んだらどうかね。 喧噪の中で決めないでほしい。


  と言っており、ナチスが憲法を変える(実際には憲法を変えてはいない)
 にあたっては、喧騒の中ではなく、誰も気づかないで変わった。

  ことを強調しているのです。

 ところが、7/31の釈明では、
「ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯」を喧騒に紛れて進んでしまった。

  と、全く反対の話をして自らの発言が誤解されたと言い逃れしています。

 誤解しているのは、麻生氏自らではないのか?とツッコミたくなります。

 おまけに、麻生氏がこの発言をしたことが、皮肉にもマスメディアによる

「喧騒」を結果的に招いてしまっているのです。

 当然、麻生氏の『本音』からしても、このような喧騒の中で、憲法改正論議

などして欲しくないし、その点は私も一緒です。

 元々、麻生氏の云う「喧騒」とは、自民党の『憲法改正案』に対する

外部からの批判のことであろうと思われます。

 いずれにせよ、今の状況は『憲法改正』を国民に示せる状況ではありません。

     ******************

 自民党が麻生発言を早急に収拾したかった理由は、以下が指摘されています。

① アメリカの有力者を始めユダヤ団体が発言発覚後直ちに抗議声明を挙げた。
  アメリカの中枢はユダヤが握っており、ユダヤとの対立は対米関係を
  悪化させることになることに配慮。欧州・アジアでも抗議広がる。

麻生副総理のナチス引き合い発言 米ユダヤ人団体が非難声明
 (産経新聞) - 2013年8月1日(木)11:39


中国外務省、麻生氏発言を非難
 =共産党機関紙も批判

 (時事通信) - 2013年7月31日(水)22:06


② 2020年オリンピック招致活動に影響を与えるのを避けるため。
  来月に開催地が決められるオリンピック招致委員の離反を防ぐため。

③ 第一次安倍内閣では、閣僚の失言や非社会的行動で脚を引っ張られ
  退陣に追い込まれたことへのトラウマ。
  退陣の本当の理由は選挙での大敗北ではあったが、体調が理由とされた。
  今度は、衆議院選挙・参議院選挙とも大勝したのに閣僚に脚を引っ張ら
  れて、再び退陣に追い込まれることを避けた。

     ******************

 なお、この問題について、毎日新聞が今日の「社説」で、短いが適切な指摘を

していたので、引用して紹介します。



【社説】 麻生氏ナチス発言 撤回で済まない重大さ
 毎日新聞 - 2013年08月02日 02時30分


 また、フィナンシャル・タイムズでもこの問題を取り上げています。

ナチス失言であらわに、自民党の改憲の野心
 (フィナンシャル・タイムズ)
 - 2013年8月2日(金)18:00


麻生氏「ナチス」発言 看過できない重大問題だ
 琉球新報・社説  - 2013年8月1日


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【社説】 麻生氏ナチス発言 撤回で済まない重大さ
 毎日新聞 - 2013年08月02日 02時30分
 

 何度読み返しても驚くべき発言である。もちろん麻生太郎副総理兼財務相が憲法改正に関連してナチス政権を引き合いに「あの手口、学んだらどうかね」と語った問題だ。麻生氏は1日、ナチスを例示した点を撤回したが、「真意と異なり誤解を招いた」との釈明は無理があり、まるで説得力がない。まず国会できちんと説明するのが最低限の責務だ。

 麻生氏の発言は改憲と国防軍の設置などを提言する公益財団法人「国家基本問題研究所」(桜井よしこ理事長)が東京都内で開いた討論会にパネリストとして出席した際のものだ。要約するとこうなる。

 戦前のドイツではワイマール憲法という当時、欧州でも先進的な憲法の下で選挙によってヒトラーが出てきた。憲法がよくてもそういうことはある。日本の憲法改正も狂騒の中でやってほしくない。ドイツではある日気づいたらワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね−−。

 「憲法がよくても……」までは間違っているとは思わない。問題はその後だ。「ナチス憲法」とは、実際には憲法ではなくワイマール憲法の機能を事実上停止させ、ナチス独裁体制を確立させた「全権委任法」と呼ばれる法律を指しているとみられる。麻生氏の史実の押さえ方もあいまいだが、この変化が後に戦争とユダヤ人虐殺につながっていったのは指摘するまでもなかろう。

 いずれにしても麻生氏はそんな「誰も気づかぬうちに変わった手口」を参考にせよと言っているのだ。そうとしか受け止めようがなく、国際的な常識を著しく欠いた発言というほかない。麻生氏は「喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的議論のないまま進んでしまったあしき例として挙げた」と弁明しているが、だとすれば言葉を伝える能力自体に疑問を抱く。

 憲法改正には冷静な議論を重ねる熟議が必要だと私たちも主張してきたところだ。しかし、麻生氏は討論会で自民党の憲法改正草案は長期間かけてまとめたとも強調している。そうしてできた草案に対し、一時的な狂騒の中で反対してほしくない……本音はそこにあるとみるのも可能である。

 米国のユダヤ人人権団体が批判声明を出す一方、野党からは閣僚辞任を求める声も出ている。当然だろう。これまでも再三、麻生氏の発言は物議をかもしてきたが、今回は、先の大戦をどうみるか、安倍政権の歴史認識が問われている折も折だ。「言葉が軽い」というだけでは済まされない。

 2日からの臨時国会で麻生氏に対する質疑が必要だ。安倍晋三首相も頬かぶりしている場合ではない。
 




ナチス失言であらわに、自民党の改憲の野心
 (フィナンシャル・タイムズ)
 - 2013年8月2日(金)18:00

(フィナンシャル・タイムズ 2013年8月1日初出 翻訳gooニュース) 東京=ジョナサン・ソーブル

安倍晋三首相と与党・自民党にとって、全ては順風満帆だったのに。支持率は歴史的に高く、株価は好調。自民党は6年ぶりに衆参両院で過半数を獲得した。この絶好調を台無しにするなど、よほど歪んだ想像力の持ち主でなければ方法さえ思いつかない、そういう状況だった。

そこへ、麻生太郎氏とナチスの登場だ。

安倍内閣の副総理で財務相でもある麻生氏はこのほど、失言をした。突拍子もない、不快な内容だった。麻生氏はあたかも、ドイツの国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)が戦間期に憲法を無効化していったやり方を称えるかのように思える発言をしたのだ。支持者を前にした集会で麻生氏は、今の憲法改正を目指す日本の保守層は、ナチスの手口から学べるかもしれないと示唆した。29日の発言記録によると麻生氏は「だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と述べている。

麻生氏は失言の常習犯だ。今年1月には、高齢者の高額医療費に関する議論の中で、高齢者は「さっさと死ねるようにしてもらわないと」などと発言した。日本国内では確かに、健康な老後をなるべく長引かせ、苦しい終末期医療の期間をなるべく短くするには——という議論がされているが、だからといって麻生氏の発言は批判を免れなかった。無神経な愚か者の烙印を押されたのだ。

ナチスに関する今回の発言も、激しく批判された。副総理はまず、ワイマール憲法を「当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法」と評した上で、そのワイマール憲法でもナチスの政権奪取は食い止められなかったと指摘した。麻生氏のこの発言は、アメリカに押し付けられた日本の平和憲法がなければ日本の民主主義はたちまち失われ、軍国独裁国家に逆戻りしてしまうという、左派や、かつて日本に植民地化されたアジアの国々の主張に異を唱えるためのものだったようだ。なぜ憲法がリベラルでない方が良いのかは曖昧なままだったが、麻生氏の発言がここまでなら特に当たり障りはなかった。しかしこのあと、話は妙なことになる。このあとすぐ、麻生氏はナチスの手口をほめたのだ。おかげで副総理の反対勢力にとっては懸念材料がひとつ増えた。そして麻生氏の発言が広まるや、中国や韓国の政府関係者から米ユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」に至るまで、多くの人がその発言に落胆と懸念を露わにした。

麻生氏は8月1日に発言を撤回。同じ日には政府の菅義偉内閣官房長官も、「安倍晋三内閣としてナチス政権を肯定的にとらえるようなことは断じてない」と明言せざるを得ないと判断したようだった。

麻生氏の今回の発言は人々の逆鱗に触れたというだけでなく、与党・自民党で圧倒的な力をもつ保守層が改憲の夢を諦めていないと、改めて示すものだった。先月の参院選のあと、安倍氏は憲法改正よりも成長戦略を優先させると約束している。改憲について意見の割れる日本国民を安心させ、また改憲論争は経済改革の遅れにつながると懸念する投資家たちをも安心させるのが、首相の狙いだった。

しかし右派は3年後の国政選挙に向けてこの改憲論議を復活させるつもりだろうと、大方は見ている。アベノミクスで好景気が続けば自民党支持者はさらに増え、そうすれば改憲手続きの着手に必要な国会の絶対安定多数が得られるという見通しだ。しかしそれまでの間、自分たちはこういうつもりだと保守派の支持者には伝えておく必要があるので(麻生氏はまさにこれをやろうとしていたようだ)、この計画を秘密のままにしておくのは難しい。

新しい憲法が日本にとって良いのかどうかには、異論がある。2005年に自民党が示した改憲案は、軍隊保持の禁止事項を撤廃するだけでない(この禁止事項はそもそも微妙な憲法解釈によって半世紀にわたり実質無視されてきた)。自民党の改憲案は国民の権利にいくつかの注意書きを加えており、これでは個人の権利が「公の秩序」という曖昧な概念の下におかれてしまうという批判がある。

逆説的な話だが、誰よりも現行憲法の恩恵を受けているのは自民党そのものかもしれない。自民党の思想は有権者の大半よりも右寄りにあるにもかかわらず、1955年以来(4年を除いて)ずっと日本の政権を握ってきたのだ。憲法の下でどうせ自民党は大したことができなかったのだから大丈夫だと、国民は自民党が軍隊や自分たちの権利をどう変えるかあまり気にしないまま、自民党に投票するかもしれない。

安倍氏や麻生氏やそのお仲間たちは、今となっては経済政策から安保政策から社会保障に至るまで自分たちの全政策が、有権者の支持を得られるだろうと考えている。新しい憲法が必要だと主張するのは従来よりも正直な政治かもしれないが、従来よりリスクの高い政治になるかもしれない。日本にとって。そして自民党にとって。

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フィナンシャル・タイムズの本サイトFT.comの英文記事はこちら(登録が必要な場合もあります)。

(翻訳・加藤祐子)
 



麻生氏「ナチス」発言 看過できない重大問題だ
 琉球新報・社説  - 2013年8月1日
 

 失言・放言癖のある人だから、では済まされない重大発言だ。
 麻生太郎副総理兼財務相が講演で、憲法改正をめぐり戦前ドイツのナチス政権時代に言及する中で「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と述べた。
 当時、世界で最も民主的で先進的といわれたワイマール憲法を現在の日本国憲法になぞらえて、改憲の必要性を説く中で出た言葉である。
 麻生発言の向こう側に、ワイマール憲法破壊後に戦争に突き進んだナチス政権と、憲法を改正して国防軍創設などを目指す自民党、安倍政権の姿勢が重なって見えると言ったら言い過ぎだろうか。
 1933年の政権奪取後、ナチス政権は「一家に1台フォルクスワーゲン」のスローガンの下でアウトバーン建設など公共工事を推し進めて景気を回復。一方で、反ユダヤ主義などでナショナリズムを刺激し、政権基盤を固めた。
 その「手口」に学び、アベノミクスによる景気回復を強調し、尖閣などの領土問題や歴史認識問題でナショナリズムを刺激する。こうした中で「改憲やむなし」の空気を醸成する。そういうことか。
 ナチス政権は国会議事堂放火事件を政治利用し「緊急事態」に対処するためとして、内閣に立法権を一時的に付与する「全権委任法」を成立させた。同法を根拠にナチス以外の政党の存在を認めずに、独裁と戦時体制を確立したのだ。
 自民党の憲法改正草案も98条と99条で「緊急事態」に関する規定を設けている。有事や大規模災害時に、法律と同等の政令を制定することができるなどの権限を内閣に付与するものだ。これもナチスの「手口」に学んだのか。
 自民党、安倍政権の改憲目的は、戦時体制を整えるためにあるのかと思われても仕方があるまい。しかし、緊急事態規定がいかに権力によって乱用され、悲劇的な結果を招くかはナチス政権を見ても明らかだ。
 昨年の衆院選での自民党同様、ナチス政権も民主的制度の下で合法的に政権を奪取した。しかしその後に、かつての日本と同様に戦争への道を歩んだということを、国民は肝に銘じる必要がある。
 首相の任命責任も重い。麻生氏は民主主義を否定するつもりはないとも述べたが、額面通り受け取る人がどれだけいるだろうか。
 




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「ナチスの手口に学べば」=麻生氏、改憲めぐり発言 撤回したが真相は?

2013-08-01 23:54:41 | 憲法
2013年8月1日(木)

 政府の事実上のナンバー2である、麻生財務大臣(副総理)が、

憲法改正の手段について、「ナチスの手口に学べば」 と発言したと云う

大ニュース。

 慰安婦をめぐる橋下徹暴言の時と同じように『誤解された』として

発言を撤回したとのこと。確信を持って発言したのなら撤回しなくても良い!

 この発言について、今日のgooニュースに、ナチスが憲法を棚上げにした

手順なども解説した解りやすい記事を大和田 崇氏が書いていた。

 以下、御紹介します。

<麻生発言>ナチスは民主憲法でなぜ独裁?
 /戦前の日本でも同じ問題

 (gooニュース×THE PAGE) - 2013年8月1日(木)16:50


 また、朝日新聞が紹介した発言詳細を読んだところ、新聞見出しのような

「ナチスの手口に学べば」と云う表現はしていないようだ。

麻生副総理の憲法改正めぐる発言の詳細
 (朝日新聞) - 2013年8月1日(木)02:21
 

 朝日は、ブログへの記事内容の引用は許さない小心者なので、ここでは引用しません。上のリンクから元記事をお読みください。



 一方で、読売新聞の要約では、以下のようになっている。

麻生副総理の29日の講演発言要旨
 (読売新聞) - 2013年8月1日(木)19:38
 

麻生副総理が29日に都内で講演した発言要旨は次の通り。

 単なる護憲、護憲と叫んでいれば、平和が来るなんて思っていたら大間違いだ。改憲は単なる手段だ。目的は国家の安寧と繁栄と国土、我々の生命、財産の保全、国家の誇り。従って狂騒、狂乱の中で決めてほしくない。

 ヒトラーは民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って出てきた。いかにも軍事力で取ったように思われるが全然違う。ワイマール憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ憲法下にあってヒトラーが出てきた。常に憲法が良くても、そういったことはあり得る。私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けているが、わーとした中でやってほしくはない。

 ワイマール憲法もいつの間にか変わっていて、ナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。 本当に、みんな、いい憲法と、みんな納得して、あの憲法が変わっているからね。僕は民主主義を否定するつもりも全くありませんし。しかし、重ねて言いますが、 喧騒 けんそう の中で決めないでほしい。それだけはぜひ、お願いしたい。



【関連記事】

「ナチスの手口に学べば」=麻生氏、改憲めぐり発言
 (時事通信) - 2013年7月31日(水)12:56


改憲「狂騒、狂乱の中で決めるな」…麻生副総理
 (読売新聞) - 2013年7月30日(火)07:32


麻生氏発言、政権に動揺=撤回も幕引き不透明
 (時事通信) - goo ニュース


麻生財務相 ナチス憲法発言を撤回、釈明
 (産経新聞) - 2013年8月1日(木)12:49


麻生氏が発表したコメント全文
 (朝日新聞) - 2013年8月1日(木)11:47
 

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<麻生発言>ナチスは民主憲法でなぜ独裁?
 /戦前の日本でも同じ問題

 (gooニュース×THE PAGE) - 2013年8月1日(木)16:50

 麻生財務大臣が憲法改正をめぐって「ナチスの手口に学ぶべき」と発言したことで、麻生氏は発言の撤回に追い込まれました。海外からはナチスを賞賛したとして批判されているのですが、そもそも麻生氏が述べている「ナチスの手口」とはどのようなことを指しているのでしょうか?

 麻生氏が引き合いに出したのは、第二次大戦前のドイツが当時としてはもっとも民主的で模範的といわれたワイマール憲法を掲げていながら、民主主義を否定するナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)に支配されてしまったという一連の経緯です。

民主的な選挙で多数派に

 ナチスは非合法的に独裁政治を行ったようなイメージがありますが、そうではありません。ナチスはワイマール憲法に基づいて民主的に選挙で選ばれ、議会で多数派となったのです。議会で多数派となったナチスは、全権委任法をはじめとする民主主義を否定する一連の法律を次々に議会で可決させ、いつの間にかワイマール憲法を機能しないようにしてしまったのです。

 ワイマール憲法を廃止したり停止したわけではないので、ドイツ国民にとってみれば、知らない間に憲法が変わってしまったかのような状態でした。麻生氏による「ナチスの手口」とはこのことを指していると思われます。麻生氏の発言の真意は分かりませんが、ナチスのようにこっそりと憲法改正を進めればよいという趣旨であれば、それは看過できるものではないでしょう。

 ナチスが引き合いに出されていますが、太平洋戦争直前の日本も実はまったく同じような状況でした。大日本帝国憲法は確かに天皇主権ですが、大正デモクラシーと呼ばれる民主化運動の成果もあり、その解釈は国際的に見てもかなり民主的なものになっていました。

 しかし、昭和に入って軍部が台頭し、軍部の支援を受けた軍国主義的な政治家が議会で当選するようになってきます。彼らは多数派となり、国家総動員法など非民主的な法律を次々に成立させました。戦争が始まる頃には日本の民主主義はほとんど機能しなくなっていたのです。

民主主義を民主的に否定すると……

 民主的な手続きで独裁を実現したというドイツの事例は、民主主義の根幹に関わる重大な問題を提起することになりました。つまり、民主主義を否定する法律や憲法が民主的に決められた場合、それは正しい決定なのかという疑問です。現代の民主主義の解釈では、いくら多様な意見を尊重するのが民主主義といっても、多様な意見を尊重するという考えそのものを否定する法律や行為はすべて法の精神に違反しており無効という考えが大勢を占めています。

 ただ日本では国会で成立した法律は内容にかかわらず絶対であるという考え方(形式的法治主義)や、憲法は国家権力を抑制するためではなく、国民の義務を定めるために存在するという考え方も根強く残っており、その意味では英国や米国などと比較すると民主主義に対する基本的な考え方が異なっている部分もあります。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)
 




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