ウォーホール左派

今日も作詩、明日もまた、本格詩人のブログ。

はじめてのものに

2016-08-27 16:50:01 | Weblog
はじめてのものに

ささやかな地異は そのかたみに
灰を降らした この村に ひとしきり
灰はかなしい追憶のように 音立てて
樹木の梢に 家々の屋根に ふりしきった

その夜 月は明るかったが 私はひとと
窓に凭れて語り合った(その窓からは山の姿が見えた)
部屋の隅々に 峡谷のように 光と
よくひびく笑い声が溢れていた

ーー人の心を知ることは……人の心とは……
私は ひとが蛾を追う手つきを あれは蛾を
把えようとするのだろうか 何かいぶかしかった

いかな日にみねに灰の煙の立ち初めたか
火の山の物語と……また幾夜さかは 果して夢に
その夜習ったエリザベートの物語を綴った
(立原道造)
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静夜の思い

2016-08-27 10:31:51 | Weblog
静夜の思い。

寝台の前にさしこんだ月光を、じっと見ている。
もしかしたら、地上におりた霜なのかと。
顔をあげて山の端(は)の月を望み、
顔をふせて遠い故郷を思うのだ。
『李白詩選』岩波文庫 松浦友久編訳
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