ウォーホール左派

今日も作詩、明日もまた、本格詩人のブログ。

抒情飛行

2016-08-18 17:10:09 | Weblog
抒情飛行

森はだまっていた
私の影はふかく沈んで
ふたたび帰ってこなかった
私は孤独だ
灯が私の距離をしらせた
私は星ではない
私は飛ぶのだ
暗黒の中に
火のみちをかきながら
(村野四郎)

軍艦茉莉(ぐんかんまり)

2016-08-18 13:09:25 | Weblog
軍艦茉莉(まり)
「茉莉」と読まれた軍艦が、北支那の月の出の
碇泊場(ていはくば)に今夜も錨を投(い)れている。
岩塩のようにひつそりと白く。

私は艦長で大尉だつた。娉嫂(すらり)とした
白皙(はくせき)な麒麟のやうな姿態は、われ
乍(ながら)麗はしく婦人のやうに思はれた。
私は艦長公室のモロッコ革のディワンに、
夜となく昼となくうつうつと阿片に憑かれ
ただ崩れていた。(安西冬衛)

『唐詩の風景』

2016-08-18 11:20:44 | Weblog
剣池
「澄んだ碧い水を見ていると、今もなお宝剣が
池中に存在するかのよう。激しい雷雨が、わ
けもなく池の淵に中から起こるのだから。」と
宝剣の精気は、雨の精霊竜に化するとされ、竜泉
という名剣もある。『唐詩の風景』植木久之著