ウォーホール左派

今日も作詩、明日もまた、本格詩人のブログ。

白石灘

2016-08-19 21:35:01 | Weblog
白石灘(はくせきたん)

白石灘は浅く澄んでいる。
緑の蒲(がま)は、もうそろそろ束ねるころあい。
あたしたちの家は、川の東や西にあり、
明るい月の下で、うすぎぬを洗うのです。

*「白石灘」は、白い石のある浅瀬。
「 蒲」は、水草。
(王維)『王維詩集』岩波文庫
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村(安西冬衛)

2016-08-19 13:54:41 | Weblog


雌鶏
枯野の艦隊。


私は「彼女」といふ言葉が大嫌いだ。
だから死んでも使わない。だが、たつた
一つあれだけには使われるーーーー
冬枯れの曇天の下にふくれた雌鶏。


いつも曇天の衣裳をつけている。


あすこから豚が出てくる。
しかし兎角、実利的にはちがひない。

教会
ハナルシス
(安西冬衛)
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竹里館(ちくりかん)

2016-08-19 12:35:37 | Weblog
竹里館(ちくりかん)

奥深い竹やぶの中に、一人座っておる。
琴をひいたり、ひとふし吟じたりする。
里を離れた深い林のこと、人にはわからぬ。
明るい月が来て、照らしてくれる。
(王維)『王維詩集』岩波文庫
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軍艦茉莉(ぐんかんまり)4

2016-08-19 11:17:00 | Weblog
軍艦茉莉(ぐんかんまり)4

月はずるずる巴旦杏(はたんきょう)のやうに堕ちた。
夜陰がきた。そして「茉莉」が又錨地を変える時が
きた。「茉莉」は疫病のやうな夜色にその艦首角
(ラム)を廻しはじめたーーー
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静物(吉岡 実)

2016-08-19 10:34:47 | Weblog
静物

夜はいつそう遠巻きにする
魚のなかに
仮に置かれた
骨たちが
星のある海をぬけだし
皿のうえに
ひそかに解体する
燈(あかり)は
他の皿へ移る
そこに生の飢餓は享(うけ)つがれる
ぼくの皿のくぼみに
最初はかげを
次に卵を呼び入れる
(吉岡 実)
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