お伽噺

子どもに「自分の子どもの頃の話」をすると、とても喜ぶ。
なんでこんな話が？どこが面白いの？という話を何度もリクエストされる。
最初はツボがわからなかったんだけど、どうも今の自分の時代と、考え方がまるでちがうところが新鮮なようである。

保育園の時の話。
私の通っていた保育園は、先生は給食を残すのを許さなくて、食べるまで席を立って遊びに行けなかった。
或る女の子が豚肉がどうしても食べれず、それをこっそり座布団の下に隠したことがあった。
それが見つかった時は、騒ぎになるほど叱られた。
女の子は泣いて謝ったが、後にまた同じことをした。
嫌なことに、たまたま彼女の椅子を運んでいた私が気づいてしまったのである。
今ならいろんな方法を思いつけるけど、当時の私には「先生に言う」しか思いつかなかった。
（娘は、告げ口なんてママはサイテーと言った）
先生はシクシク泣く女の子を座らせて、また厳しく叱った。

小六の時の男の担任は、今思えば暴力教師だった。
給食のスプーンの片づけ方がわるいと怒鳴って、汚れたそれを生徒全員の机にぶちまけたことが二度もあった。
これは、全員の顔を一人残らず、スクールウォーズのティーチャー並みに殴ることとセットで行われた。

娘はこんな話を、まるでお伽噺でも聞くような顔をして聞く。
今の代は、小さな子がそこまでして拒否するものを無理やり食べさせるなんてしないと思うし、男の担任が、力任せにクラス全員の児童を殴るなんて論外である。
今の子はポカンとなるよね～。
私も今思うと、そら先生自由すぎるわと思う。

ちなみ私は、以前も書いたけど、小学校の卒業式で、大勢の男の子がハンカチで滂沱の涙を拭きながら泣いているのを見て唖然としたことがあった。
「男の子は泣くもんじゃないとか、そんな言葉聞いたことない？」
と訊いたら不思議そうな顔をされた。
「ないよ。泣くなんて男も女もないじゃん」

時代のスピードは速い。
ジェンダーフリーとか体罰とか虐待とか、この先もまた進化していくのだろうか。