糖には依存性があるという、長年疑われてきた説が科学的に立証され、スコッツデール(アリゾナ州)で開催された米国神経精神薬理学会(ACNP)年次集会で発表された。研究を率いた米プリンストン大学(ニュージャージー州)心理学教授のBart Hoebel氏によると、糖の大量摂取が脳内で依存性薬物に極めてよく似た作用をもたらすことが動物モデルにより示され、「糖依存症(sugar addiction)」が後にアルコールなどの薬物依存症の「入り口」となることさえあるという。
今回の研究では、ラットを対象に1日のうち12時間は食餌を与えず、その後の12時間には食餌および糖水(ブドウ糖25%およびショ糖10%、清涼飲料に近い濃度)を与えることを3~4週間続けた。その結果、糖の大量摂取によって、報酬系に関与する脳部位である側坐核で神経伝達物質ドパミンが急増することが判明。依存性薬物にも脳の同じ部位でドパミンを放出あるいは増加させる作用があることがわかっている。ただし、糖を与えるだけでこの作用が起こるわけではなく、糖をしばらく断った後に大量に与える、ということを交互に繰り返す必要があった。3週間後、ラットには喫煙、飲酒、モルヒネなどを止めた人とよく似た離脱(禁断)症状がみられた。
次にラットの脳のエンドルフィン(編集部注=脳内の神経伝達物質で幸福感をもたらすといわれる物質。脳内麻薬とも呼ばれる)を遮断すると、離脱症状、不安、行動減退、ドパミン値低下などが生じることわかり、ラットの行動と神経化学物質との関連性も裏付けられた。糖依存の作用は長期間持続し、糖を断つ時間を長くするとさらに多量の糖を摂取するようになり、糖を摂取させないとアルコールの摂取量が増えることもわかった。
研究グループは、このような脳の変化の一部が大食症(過食症)や無食欲症(拒食症)などの摂食障害患者にも起こっていると推測している。太りやすい食べ物は満腹感を調節する機構を乱し、さらに食べることへと駆り立て、その悪循環が体重増加につながるのだという。この点を裏付けるためには、さらに研究を重ねる必要があると述べている。
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今回の研究では、ラットを対象に1日のうち12時間は食餌を与えず、その後の12時間には食餌および糖水(ブドウ糖25%およびショ糖10%、清涼飲料に近い濃度)を与えることを3~4週間続けた。その結果、糖の大量摂取によって、報酬系に関与する脳部位である側坐核で神経伝達物質ドパミンが急増することが判明。依存性薬物にも脳の同じ部位でドパミンを放出あるいは増加させる作用があることがわかっている。ただし、糖を与えるだけでこの作用が起こるわけではなく、糖をしばらく断った後に大量に与える、ということを交互に繰り返す必要があった。3週間後、ラットには喫煙、飲酒、モルヒネなどを止めた人とよく似た離脱(禁断)症状がみられた。
次にラットの脳のエンドルフィン(編集部注=脳内の神経伝達物質で幸福感をもたらすといわれる物質。脳内麻薬とも呼ばれる)を遮断すると、離脱症状、不安、行動減退、ドパミン値低下などが生じることわかり、ラットの行動と神経化学物質との関連性も裏付けられた。糖依存の作用は長期間持続し、糖を断つ時間を長くするとさらに多量の糖を摂取するようになり、糖を摂取させないとアルコールの摂取量が増えることもわかった。
研究グループは、このような脳の変化の一部が大食症(過食症)や無食欲症(拒食症)などの摂食障害患者にも起こっていると推測している。太りやすい食べ物は満腹感を調節する機構を乱し、さらに食べることへと駆り立て、その悪循環が体重増加につながるのだという。この点を裏付けるためには、さらに研究を重ねる必要があると述べている。
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