超空洞からの贈り物

様々なニュースや日常のレビューをメインに暗黒物質並に見つけ難い事を観測する、知識・興味・ムダ提供型共用ネタ帳です。

これが本物の恒星間宇宙船用ワープドライブ

2009年06月16日 20時30分52秒 | Weblog
画像はテキサス州ヒューストンで宇宙関連のコンサルタントをしているRichard Obousy博士が考案したワープドライブを装備した恒星間宇宙船の想像図。

 Obousy博士が唱えるワープドライブとは、カシミール効果を利用することで、周囲の暗黒物質に波に似た人為的な歪みに生じさせ、宇宙船をその波に乗せることで前進させるというもので、理論的に実現可能なものだとしてこれまでに複数の学術論文(http://arxiv.org/abs/0712.1649v6)を発表している。

 この論文にSFチックなビジュアルな想像図などを期待してはいけない、全文、ほとんど数式だけで記述されているからだ。

40インチを超える大型有機ELパネルの製造装置が開発

2009年06月16日 20時28分49秒 | Weblog
ソニーが2007年12月に最薄部が約3mmという驚異の薄さや100万:1のコントラスト比、ピーク輝度、色再現性、動画性能の全てにおいて優れた性能を実現した世界初の有機ELテレビを発売しましたが、11V型というサイズの小ささがネックとなっていました。

しかしなんと40インチを超える大型有機ELパネルを製造できる装置が開発されたそうです。

日刊工業新聞社の報道によると、真空応用技術をベースに有機ELディスプレイの製造装置や、薄膜太陽電池製造装置の開発などを手がけるTOKKI(トッキ)が、大型有機ELパネルの製造装置を開発したそうです。

これは第4世代のガラス基板(720mm×920mm)に対応した装置で、26型の有機ELパネルを2面、42型のものを1面取ることができるため、現在製品化されている11V型の有機ELテレビを圧倒的に上回る大型の有機ELパネルを製造可能。

この装置により、国内外のメーカーが薄型テレビ向け有機ELパネルを量産できるようになり、大型有機ELディスプレイの実用化へ向けての後押しができるのではないかと見られています。

Macは宣伝されているほどセキュアではない?

2009年06月16日 20時24分56秒 | Weblog
 Appleと同社のサポーターたちは、Mac OS XがセキュアなOSであり、MicrosoftのWindowsプラットフォームはその足元にも及ばないと皆に信じさせたがっているようだ。Mac OS XはWindowsと比べるとセキュリティ問題の件数がはるかに少ないので、Mac OS Xの方がセキュアだ、というのが彼らの主張だ。さらに、Mac OS Xではウイルス対策ソフトウェアを使用する必要がないとまで言う人もいる。

 こういった人々は、彼らが思い込んでいるほどMac OS Xはセキュアではないことを知れば驚くかもしれない。Mac OS Xの方がセキュリティ問題の件数が少ないのは確かだ。幾つかの深刻なセキュリティホールがあるWindowsは、セキュリティの低いOSであることも間違いない。しかし、だからといって、Macを買ったユーザーが電源を入れていきなりWebサーフィンを開始しても、侵入者から攻撃を受ける心配はないということには決してならない。最近の事例は、Macユーザーもウイルス対策ソフトウェアをインストールすることを検討する必要があることを示している。

 つい先週も、英Sophosのセキュリティ専門家が、Mac OS Xユーザーを狙ったマルウェアの最新バージョンを発見した。これは「Jahlav」というトロイの木馬の亜種で、ポルノサイト上でActiveXのビデオコーデックを偽装したものだ。これをダウンロードすると、ほかの悪質なファイルをWebからダウンロードしようとする。

 それだけではない。Sophosでは「Tored」ワームの新種も発見した。このワームが最初に見つかったのは5月だ。Toredの作者はMacのボットネットを構築することを狙っている。しかしこれまでのところ、この狙いは成功していない。同ワームはまだバグが多いため、Macユーザーにとって脅威となるに至ってはいないのだ。

 Appleの新OS「Snow Leopard」は、さらに多くのトラブルに直面する可能性がある。新OSに関する情報を掲載したWebサイトには、以前のセキュリティ警告が追加された。Appleによると、ユーザーはSnow Leopard搭載システムにウイルス対策ソフトウェアをインストールすることを検討すべきだという。同OSにはAppleのセキュリティ機能が組み込まれており、熱烈なMac支持者たちは何も心配することはないと言うが、Macユーザーが安全であるという保証はない。

 Macの安全神話はなぜ崩れたのだろうか。何年も前には、Macを狙ったマルウェアを見つけようといった話は聞いたことがなかった。ほとんどのセキュリティ専門家にとってMacは眼中になかったのだ。同OSに影響するセキュリティ事件が起きる可能性は極めて低いことが分かっていたからだ。しかしここ数年、Macを狙った攻撃が増えてきた。「Inqtana.A」「Leap.A」「Tored」「Jahlav」など、Macはかつてなく多くのマルウェアに狙われるようになってきた。意外に思う読者もいるかもしれないが、その理由は金なのだ。

 今日、ほとんどのトロイの木馬やワームの作成者は金目当てで開発している。MacユーザーよりもWindowsユーザーの方がはるかに多いため、Windowsユーザーをターゲットにする方が金銭的利益が大きいのだ――“お客”が多ければそれだけ多くの現金収入につながるということだ。しかしAppleのMac OS Xの人気が高まり、市場シェアが拡大してきたのに伴い、悪意を抱いたハッカーの中には、Macで何をしても攻撃される心配はないと信じているMacユーザーを狙えば、金もうけをするチャンスがあると考える連中が増えてきた。

 例えば、トロイの木馬Jahlavは、マルウェアの作者らのための金もうけのツールだと考えられている。

 Sophosのセキュリティ専門家、グラハム・クルーリー氏によると、Jahlavを利用すれば偽のウイルス対策プログラムを作成できるという。「Jahlavが仕込まれたWebページにWindows PCからアクセスすると、Windows向けのスケアウェアが送り込まれる。ハッキングギャングがこのようにしてWindowsユーザーから金をせしめようと考えているとしたら、Macユーザーに対しても同じ手口が用いられるだろう」と同氏は話す。

 Macユーザーの仲間入りをする人が増えるのに伴い、悪意を持ったハッカーたちがMacユーザーを狙うケースが増加するだろう。これは単純な数のゲームだ。OSを利用するユーザーが増えれば、そこに注目するハッカーも多くなり、その結果、マルウェアが出現する可能性も高くなるというわけだ。

 しかしこの論理を否定する人もいる。Macユーザーの安全を維持しているのはMac OS Xである、というのが彼らの主張だ。ハッカーがMacユーザーをターゲットにしていないのではなく、Mac OS Xのセキュリティ機能のおかげで彼らの攻撃が成功しないというのだ。

 これは説得力のある主張だ。AppleのOSでは、ユーザーは制限された権限でソフトウェアを実行できるようになっているため、悪質なソフトウェアがOSに侵入するのは難しい。さらにMac OS Xは、サンドボックス技術を使ってユーザーを保護している。この技術により、プログラムがMac上で実行できる処理の数が制限されるため、ほかのファイルに容易にアクセスすることができず、また、これらのプログラムが実行できるほかのプログラムも限定される。Mac OS Xはライブラリのランダム化という技術も利用している。これはマルウェアにターゲットを外させるための技術だ。

 Mac OS Xが堅固なOSとしての資格にふさわしいセキュリティ機能を備えているのは議論の余地がない。しかし、同OSがあらゆる状況においてユーザーの安全を確保するのは不可能だ。最近の事例が示すように、かつては難攻不落の要塞と思われていたMac OS Xは、決してAppleが宣伝しているほどセキュアではない。

われわれはそろそろ、この単純な事実を認識すべきではないだろうか。

マイクロソフト、「Windows Azure」のビジネス詳細を発表へ

2009年06月16日 20時22分22秒 | Weblog
Microsoftが、同社のクラウドベースのOS「Windows Azure」に関するビジネス展開の詳細を、7月に発表する計画であることがわかった。

 MicrosoftがAzureを発表したのは、2008年に開催された開発者向け会議でのことだった。同社はこのとき、無料テスト中のサービスのうち、一部については2009年に最終リリースすると述べていた。また、Azureのアプリケーションは同社のデータセンターから実行し、課金はユーザーが必要とするコンピューティングリソースに応じて行うと説明していた。

 Microsoftでワールドワイドパートナーグループ担当コーポレートバイスプレジデントを務めるAllison Watson氏は取材に対し、同社が米国時間7月13~16日にニューオーリンズで開催するWorldwide Partner Conferenceで、Azureの課金体系やパートナー企業によるAzureの販売協力について具体的に説明する予定だと語った。

 Microsoftはこれまで、Azureの課金体系については、「市場に対して競争力のある」価格にする計画だと述べるにとどまっていた。

 また、パートナーがAzureデータセンターをほかの場所で運営する可能性もMicrosoftは示唆していたが、Watson氏によれば、その点に関する発表はおそらくまだ先になるという。

 「大規模なホスティング事業の運営は、経済的側面が異なる。このような事業は非常に興味深いものだ」とWatson氏は語った。

 どの事業をMicrosoftで行い、どの事業をパートナーに任せるのかについての判断は、まだ検討しているところだとWatson氏は説明する。同社は、Azureを発表した時点では、すべてのアプリケーションがデータセンターから実行されると説明していた。だが、Watson氏によれば同社は、パートナーのホスティングでクラウドベースのソリューションを提供する方法も検討しているという。

 「興味深い話し合いがいくつか進んでいる」とWatson氏は述べた。

 他の分野のサービス事業では、ホスティングを手がけるパートナーとMicrosoftはすでに直接競合している。たとえば、Microsoftはオンラインサービスの「Microsoft SharePoint Online」と「Microsoft Exchange Online」を展開しているが、これらのサービスをホスティングして顧客に提供しているパートナーもある。

 Microsoftがソフトウェア販売と同等にサービスを販売し、それらの多くをインターネットで提供するような状況に向かっているといっても、Microsoftの戦略にとってパートナーの重要性は変わらないと、Watson氏は言う。

 「われわれの成長と成功において、パートナーは秘密兵器的な部分を構成している」とWatson氏は述べた。

 仮想化、モバイル、ユニファイドコミュニケーションなど、成長しているおもなテクノロジ分野の一部は、購入後「すぐに使える」ようなソフトウェアやサービスではないため、顧客はパートナーの技術を必要としているのだとWatson氏は説明した。

 IBMやOracleなど、米国内で大規模な販売競争を繰り広げてきた昔からのライバル企業の多くも、パートナーの役割を以前より重視し始めているとWatson氏は言う。また、Googleでさえパートナーの活用に乗り出し始め、2009年に入ってプログラムを発表しているとWatson氏は指摘した。

 Watson氏によれば、Microsoftは経済情勢に関係なくこの分野への投資を続けていくという。

 Microsoftは米国内向けに販売していた製品の一部から撤退しているが、実際にはその一部はパートナーの販売チャネルに加えられていると、Watson氏は言う。これは、サードパーティーの販売不振をいくらかでも補えるようにと期待してのことだ。

 また、2009年には全体的に横ばいと見られるエンタープライズソフトウェア市場だが、ハードウェアよりは状況はましだとWatson氏は指摘する。Microsoftは2008年10月以降、このままではきびしい経済情勢の中で、Microsoftのソフトウェア販売は明るい材料になりうるとパートナーに説き続けてきた。

オリンパス、初のマイクロフォーサーズ機「E-P1」

2009年06月16日 20時16分43秒 | Weblog
オリンパスイメージングは、同社初となるマイクロフォーサーズシステム規格準拠のデジタル一眼カメラ「オリンパス・ペン E-P1」を発表。レンズキットなど3機種を7月3日より発売する。

「マイクロフォーサーズシステム規格」の採用により、クイックリターンミラーのない内部構造とすることで、従来の一眼レフカメラのもつ高性能・高画質という特質を損なうことなく、120.5(幅)×70(高さ)×35.0(奥行)mmで重量335gというコンパクトなボディを実現。ボディは、金属外装によるデザインを施すことで、往年の「オリンパス・ペン」が醸し出していた高い質感、凝縮感を表現しながら、最先端を行くデジタルカメラであることが伝わるデザインに仕上げた。

操作面では、AF方式に「ハイスピードイメージャAF」を採用し、コンパクトデジタルカメラと同様の使い勝手によるライブビュー撮影を実現。新開発の「ライブコントロール」機能も備えており、背面の3.0型液晶モニターに表示されるアイコンを見ながら、直感的に設定を操作することが可能だ。

また、撮像部に4/3型ハイスピード1230万画素Live MOSセンサーを、画像処理部に新開発の画像処理エンジン「TruePic V」を採用し、従来の一眼レフに勝るとも劣らない高画質な静止画撮影が可能。720pのHD記録による動画撮影もサポートしており、高画質・高音質な動画記録を手軽に楽しめる。

さらに、最大4段分の補正効果が得られるボディ内手ブレ補正機構を搭載。「マイクロフォーサーズシステム規格」対応レンズや、オプションのフォーサーズマウントアダプター「MMF-1」を用いることにより、全てのフォーサーズレンズで手ブレ補正機構を利用可能だ。流し撮りでの手ぶれ補正にも対応するほか、オプションのOMマウントアダプター「MF-2」使用時にも、焦点距離を入力することで、手ぶれ補正機構を使用することができる。

このほか、センサーに付着するゴミ・ホコリを超音波で自動除去する「ダストリダクションシステム」を搭載。カメラを被写体に向けるだけで最適な撮影モードを判別し、自動で設定する「おまかせiA」機能、静止画/動画の両方に対応した「アートフィルター」機能、4種類の画面縦横比を選択できる「マルチアスペクト」機能といった多彩な機能も利用可能だ。

ラインアップとして、標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED14-42mm F3.5-5.6」とのセット「レンズキット」、パンケーキレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」と光学ビューファインダー「VF-1」のセットモデル「パンケーキキット」、「レンズキット」と「パンケーキキット」を合わせた「ツインレンズキット」の3種類を用意。「EP-1」単体は受注生産となり、7月下旬からの発売となる。ボディカラーはシルバーとホワイトの2色が用意される。

価格はいずれもオープン。

海中での長距離水平通信実験に成功

2009年06月16日 20時13分08秒 | Weblog
海洋開発を進める上で難題の一つになっていた水平方向での長距離水中音響通信を精度よく可能にする実証実験に、海洋研究開発機構の研究チームが成功した。

志村拓也・技術研究主任らが用いた手法は、位相共役通信と呼ばれるもので、時間を反転した信号を発信するところがポイント。録画したビデオ映像を逆再生すると時間が反転した映像が見られるのに似た、音響の時間反転信号を利用することで、反射波や屈折波など邪魔になる信号を巧みに消してしまうことができる。

実証実験では、伊豆小笠原海域で海洋調査船「かいよう」から4,000メートルの深さに送信装置を降ろし、300キロ離れた受波器アレイに向けて水平方向に信号を発信した。通常では数百キロ離れると海底や海面で反射する波や、海洋中が一様でないために屈折して来る波が相手に届けたい直接波に重なって受信され、データの区別がつかなくなってしまう問題があった。

しかし、実験の結果、反射波や屈折波が集まって元の波面が再現される形となり、容易にデータの識別ができ、精度よい通信が可能になることが確かめられた。

将来、海洋探査などで活躍する自律型無人探査機のリモートコントロールにこの通信法を利用できるようさらに遠距離での通信試験を進めたい、と海洋研究開発機構は言っている。

エクアドルで新種サンショウウオ発見

2009年06月16日 20時11分32秒 | Weblog
 エクアドル南東部の山岳地帯で、しゃもじのような変わった頭部を持つサンショウウオなど新種とみられる動物12種を見つけたと、米国や日本に拠点を置く国際環境保護団体コンサベーション・インターナショナル(CI)が16日、発表した。

 CIは今年4月、地元の大学などとともに、ペルー国境近くのアンデス山脈を調査。サンショウウオを含む4種の両生類、1種の爬虫(はちゅう)類、7種の昆虫を発見した。

 新種とみられるサンショウウオは、小さな体に不釣り合いな幅の広い頭部と左右の大きな目が特徴。CIは「映画『E.T.』に登場した宇宙人に似ている」としている。

地球温暖化でも後退しないアルゼンチンのペリトモレノ氷河

2009年06月16日 07時36分11秒 | Weblog
画像はアルゼンチンのパタゴニアにあるペリトモレノ氷河(Perito Moreno Glacier)の先端部分。

 地球温暖化の影響で世界中、ほとんどの氷河は衰退に一途を辿っているのにも関わらず、ペリトモレノ氷河に関しては1世紀前の状態とほぼ同じサイズを保っていることが明らかとなっている。

 パタゴニアの氷河の研究を続けているチリの研究機関「Centro de Estudios Cienti'ficos(CECS)」ではペリトモレノ氷河が後退しない理由に関しては「判らない」とした上で「地球温暖化だからといってその影響は地球上、全ての氷河に影響を与えるものではないのかもしれない」と述べている。

だからといって、安心できるものでもない、と。

「クリーンな火力発電」FutureGenとCO2地下貯留に34億ドル

2009年06月16日 07時26分34秒 | Weblog
米エネルギー省が支援する「クリーン石炭」発電所が息を吹き返した。オバマ政権の景気刺激策による多額の予算のおかげだ。

排出される二酸化炭素を回収し地中に埋める、初の大型石炭火力発電所の建設計画は、2008年初め、ブッシュ政権によって廃止されていた。

[『FutureGen』(PDF)と呼ばれるプロジェクトで、275メガワットのプロトタイプ発電所の建設が計画されている。ガス化させた石炭から水素を回収して燃料電池に利用するなどして、現在の石炭火力発電所の発電効率40%を55%まで上げ、さらに二酸化炭素地中貯留と組み合わせる。同プロジェクトには米国などの13社が参加。インド政府や韓国政府も参加している(PDF)]

「クリーン石炭」発電所は、政治的には、特に米国南部の石炭州で人気の高い「グリーン」技術だ。南部は、リニューアブル・エネルギー(持続的利用可能エネルギー)の資源が、ほかの地域より限られている。また、このシステムが実際にうまく機能した場合、バイオマスでも地下貯留が行なわれる可能性があり、そうなれば、大気中から炭素を抜き出すという仕組みができることになる。

エネルギー省のSteve Chu長官は、「クリーン石炭」発電所のほかにも、炭素の地下貯留技術に約24億ドルの別枠予算を発表しており、炭素の地下貯留技術への支援予算は総額で34億ドルになる。

炭素の回収と貯留技術に関しては、エネルギー問題や気候変動問題の専門家の間でも激しい議論がある。環境運動団体のなかには、二酸化炭素を埋める計画は短期的にみて実現性がなく、化石燃料業界が口先で体面を保つために利用するだけだと主張するところもある。一方で、国際連合の支援を受ける気候変動問題研究者の集まり『気候変動に関する政府間パネル』(IPCC)は、長期的にみたエネルギーの未来に大きな役割を果たすものと見ている。

もしこの技術がうまくいき、かつコストが低く抑えられれば――この2つの大きな「もし」がクリアされれば――電力が週に7日、日に24時間、低炭素で提供される可能性がある。

炭素地下貯留には地質学的に複雑な条件が必要で、適切な岩盤層の組み合わせが必要となる。まず、砂岩など、二酸化炭素を収容できる多孔質の岩層が1層。その上に、二酸化炭素が地表に戻ることがないように、頁岩など不浸透性のキャップロック層が1層または複数層なければならない。

また、ほかの分子と混ざった中から二酸化炭素のみを回収することも難しい。二酸化炭素を選んで回収し自在に開放できる、高度に加工された物質が必要とされる。[日本のRITE(財団法人地球環境産業技術研究機構)が、2003年から米国エネルギー省と提携して、分離膜に関する共同研究を行なっている。]

二酸化炭素の回収と隔離がどちらもハイテクを必要とする性質のものであることが、公益サービス企業幹部のなかに、この技術に対して興味を失う者を生んできた。

さらに、大きな問題点の1つは、実際に二酸化炭素の貯留が大量に実施された例がないことだ。現実世界のテストがないことには、石炭火力発電所から妥当なコストで二酸化炭素を排除することが可能なのか知ることは難しい。

FutureGenプロジェクトで建設が目指されている275メガワットのプロトタイプ発電所は、現実世界の実験室となる、とされてきた。最初2003年に、ブッシュ大統領が10億ドルのプロジェクトとして発表した際には、このプロジェクトで、石炭火力発電所は排出する温室効果ガスを効果的に回収し地下に貯留できることが証明されると想定されていた。しかしプロジェクトの進展は遅く、現在、その総コストは18億ドルと推定されている。

アフリカの村を救う環境認証プログラム

2009年06月16日 07時21分40秒 | Weblog
 アフリカ東部の国、タンザニアでは今、アフリカン・ブラックウッド(別名ムピンゴ)という広葉樹の保護活動が着実に進んでいる。ムピンゴはクラリネットやオーボエ、バグパイプなどの材料として珍重される樹木で、成長には長い年月を要する。そのムピンゴを採取、販売するにあたって、タンザニア奥地の2つの村が、適切な森林管理を推進する森林管理協議会(FSC)という国際NPOから認証を受けることになった。

 現在、森林管理協議会(FSC:Forest Stewardship Council)から認証を受けている世界の資源開発用の森林は、その大部分がより気温の低い温帯林や寒帯林に属しており、アフリカの地方自治体が認証を受けるのは今回が初めてである。

 ムピンゴ保護プロジェクトの調整役としてタンザニアで活動しているスティーブ・ボール氏はこう語る。「タンザニアの山村に暮らす人々にもようやく、地元の森林がもたらす利益を享受するチャンスが訪れた」。ボール氏はかつて、「国外の伐採業者が地元住民を搾取している」と話していた。

 心材部分がつややかで色に深みのあるアフリカン・ブラックウッドは、その質の良さに目をつけた木材業者らによってアフリカ全土で乱伐されてきた。中でも深刻な被害を受けたのがケニアとタンザニア北部である。現在ケニアには、木材として利用できるアフリカン・ブラックウッドは1本も残っていない。

 だが、タンザニア南東部やモザンビーク北部には、まだ多くのアフリカン・ブラックウッドが残っており、現在も伐採が盛んに行われている。しかも、タンザニアでは違法伐採が横行している。野生生物の取引を監視するNGO団体トラフィック(TRAFFIC)が2005年に公表した調査結果によると、タンザニア南部で採取された木材の96パーセントが違法伐採によるものだという。

 アフリカン・ブラックウッドは、タンザニアのマコンデ族が木像彫刻に好んで使う木材であり、古来さまざまな薬としても利用されてきた。マコンデ族の間では、生まれたばかりの赤ん坊をその葉で覆うと健康に育つと信じられている。

 だが、アフリカン・ブラックウッドの木質は密度が高い上、樹脂の含有量も多いことから、楽器の素材としての価値も非常に高い。例えばこの木を素材に使えば、演奏者の呼気に含まれる湿気に強く、音質低下がほとんどない木管楽器ができるという。

「市場での需要が高いことも乱伐の大きな要因だ」とボール氏は話す。「音楽家たちがこぞってアフリカン・ブラックウッド製の楽器を欲しがる以上、その楽器を作らない手はないだろう」。同氏によると、バグパイプの部品は全世界で毎年およそ1万個生産されているほか、世界中で製造されているクラリネットとオーボエの数を合わせると年間6万5000~10万本に上るという。

 今回FSCの認証を受けることになった2つの村は、どちらもタンザニア南東部の沿岸地域に属するキルワ地区にある。人口はそれぞれ1000~1500人足らずで、平均の世帯収入は1日約100円と非常に貧しい。

 キルワ地区でムピンゴ保護プロジェクトが始動したのは2004年だが、それ以前は、村の周辺にある森林伐採により業者が村に支払っていた対価は、切り出したアフリカン・ブラックウッドの丸太1本につきわずか8セントだった。そればかりか、これらの業者は、アフリカン・ブラックウッドの伐採権料として丸太1本につき約9ドル60セントをタンザニア政府に支払う必要があったにもかかわらず、その多くを踏み倒していたという。

 そんな中、政府の支援による新たなプログラムが始まり、各地方自治体は、森林を持続的に管理するという条件の下で森林の所有権を保有し、木材販売の利益を享受することができるようになったのである。

 ボール氏は次のように話す。「適切な森林管理が行われている」証明であるFSCのロゴマークを木材に記載することで、この2つの村は、アフリカン・ブラックウッド1本につき最大で約2000円の伐採権料を課すことが可能になった。市場が拡大していけば、伐採権料に加えて、付加価値に伴う収益も期待できるようになるだろう。FSC認証木材の価格は2倍程度まで上昇する可能性を秘めている」。

 このプロジェクトについて村長の1人も、「われわれは森をどのように管理すべきかについて多くを学ぶことができた」と語った。「幸いにも、この村にはムピンゴがまだ豊富にある。この機会を大いに生かすことができるだろう」。

 今春、初めてのアフリカン・ブラックウッドの切り出しが行われたが、切り出した木材は適度に乾燥させる必要があり、その工程を終えるまでに少なくとも1年はかかる。そのため、FSCの認証を受けたアフリカン・ブラックウッド製の楽器が世に出回るのは、2011年頃になるとみられている。