鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

玉城氏のアメリカ訪問

2018-11-07 14:27:27 | 日本の時事風景

沖縄県知事の玉城氏が近くアメリカを訪問して辺野古基地新設を取りやめるように訴えるという。

その前に菅官房長官に会って辺野古基地新設に対して話し合いをしたいとの申し入れをしたところ、官邸からは承諾の旨を貰ったようである。

しかし玉城氏が官邸に出向いて辺野古基地新設を中止するよう要求しても、政府からは「世界一危険な場所にあると言われている普天間基地を撤去することにあなたは反対ではないはずだ。移設する先の辺野古海岸なら危険性は極めて小さくなります。文句ありますか?」と言われるのがおちだ。

6~7年前の民主党政権の時には、鳩山首相が「移設先は最低でも県外に」と事あるごとに言っていたが、県外すなわち本土に移設先を求めることの可能性・具体性は限りなくゼロだったし、まず第一に米軍基地問題に関しては「アメリカ・ファースト」なのだから日本政府がどうこうできる範疇にはないのだから仕様がない。

まして自民党政府は安倍総理の大叔父に当たる岸信介首相の時から、「アメリカとの二国間条約である新日米安全保障条約(1960年成立)を完全順守します」という立場を採っているので、アメリカ側の「御意向」に沿わなければならないのだ。

実は二国間の軍事同盟(日米安全保障条約は、日本が憲法上、他国との戦争行為を禁じているので、結果としてはアメリカが一方的に日本の安全を保障する一種の保護条約であり、対等な関係の軍事同盟ではないが)というのは、国連憲章上は「暫定的なもので、国際紛争は本来は国連安全保障理事会によって解決処理されなければならない」ゆえに、正当な同盟ではない。

トランプが二年前の大統領選のさなか、「アメリカが戦争に巻き込まれた時に日本が助けに来るのか?来ないじゃないか。こんな不平等な条約があるか!」と恫喝していたが、まさに相手国の危機に対してこちらからも軍隊を派遣して一緒に戦うのが本来の「二国間の軍事同盟」なのだ。

安倍首相は2年前の夏までに「安保関連法案」として、「日本人が外国に出ていて、その地の紛争に巻き込まれそうになった時、アメリカの艦船が日本人を救助して日本に送ってくれる際、自衛隊が日本の排他的水域外まで出て行って救助の連係をすることができるようにする」という法案を通したが、結果的にはトランプのあの恫喝に応えようとしている。

玉城沖縄県知事は県知事選挙と、県内最大の中心都市である那覇市の選挙でも反自民候補が勝利したことを受けて、「県民の声は辺野古移設反対だ」と確証を得たのだが、相変わらず国連憲章違反の「日米同盟」を認める立場を崩していない。

これでは政府の考え方と基本的には同じだ。ただ、移設先が「県内か県外か」の違いに過ぎないのであれば、移設を積極的に受け入れる自治体が名乗りを上げない限りは徒労に終わるしかない。おそらくそんな自治体は永遠に現れないだろう。

この沖縄基地問題を「最終的かつ不可逆的に解決する」には、日米同盟の解消しかない。

日米同盟を解消した上で日本は「永世中立国」を宣言する。ただし、日本は国連憲章上の「旧敵国」(第53条)であることを受け入れて、国連軍(主として安全保障理事会常任理事国の軍隊からなる多国籍軍)を常駐させるという条件を付ける。

こうすれば「旧敵国」日本が、もう決して国連発足時の連合国に対して牙をむくことはないことが国際的に担保され、世界の多くの国は日本の永世中立の立場を承認するだろう。

沖縄の基地は大幅に縮小された上で、米軍ではなく国連軍の駐留地及び日本の自衛隊基地として使われることになるが、その規模は本土よりやや多い程度のもので済むのではないだろうか。

米中国交正常化(1978年)後の怒涛のようなアメリカおよび自由経済圏の中国進出、またソ連邦解体による冷戦の終結で自由主義諸国と社会主義諸国とのイデオロギー的な対立は終わって(ベルリンの壁崩壊=1989年)、もう30年。世界は大きく変わった。

それにより日米安全保障条約の対共産圏諸国向けの軍事的側面は小さくなり、日米同盟は「瓶の蓋(びんのふた)」としてむしろ「日本がアメリカに歯向かわないように押さえておく役割に変わった」と当のアメリカ政府要人が言っていた。

日本の「永世中立国」宣言は、そのことと矛盾しない(ただし、非核の専守防衛軍=おおむね現状の自衛隊=は必要だ)。

災害列島である日本のやるべき「安全・安心対策」は山ほどある。東京一極集中の解消もその柱の一つだ。首都直下型地震や相模湾トラフ地震が目前に迫っていると言われている。東京がマヒしては日本のみならず世界的な大惨事だ。

永世中立にしても首都機能移転にしても、政党・党派を超越した関心事でなければなるまい。頑張れニッポン。