鴨着く島

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バイデンの勝利と立皇嗣宣明の儀

2020-11-08 13:46:20 | 専守防衛力を有する永世中立国
11月3日投票のアメリカ大統領選挙はもつれにもつれた挙句、日本時間の今朝(11月8日)10時半過ぎに民主党のジョー・バイデン候補がどうやら勝利を確信して「勝利宣言」なるスピーチを行った。

まだ最終的な確定選挙人の数は出揃わないが、過半数の270人以上を獲得したようではある。

対する現職のトランプは2日前の演説でバイデン陣営には不正があるから、裁判に訴えるという。それも訴える対象はバイデンが僅差で勝利した州だけだというのだから、開いた口が塞がらない。自分の勝利した州は完全に正しく、負けた州は不正だったというのは駄々っ子の理屈だ。

特に郵便投票にすり替えや廃棄などの不正があるというのだが、現地のメディアも州の選挙責任者も証拠などないと異口同音に言っている。これにトランプは全く耳を貸さず、「勝つのは俺で向こうは負けだ」「裁判に訴えてやる」と壊れた蓄音機のように繰り返すばかりだ。

訴訟大国と言われるアメリカだが、今後裁判沙汰になってもおそらく連邦裁判所(最高裁)に届かない段階で却下されるか、最終票が確定し5パーセント以上の差がついて「文句なき敗戦」となり、認めざるを得なくなるだろう。

今回はコロナ禍の影響で期日前投票と郵便投票が飛躍的に伸びて、一億票を超えたというから前代未聞の開票作業だったそうだが、それにしても各州でその扱いに違いがあり過ぎる。

ある州は11月3日必着だったり、消印があれば3日後まで受け付ける、いや6日後まで受け付けるなど統一していないことも混乱に拍車をかけた。

そもそも候補者自らが自ら集めた資金で集会を開き、演説して回ったり、メディアへ広告を依頼したりするという選挙はどうなんだろう。資金の一部が票集めの金としてバラまかれたりはしないものか。日本のように「選挙管理委員会」が一括して候補者の政見を一覧した印刷物を配布し、政見放送をした方がよいのではないか。

国民の投じた票が直接大統領候補への票とはならず、いわゆる「間接選挙」なのだから、各州で同時に行われる上院・下院議員の改選・本選の結果によって、それぞれの議会で大統領を選出すればよいのではないか。「選挙人」などという別仕立ての人物群を立てる意味がいまいち分からない。選挙を複雑にしているとしか思えない。

その点、日本国の菅総理大臣を決めた先の「自民党総裁選挙」はお気楽だった。何しろ自民党地方党員の総投票を封じ込め、つまり地方の票を過少案分してほぼ自民党の国会議員票で決まってしまうという出来レースだったのだ。

仮に地方党員票をすべて加えて選挙したとしても、結局圧倒的に多い国会議員票で菅さんは当選しただろうが、岸田氏と石破氏がどのくらい票を集めたかくらいは見たかった。


さてバイデン氏の78歳と思えない力強い演説は堂に入ったものだが、見ていたNHKテレビは11時から皇居で行われる「立皇嗣宣明の儀」に切り替わった。

皇居「松の間」で行われた初の「立皇嗣宣明の儀」だが、4月に開催の予定だったのがコロナ禍で遅れたうえ、参列者も50名ほどと規模はだいぶ縮小されていた。

天皇皇后両陛下と秋篠宮文仁殿下・紀子さまだけがマスクを外して屏風の前にお立ちになっている。

天皇のお言葉(宣明)は「秋篠宮を皇嗣とすることを、ここに内外に宣明いたします」で、秋篠宮様は「立皇嗣宣明の儀を挙げていただき、誠に畏れ多いことでございます。皇嗣としての責務に深く思いを致し、務めを果たしてまいりたく存じます」という決意を返された。

我が子の中から(皇)太子を選び定める「立太子の礼」というのは平安朝の頃には存在したらしいが、「立皇嗣の礼」については定かではない。

古代でも古い時代ほど天皇の「兄弟相続」が多かったので、言葉としての「立皇嗣の礼」はなかったかもしれないが、それ相応の儀式的なものはあったと思われる。

いずれにしても1000年もの古えから続く歴史と伝統を、現代においても垣間見せてくれる儀式である。(これを京都御所で見てみたいというのが自分の希望だが・・・。)