鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

エンディングノート

2020-11-03 15:14:31 | 日記
昨日、大姶良のきもつき農協に行き、振り込み支払いをしたのだが、待っている間に雑誌書架にあったJA(農協)で出している月刊誌「家の光」を見ていたら、1月号の付録として「エンディングノート」があると知った。

エンディングノートは今やブームらしく、書店でも大層な種類を見かけるが購入したことはなかったが、家の光の記事にも興味あるのがあったので買うことにした。

付録はエンディングノートと「家計簿」で、家計簿は家内に渡し、自分はエンディングノートを手にした。

開いてみると、「親と子の終活・相続」準備度チェックから、最後は葬儀、相続、死後の手続きまで、20項目くらいにわたり、それぞれが1ページから2ページほどに纏められ、大き目の字と書き込み用の空欄が並んでいる。

なるほど、書き込めることは今のうちに書いておいた方がよさそうだ。「自分の人生の棚卸」だそうだから、客観的に自分を振り返ることができ、なかなか他人(家族でも)には言いにくいことでも、書き表すことは可能だ。

最近は終活という便利な言葉もできた。その中心はやはり「遺言」なのだろう。むつかしく考えることなく、やっておくに越したことはない。

はじめからインクなどは使わず、修正可能な鉛筆で書いていくべきだろう。年々、書いては消し、書いては消しし、死ぬ時まで、このエンディングノート一冊で済めば楽なものだ。

ところで、この「家の光」という雑誌は偉く歴史が古いのだ。裏表紙の左上隅に何と「大正14年6月27日 第三種郵便物承認」とあり、この時期に郵便物として料金格安の承認を受けている。それから2020年の今日まで、実に96年を経ていることになる。

「第96巻第12号」とも書いてある。これは96年目の12月号ということだろうから、驚くべし、戦時中も絶やすことなく発行を続けていたことになり、この面でも大変なものである。

試みにウェブサイトで日本の雑誌の歴史について調べてみると、96年継続している家の光よりさらに古くから現在まで継続しているものが多数あり、最古参は「中央公論」の130年、「週刊東洋経済」が125年、「婦人之友」が117年、「新潮」が116年、「婦人画報」が115年、「週刊ダイヤモンド」が107年、「婦人公論」が104年。これまでが100年を越えているという。

ここでまた驚いてしまうのだが、100年以上続く雑誌7点のうち、婦人雑誌つまり女性誌が3点も入っていることだ。これには心底驚嘆する。大正デモクラシーの時代に端を発した女性の「女権拡張」の勢いが、そのまま現代にまで続いているとは何と言う歴史だろう。

その時代には選挙権もなく、不憫をかこっていた女性に対して、せめてもの社会文化意識の維持高揚に大いに役立っていたからこそ、たゆまずに発行が継続されたのだろう。

それともう一つ想いを馳せたいのが、日本に平安の昔からある女性の書き手の存在だ。何しろ世界で最も古い恋愛小説を書いたのが紫式部、エッセイストの清少納言など、綺羅星のごとく書き綴っていた。もちろん読み手があってこその文化であり、大正から続く女性誌も数多の読み手の存在を無視しては成り立たない。

都市部のみならず地方にも広がっている奥底の深い、豊かな活字文化であり、それが情報伝達の一翼を担って今日がある。このような日本文化の継続性・普遍性には世界も驚くに違いない。