アメリカの前大統領ドナルド・トランプが2017年の11月、大方の予想を裏切って民主党候補のヒラリ-・クリントンを破って当選を決めた時、安倍晋三元首相が世界の並みいる指導者たちに先駆けてトランプタワーに祝意を伝えに行ったということで、トランプに気に入られ、以後はドナルド=シンゾーとファーストネームで呼び合う仲になったというのは記憶に新しい。
まさに外交通のシンゾーの面目躍如と言った一場面だった。その前に安全保障関連法案を成立させているから、共和党の大統領にとってはいいお土産を引っ提げて行ったわけである。
ところがトランプの日米安全保障条約に対する考え方は、「日本周辺で起きた紛争は日本が片付ければよい、何で米軍が血を流さなければならないのだ」というものだった。つまり日米安保は「片務的に過ぎる」というのだ。常識的に考えればその通りだろう。
独立国家なら、自分の近辺(領海や領土)に関わる紛争が発生したら、当事国として自前で処理できなければおかしいというわけで、これも世界の常識である。
――ああそうですか、それなら日米同盟は終わりにしましょう。日本は独立国家ですから個別的自衛権があり、それに応じた軍隊(自衛隊)もありますから、なるほどご指摘の通り領海領土問題なら自分たちで解決しますよ。
と応じていたらシンゾーも「あいつはシンゾーだけになかなか心臓の強い男だ」と世界から持ち上げられていただろう。
おそらくロシア大統領のウラジーミル・プーチンもそう思ったはずだ。いやそれどころかシンゾーがアメリカとの二国間軍事同盟である日米安保から離脱したことに驚喜したに違いない。そしてシンゾーの呼びかけに応じて開いた27回もの会談の半分もしないうちに「日ソ共同宣言(1956年)より一歩進んで平和友好条約を結ぼう。そして北方領土4島(国後・択捉・歯舞・色丹)は日本に返還しよう」となったかもしれない。
こうなったらシンゾーは戦後の首相経験者で最も高い評価を受けたはずだ。しかし日米安保がなければ絶対に日本は攻め込まれると思い込んでいる超保守層からは恨みを買い、即日退陣となる可能性が高い。あの母方の祖父の岸信介元首相が1960年に改定安保に調印すると同時に退陣したように・・・。
しかしながら・・・、アメリカとの交渉となると決まって「日米同盟のさらなる緊密化」とか「より一層強固な日米同盟」と言うのが口癖になっていたシンゾーの対米従属フレーズがあだとなり、プーチンの肚の底の嫌悪感を見抜けぬままいたずらに27回という他のどの国のトップよりも費やした会談は、悉く物別れに終わってしまった。
全くの拍子抜けと言うところだ。
拍子抜けと言えば、北朝鮮の拉致問題でもそうだ。
民主党政権後に首相になったらすぐに拉致被害者家族たちと面会し、「私の任期中に必ず解決します」と大見得を切ったはずなのに、一向に進展はなく、相方のドナルドが2度も北朝鮮を訪れ金正恩に直接会っているのに、それに驥尾して自身も行くのかと思いきや、まったく鳴かず飛ばず、あの威勢のよさはどうしたのかと誰もが思ったものである。
世界中を飛び回る腰の軽さを見せていたのだが、肝心の相手となると腰が引けたり、抜けたり、おまけにあの「桜を見る会問題」「小学校用地の土地代大幅値引き問題」「獣医学部新設口利き問題」など国内問題については結局うやむやのままだ。
外交関係に期待を寄せていた自分などは騙され感が強い。
外交と軍事は結局のところ、「アメリカへの忖度抜きには決定できない」のが日本の外交であり軍事なのだ。
これでは真の自立した独立国家とは言えまい。
日本は幸いにも他国との地続きの国境を持っていない。今度のロシアによるウクライナ侵攻を見ていて、その幸運が思わされる。
もちろん現代の戦争は飛び道具(ミサイル)が主役だが、その効果も陸戦部隊の侵攻と占領があってのことだ。
いずれにしても、もう戦争は止めよう。他国を侵略するな。
まさに外交通のシンゾーの面目躍如と言った一場面だった。その前に安全保障関連法案を成立させているから、共和党の大統領にとってはいいお土産を引っ提げて行ったわけである。
ところがトランプの日米安全保障条約に対する考え方は、「日本周辺で起きた紛争は日本が片付ければよい、何で米軍が血を流さなければならないのだ」というものだった。つまり日米安保は「片務的に過ぎる」というのだ。常識的に考えればその通りだろう。
独立国家なら、自分の近辺(領海や領土)に関わる紛争が発生したら、当事国として自前で処理できなければおかしいというわけで、これも世界の常識である。
――ああそうですか、それなら日米同盟は終わりにしましょう。日本は独立国家ですから個別的自衛権があり、それに応じた軍隊(自衛隊)もありますから、なるほどご指摘の通り領海領土問題なら自分たちで解決しますよ。
と応じていたらシンゾーも「あいつはシンゾーだけになかなか心臓の強い男だ」と世界から持ち上げられていただろう。
おそらくロシア大統領のウラジーミル・プーチンもそう思ったはずだ。いやそれどころかシンゾーがアメリカとの二国間軍事同盟である日米安保から離脱したことに驚喜したに違いない。そしてシンゾーの呼びかけに応じて開いた27回もの会談の半分もしないうちに「日ソ共同宣言(1956年)より一歩進んで平和友好条約を結ぼう。そして北方領土4島(国後・択捉・歯舞・色丹)は日本に返還しよう」となったかもしれない。
こうなったらシンゾーは戦後の首相経験者で最も高い評価を受けたはずだ。しかし日米安保がなければ絶対に日本は攻め込まれると思い込んでいる超保守層からは恨みを買い、即日退陣となる可能性が高い。あの母方の祖父の岸信介元首相が1960年に改定安保に調印すると同時に退陣したように・・・。
しかしながら・・・、アメリカとの交渉となると決まって「日米同盟のさらなる緊密化」とか「より一層強固な日米同盟」と言うのが口癖になっていたシンゾーの対米従属フレーズがあだとなり、プーチンの肚の底の嫌悪感を見抜けぬままいたずらに27回という他のどの国のトップよりも費やした会談は、悉く物別れに終わってしまった。
全くの拍子抜けと言うところだ。
拍子抜けと言えば、北朝鮮の拉致問題でもそうだ。
民主党政権後に首相になったらすぐに拉致被害者家族たちと面会し、「私の任期中に必ず解決します」と大見得を切ったはずなのに、一向に進展はなく、相方のドナルドが2度も北朝鮮を訪れ金正恩に直接会っているのに、それに驥尾して自身も行くのかと思いきや、まったく鳴かず飛ばず、あの威勢のよさはどうしたのかと誰もが思ったものである。
世界中を飛び回る腰の軽さを見せていたのだが、肝心の相手となると腰が引けたり、抜けたり、おまけにあの「桜を見る会問題」「小学校用地の土地代大幅値引き問題」「獣医学部新設口利き問題」など国内問題については結局うやむやのままだ。
外交関係に期待を寄せていた自分などは騙され感が強い。
外交と軍事は結局のところ、「アメリカへの忖度抜きには決定できない」のが日本の外交であり軍事なのだ。
これでは真の自立した独立国家とは言えまい。
日本は幸いにも他国との地続きの国境を持っていない。今度のロシアによるウクライナ侵攻を見ていて、その幸運が思わされる。
もちろん現代の戦争は飛び道具(ミサイル)が主役だが、その効果も陸戦部隊の侵攻と占領があってのことだ。
いずれにしても、もう戦争は止めよう。他国を侵略するな。