鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

稲刈り間近の台風

2023-08-01 21:33:12 | おおすみの風景

 

我が家から東へ3キロほど行った所には、大姶良川を流域とする田んぼ地帯が広がる。早期米の稲はもうすっかり実り、深く頭を垂れている。

田んぼの水はもうすっかり抜かれ、黄金の穂が揺れている。稲刈りは間もなく行われるだろう。

ところがここへ来て沖縄にまでやって来た台風6号の影響で、雨模様が続いている。

今どきの稲刈りではほとんどがコンバインという機械が使われ、相当なスピードで稲株を刈り取った上に、脱粒までやってしまうのだが、稲株が濡れていると刈り取り(脱粒)は困難である。

昔のように手刈りなら多少の雨でも刈り取りは可能だが、田んぼの中に稲株を天日干しするための「馬」を建てなければならない。それだけ人手が要り、手間ひまがかかる。

干している間に雨が多かったり、ましてや今度のように台風が到来したらお手上げだ。

そこで今日はコンバインによる収穫(刈り取りと脱粒)が普通になった。自前のコンバインの場合もあるし、他人や農協(JA)に依頼することもある。

天候に左右されない強制乾燥だから、モミの仕上がりにムラがないのが特徴だが、なにせ乾燥用のエネルギーにガスや石油を使うから今どきのSDGs視点からはやや疑問符が付く。

それでも今度のように沖縄を通過したあと、進路を大きく東に変え九州方面に向かってくるという予報からすれば、台風の影響が大きくなる前に雨の降らないタイミングを縫ってコンバインによるスピード刈り取りを期待せざるを得ないだろう。

当地では8月13日から旧盆となり、新米は祖先へのお供物として大切な物だ。その前の1週間前には稲刈りを済まさなければ間に合わない。

農家はみなやきもきしていることだろう。台風の影響の少なからんことを願うばかりだ。

8月1日付の新聞によると、2022年度のコメの作付面積は24府県で減少し、生産量は670万トン程度になるという。いまから50年前の1970年頃にピークを迎えてから、「減反政策」とコメの個人消費量減少が重なり、1000万トンを切ってからの減少幅が年々大きくなった。

それでも専業農家や半農の人たちの維持管理によって、日本の田んぼはまだ青々とした緑地を保っている。水利的な面でも田んぼの機能は馬鹿にならない。

田んぼよ永遠なれ。