昌栄薬品です
渡辺武著『わかりやすい漢方薬』第四章 漢方による心身の健康法 1病気を予防する漢方
新薬とは次元も方法論もちがう
漢方薬は病名薬ではないこと、
人間の身体のひずみを正常化する薬であること、
薬を決めるためには六つの証で歯止めのチェックと確認がなされること、
薬は自然に存在する草根木皮であること、
薬剤は局部的な治療ではなくて全体的にとらえられていること、
薬剤は総合的で抗菌性というような直接的に菌を殺す薬剤ではないこと、
などの理由で、漢方薬を飲んでも副作用とかクスリ公害という問題は起らないようになっています。
すでに日本民族だって千二、三百年も漢方薬を飲んできたのだし、お隣りの中国では三千年ちかく営々として飲んできています。
何億人もの人々が実際に飲んで人体実験した結果をまた飲んでいるわけですから、もし副作用があるなら、すでに二千年前か、一千年前から起っていなければなりません。
もし副作用があればその時点で薬として多量に用いることを禁じられたはずです。
どこから考えても薬公害や難病になる原因は出てこないわけです。
第一に副作用やクスリ公害がいわれ始めたのは、二十年位前からです。
新薬の場合は、漢方薬と違って病名薬です。
病名に合わせて薬がつくられてきました。
副作用は動物実験で、急性毒性と慢性毒性について実験をすることになっています。
その研究は、たとえば六回やってみて五十匹しんだとか、死ななかったとかということに限界を求めてきました。
いわば、急性毒性だけの実験で、慢性毒性の実験を兼ねてきたのです。
普通、慢性毒性を研究するというのは、少なくとも数年間の実験をやらなければなりません。
その慢性毒性の蓄積作用などの実験をやらなかったことに、第一のまちがいがあります。
それに動物実験といっても、実験動物は健康な動物を使って実験しているわけで、健康体を病体と想定しての実験です。
病体薬理とは言い難いわけです。
これでは慢性毒性が出できても仕方がありません。
新薬には漢方のような歯止めが少ないのです。
千年にわたって何億人の人が飲んできたわけではありません。
漢方に比べたら、飲んでいる人が人体実験第一号ということに等しいわけです。
新薬の副作用で一番大きい問題は、抗生物質による副作用です。
抗生物質は使用すれば、病原菌にも抗体ができて、どちらもどんどん進化していきます。
病原菌だけをやっつけている間はよくても、多量に飲むと人間の構造機能までこわすことにつながります。
リュウマチや神経痛や皮膚病、泌尿器疾患まで幅広く投薬される副腎皮質ホルモンも副作用のやっかいな薬です。
この抗生物質や副腎皮質ホルモンの副作用で病気になった人を、漢方薬で治療する場合が、意外に多いのです。
機能がこわされているわけですから、まず薬害を除いて機能回復をして、本番の治療にかかるという、二段構えの治療をしなければならないわけで、大変にやっかいです。
だから、難病患者は総じて新薬に荒らされた老軀者で、病院生活が長い人より、同じ病名でも子供の急性難病患者の方が早く治療できるのです。
漢方薬ブームというのは、この二、三十年来いわれてきたことですが、本当のブームになったのはこの二、三年薬公害とか副作用が問題になってからです。
それも、一般の人たちの漢方への認識は、新薬はこわいが漢方薬なら害がないからという漠然とした考えからです。
漢方薬と新薬では、理屈でいえば方法論が違っているのです。
漢方薬の場合は病人に薬を合わせていく考え方、公害病だろうがクスリの副作用だろうが、治療法は、いつの場合もあるわけです。
しかし、新薬の場合は人間不在の病名が先にあって、病名に薬を合わせていく考え方なのです。
だから、原因不明の近代病とか公害病など、新しく病名をつけなければならない病気になると、全く治療はお手上げになってしまうわけなのです。
渡辺武著『漢方が救う人体危機』 西洋医学一辺倒からの脱出
現代日本医療の誤りを正す
第1章 漢方薬はなぜ効くか 生命は「土と水と空気」から生まれた
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