渡辺武著 わかりやすい漢方薬
漢方薬はどう診断するか
4 水滞(水毒症―水滞証)
舞妓はんのへそが立っている
京都の祇園の舞妓はんといえば、昔ながらの日本情緒の生き見本のように思われていますが、最近、あるお茶屋でおかみさんから妙な相談を受けたのです。
話によると、現代っ子の舞妓はんのお行儀が悪くて困っているというのです。
少し坐っているとすぐに足がしびれるといって、席を立ち、陰で足を投げ出すのだそうです。
「先生、何とかなりまへんやろか」というわけで、舞妓はんたちと顔を会わせました。
その時、はたと思いました。
どの顔も美しいにはちがいないが、お腹が立っていて、その上に首がのっている姿。
試みに左足のふくらはぎを軽くつかむと、「痛い」と足を引っ込めます。
「立てば芍薬、坐れば牡丹」の諺どおり、芍薬の花の格好。
そこで舞妓はんたちに
「今晩帰ったら、鏡で自分のへその格好を見てみなさい。
へそが立っているにちがいない。
その通りなら一力茶屋の隣の薬局で『小建中湯』という漢方薬を買って、一、二週間お飲みなさい。
お座敷で坐っていても足がしびれなくなるよ」
と言ってあげました。
その時一人の妓が「私のも立っている」と御自慢の様子、中には「手術しなくていいんすわ」とカンちがいしているのです。
それもそのはず、現代っ子の間では、腹を立てるのが美人の象徴といい、セックスアピールがあるというので、おへその整形手術が若い素人の女性や舞妓はんの間でもはやっていたというのです。
舞妓はんの足のしびれは、水滞が原因でお腹が立っていることにあるのです。
腹が立てば格好はいいかもしれませんし、セックスアピールがあるかもしれませんが、万年胃腸が悪いという証拠なのです。
それをわざわざ手術するに至っては、現代っ子の無知さにあきれ果ててしまいました。
肩こりや首筋のこりは、まず、腸管の水滞が原因だと考えられます。
水滞が起ると、水分を頭や皮膚から出し、風邪をひきます。
停滞していれば、あくびが出て背がつってきます。
舞妓はんの、とくに左足のしびれは、頭に血が上って下に血が回りかね、水滞が起って、肩こりや首筋こりの前兆だったのです。
だから「立てば芍薬」どおり、腹が立ったら芍薬を飲みなさいというわけです。
よく、風邪をひくと漢方では『葛根湯』を飲ませます。
葛根湯は芍薬の証のある薬湯、芍薬は腸管の水滞を汗と小便で出してくれる効き目があるのです。
したがって、水滞が取れれば肩のこりもなくなります。
しかし、腸の水滞と肩とどう関係があるのかという人もいます。
人間の裏、身体の中の五臓六腑は、体内で宙に浮いているわけではありません。
肩は衣紋掛けのようなもので、胸や腹の筋肉や膜でちゃんと上下左右、前後にほどよく吊り上げているわけです。
腸が水滞で重くなれば、それを吊っている筋がこってくるのは当然です。
肩こりとか首筋のこりは、充血を起して、血液は余分に流れているということです。
普通の状態より多く流れているわけだから、滞って充血を起すわけです。
充血が抹消まで及ぶと、頭が重くなり、脳の充血が激しくなります。
肩こりは右がこる場合と、左がこる場合では、病態が違います。
腸管の水滞が原因でこる肩は右肩、左の肩がこるのは血症、充血による心臓の疲労が原因なのです。
総じて肩こりは病の前兆といえるのです。
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