八重山日報 令和2年8月31日
日めくり随筆
炊くと煮る 松本 暁美
お米は炊く、という。どうして煮るといわないのか。
｢炊くも煮るも、お鍋に入れて下から火を付ければいいんでしょ。なのに差別するのはおかしい｣
女子高校生にそう言われた。
ごもっとも、といいたいところだが、歴然とした違いがある。
たく、という字は本当は「焚く」と書く。林の下に火がついている。
広い林を焼き尽くす、とうことばでいわば、強烈な火を表している。
強い火でお鍋を焼くと、なかの水分がなくなってしまう。
ご飯を炊くときはお米に水を入れるが、炊きあがった時にはなくなる。
煮る場合には、出来上がっても水分が残っている状態をいう。
ご飯をただ煮るとおかゆのようになってしまう。
ご飯を美味しく炊くには水の役割が半分。水の良し悪しで勝負が決まる。
台湾には戦前、日本人技術者が日本米をかけあわせて作った蓬莱米(ほうらいまい)という美味しい品種があったが残念ながら台湾の水はアルカリ性が強く、炊きあがったご飯は、本来の味を殺している。
ささにしきやこしひかりを、日本以外の国で炊いても美味しくないこと、請け合い。
(元台湾東呉大学教授)
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｢炊くも煮るも、お鍋に入れて下から火を付ければいいんでしょ。なのに差別するのはおかしい｣
女子高校生にそう言われた。
差別と区別
広辞苑 昭和40年版
差別
さ･べつ【差別】①「仏」しゃべつ。②区別。弁別。ちがい。けじめ。
区別
く･べつ【区別】わかち。くわけ。けじめ。差別。
新明解国語辞典 第二版
差別
さ･べつ①〔差別〕－する 価値判断や先入主･偏見による扱いの違い。また、そのように扱うこと。「武士と町人の－･－待遇･無－」
区別
くべつ
①「区別」－する。二つ、またはそれ以上のものの間にある、特徴の違い(によって、それを分けること)
旺文社 標準漢和辞典
【差別】サベツ 物と物のちがい。また、ちがいをつけること。区別。「－待遇たいぐう」
【区別】クベツ ①種類によって分けること。②差別。ちがい。
私は新明解国語辞典の差別と区別の意味だけだと思っていたが
女子高校生は知識が豊富
男と女の違い
区別
月経がある女性と男の脈は違う
渡辺武著平成薬証論より
男は脈の打ち方が寸脈が強く、女性は尺脈が強い
女性は子どもを産むことができる、これは区別。
先ほど来店された女性のお客様
らしさという話で、女性は女性らしさ、男は男らしさが生きてゆくために必要な仕草じゃない？と。
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