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イタリアの一人当たりGDPは米国の2分の1。30年続く経済の低迷と政治の沈黙

2024-01-09 14:34:17 | 政治
Corriere della sera 8 genaio 2024

Redditi, così l’America ha doppiato l’Italia: i trent’anni di declino e i silenzi della politica
イタリアの一人当たりGDPは米国の2分の1。30年続く経済の低迷と政治の沈黙

今年初めのジョルジア・メローニ首相の記者会見。首相は190分間話したが、数字には一つも言及しなかった。メローニは国民総生産額2000億ユーロ、輸出額6000億ユーロという大きな経済を統治していると言うのに、この沈黙をどう解釈すればいいのか?

La quota dell’economia
経済の数字について

メローニは、現在の欧州連合加盟27カ国におけるイタリア経済のシェアが1995年から2023年の間に26%(17.2%から12.7%に低下)も崩壊したとは言えなかったはずだ。 あるいは、現在ユーロに加盟している20カ国の中でも同じ年にそのシェアは21%減少している。ほんの30年前にはそのシェアは20%弱だったのに、現在はかろうじて15%だ。 このような衰退は、中東ヨーロッパの新興経済国の成長によって与えられる目の錯覚であると考える人もいるかもしれないが、フランスとの比較は、そうではないことを示している。現在のユーロ圏におけるアルプス山脈より北の国々の経済のシェアは、 1995 年から今日までほとんど変化がありませんでしたが、イタリアの数値は大幅に低下しました。

さらに、メローニは、ヨーロッパとの比較は、あらゆることを考慮すると、イタリアにとってそれほど厳しいものではなかったであろうと付け加えることはできなかったでしょう。 たとえば、イタリアが劣勢にあるこの 27 か国からなるヨーロッパを米国と比較してみましょう。 現在のドルに換算すると、1996 年には両国の経済規模は同等であり、総生産額はどちらも約 8 兆でした。 そしていまはどうでしょう? 中東欧の新興国の力強い成長にも関わらず、2022 年のアメリカ経済はEUより 52% 大きく、その差は 10 兆ドル近くあり、2023 年にはさらに広がるばかりです。

Europa e Usa
ヨーロッパと米国を比較して

グローバル化が始まった1980年、米国の一人当たり国内総生産は、(当時ソ連の支配下にあった国々の所得が低かったにもかかわらず)欧州連合27カ国の平均に匹敵していた。 そして2022 年、米国の住民 1 人当たりの平均所得は現在 76,300 ドル、欧州連合の平均所得は現在 37,400 ドルです。エストニアからスロベニアまでを含む国々の非常に力強い回復にもかかわらず、半分以下です。とりわけ、この差は、2008年の危機以来、特に拡大して、30年間のグローバリゼーションの中で最初の大きな混乱の時だった。

Il percorso dell’Italia
イタリアの道


実質的に、イタリアは経済分野で地位を失いつつある。とりわけ、世界の生産分野と技術的分野と比較して。 すでに減速している他の国々と比較しても。 1992 年、米国の一人当たりの平均所得は、現在のドルでイタリアの平均所得をわずか 9% 上回っていた。 それが2022年には米国7万6千ドルに比し、イタリアは半分以下の3万4千ドルだ。 これらの差異を現在の価値でドルで表現することは完璧ではないと言われるかもしれないが、実際には大きな違いはないだろう。


また、メローニの記者会見ではふれたくない他の嫌な数字もある。我が国がいかに世界に対して閉鎖的かを示すものです。もしフランスと同じ割合で海外からの投資を受入れていれば、2005 年から 2022 年までにイタリアは合計 1,200 億ドル以上の海外直接投資を受け取っていたであろう。 そして、もしイタリアが2005年以来EU平均と同額の外国投資を受入れていたら6,000億ユーロ以上あっただろう。

Investimenti verso l’estero
海外向け投資

イタリアからの海外への直接投資については、2005 年以来、累計で GDP の 27% に達しています。 フランスではGDPの40%、ドイツでは48%、スペインではほぼ60%。 イタリアと世界の他の国々との生産的なつながりは、先進国ほど発展していません。 イタリアが輸入しているのは、少ない生産資本、プロセスやテクノロジーに関する知識やスキル、イノベーション的でないものが多いのです。 私たちは世界の複雑な生産と組織の連鎖の中であまり存在感を示さず、国境を越えて自分たちの存在を明確に表現することができません。多くの個別の事例が反対であるにもかかわらず、国として私たちは明らかに縮こまっています。 とりわけ、Confindustria研究センター (ありがとう!) によれば、海外からの直接投資が 米国では2023 年により投資が見込まれるのに対し、イタリアとヨーロッパは2022年と比べても減速が見込まれている。

I temi della conferenza stampa di Meloni
メローニの記者会見のテーマ

先週の木曜日にメローニがこれらの問題を提起すると期待するのは過度であっただろう。メローニは決定を下す前に論文を研究し、問題の真相を突き止める稀有な政治家の一人だと私は聞いていましたが、1月4日の記者会見や政府の行動全般において、同氏は経済についてほとんど語らず、非常に曖昧な言葉を選んだ。

Il Pnrr
Pnnr

コリエレの記者マルコ・ガッルッツォは木曜日、イタリアと米国インテルへの海外直接投資が乏しいことについてメローニ氏に質問した。インテルは以前、ヴェローナ近郊かピエモンテ州に50億ユーロの工場建設を約束していたにもかかわらず、欧州の他の4カ国(ドイツ、フランス、アイルランド、ポーランド)で半導体サプライチェーンを構築することを望んでいるようだと。これに対し メローニは、「正義」と「官僚制」に対する介入について一般的な見解を述べるだけで、彼女自身がブリュッセルで署名したばかりの国家復興強靱化計画に関する約束には言及しなかった。 実際、メローニは記者会見で、Pnrr(今日存在する唯一の国家プロジェクトであり、実質投資の唯一の源泉である)についても語ることはなかた。理論的には2024年の改革が予想されており、困難かつ重要であるにも関わらず、あたかも首相がその計画から距離を置きたいようだった。 彼女は、特定の企業における国家の存在がどれほど重要であるか、そして経済にとって多かれ少なかれそれがすべてであると彼女が考えていることを繰り返すばかりだった。

2024 年もこの状況が続けば、過去 30 年間の傾向から抜け出ることはできないだろう。



(原文)
https://www.corriere.it/economia/finanza/24_gennaio_08/redditi-cosi-l-america-ha-doppiato-l-italia-trent-anni-declino-silenzi-politica-2067915e-adf4-11ee-8381-1818d333c412.shtml#