拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

2008年5月8日(ドーハ/カタール→マスカット/オマーン)

2008-05-19 | 旅メモ&旅日記(中東・アフリカ)



5:00 ホテルをチェックアウト
5:15~5:30 カタールはタクシーが少なく手配を頼むも現在空車が無いとのこと。
ホテルのマイクロバスで空港へ 30QR(約900円)

DOH7:35/MCT9:55 QR166 カタール航空
(時差1時間。約1時間20分のフライト)

オマーンビザをマスカットの空港で取得。
しかしカタールから来たらビザ代は無料とのこと。ラッキーだ。

タクシーでマスカット市内のホテルへ。

今回の旅程で最後の宿泊ということで、前日ホテルからインターネットで宿の手配。
(booking.com)しかしマスカットは物価が高い。欧州並みだ。1泊50RO(約88EURO)

エアポートタクシーは料金表が乗り場に張られている。
空港→ホテル 8RO(16EURO。約2240円)

11時 ホテルにチェックイン。さすが値段が高いだけあって高級感あり。
でも中級ホテル。プールが小さいが一応プチリゾート気分。

13時 マトラのパキスタン料理店、ニューレストランへ

ホテルから港町の旧市街マトラへ。
タクシー代4RO(8EURO。約1120円)。ここでも定価料金表あり。
物価が異常に高い。

ここは外国人労働者向けのパキスタン料理の安食堂といった趣。

チキンカレー0.7RO(約196円)チャパティ付
水0.1RO(約28円)
すごく安くてウマイ。ようやく自分に嬉しい物価レベルに。


13:30~14:30 マトラスーク(市場)前で1時間程歌う。
現地人が集まってきて盛り上がる。
いつものように英語のカヴァーと日本語の自分の歌を歌う。
オマーンではメジャーな英語の歌も皆よく知っているようだ。

しかし気温が42度強。オマーンは湿度も高く(70%以上)、体感温度はかなりキツイ。

14:30~15:00 マトラスークを歩く。しかし殆どの店が閉まっている。
わずかに開いていた店のおやじに聞くと、マスカットは昼間暑いので殆どの店が朝と夕方以外は全て店が閉まるのだという。

またこの日は木曜日だったが、オマーンでは土日休みでなはく木金が公休日で休日なのだとか。土日が平日で木金休みというのは不思議な感じ。

この売店で350ml缶コーラを買う。 0.2RO(約56円)

インターネットカフェを探すが無いので、一旦ホテルに戻ることに。
タクシー代4RO。(約1120円)
タクシー貧乏になりそう。ホテルの選択を誤ったか。

16時~17時 ホテルでインターネットを利用。
1時間1RO(約320円)日本語NGだが、ホテルに交渉してAdmin権限を借りて日本語フォント&IME(入力パッド)を設定する。これで日本語OKに。

17時~18時 ホテルのプールへ。すごく小さい。
アラブ人の子供だけが泳いでいる。こちらが水着で泳いでいるとなんだか冷たい視線。
オマーンでは女性だけでなく、男性も肌をできるだけ露出させないのだとか。
外国人向けの高級ホテルというよりは、アラブ人宿泊客の多い中級ホテルを選択したのが間違いだったか。しかしこれでも1泊88EURO。(欧州の3つ星中級ホテルと同等価格)
外国人向けの高級ホテルは倍以上してとてもじゃないが手がでない。

アラブのリゾートをイメージしていたが、やはりドバイの欧州人向けリゾートと比べるとまだまだ(意図的にリゾート化していない?)のようだ。

ホテルでシャワーを浴びた後、新市街のルイへ。
渋滞がすごく30分以上かかる。しかし定額料金制でこれも4RO。(約1120円)

18時50分。両替をする。100EURO=57RO

19時 バスターミナルでニズワ行きの公共バスをチェック。片道約2RO(560円)だが1日2本のみ。日帰りをしようとすると現地にいられるのは1時間30分程度で、ニズワには行けても、今回のオマーンの目的である世界遺産のアフラージュ(600年以上昔からの灌漑用水路)へは行けなさそう。
ホテルで聞いた1日ツアーは一人75RO、タクシーでも料金表で50ROとこちらも予算オーバー。何か良い方法は無いか。

とりあえず腹ごしらえしながら考えようと、ルイのCBDエリアにあるオマーン伝統料理レストランBIN ATEEQ(ビン・アティーク)へ。

マスカットは魚もウマイと聞いていたので、白身魚のアラブ風ココナッツカレーとライスを注文。
(Arus Abiyadh Ma Marakh Habbar Nargeal)
2.5RO(約700円)

フレッシュ・マンゴージュース0.7RO(約196円)
水(500ml)0.1RO(約28円)


カレーといってもアラブカレーは辛くなく、ココナッツ味でマイルド。
シーフードもなかなかいける。

どこかで食べたことがあると思い記憶をたどると、2000年に訪れたタンザニアのザンジバル島ストーンタウンで食べたローカルフードであることに気づく。

ザンジバル島にある世界遺産のストーンタウンは海洋貿易拠点で栄えた町で、確かオマーンからアラブ人が侵攻しそれまで占領していたポルトガル人を追い出して気づいたアラブ人の町だ。

ストーンタウンで皆が挨拶として交わしていたサラマリ(こんにちわ)は、ここオマーンと同じアラブ語。

時間を越えて食事と挨拶の言葉、、、点と点の記憶がつながった瞬間。
なぜか複雑な歴史的暗号を解読できたかのような不思議な感情が込みあがる。
「そう、世界は1つにつながっている」と改めて感じた瞬間。

フレッシュマンゴージュースもかなりウマイ。
ここオマーンでもフレッシュジュース(Asser Fuakkah)はいける。


帰りがけにバス停&タクシー乗り場近くにあった旅行会社に飛び込みニズワ行きのツアーが無いかを聞くが、60ROと言われる。これもタクシーを手配するより高く予算オーバー。困った。

これはタクシーの運転手に直接値段交渉するしかないと、ケンタッキーフライドチキン横のタクシー乗り場で見つけた人のよさそうなオマーン人ドライバーの車に乗り、まずはホテルに向かってもらうことに。
4RO(約1120円)

ホテルへ向かう道すがら、自分が明日ローカルバスでニズワへ行こうと思っていること、しかし日帰りで滞在時間が1時間30分しかなく楽しみだったアフラージュへ行けないので、できればタクシーをチャーターしたいと思っているが、料金表を見たところ値段が高くあきらめるしかないと思っていることを話す。
すると自分が案内してやる、いくらなら行くんだ?と乗ってきた。
30ROと言うと、ニズワと2つのアフラージュを含めて40ROと返される。
35RO(60EURO)なら即決すると言うと、そこで話がまとまる。

今回の旅の最終目的地ということで、自分の出せるぎりぎりの予算。
タクシーチャーターは短期旅行の強み。長期なら間違いなくローカルバスである。

ドライバーの名前はイブラヒム(IBRAHIM)
英語もかなりちゃんと話せる運転手で、ニズワまでは片道車で2時間の距離。欧州並みの物価のオマーンで、世界遺産のアフラージュ2箇所(ニズワからローカル移動手段なし)の案内を含めこの値段なら充分その価値があると判断。

21時頃、自分の宿泊するホテルに到着し、こちらのホテルのルーム番号を伝え、彼の携帯番号を聞く。明日の朝7時30分に迎えにくるとのこと。

この日は22時頃就寝。

※写真:ドーハ繁華街(カタール)

2008年5月7日(イラン→クウェート→カタール)

2008-05-19 | 旅メモ&旅日記(中東・アフリカ)



7時30分 ホテルをチェックアウトしタクシーで空港へ。30000RIS(約300円)

SYZ9:40/KWI9:20 IR603(イラン航空)

シラーズおよびクウェートの空港トイレはアラブ式のみ。
イラン航空の機体はかなり古く、トイレのドアが閉まらず手で抑えておかないといけなかった。(汗)

9時30分~10時30分 クウェートのビザは空港でとれるが、銀行窓口方式で番号をとって呼ばれるまでじっと待つ。約1時間かかる。
クウェートビザ代 6KD(約2400円)

1KD(クウェートディナール)=約2.5EURO(約400円)


10時45分~11時30分 エアポートバスで市街へ 0.25KD(約100円)

中心街はにぎわっているが、途中かなり戦争の爪あとか?と思うような、弾痕の残るビルが多い寂れた町を通り過ぎる。
湾岸戦争のきっかけとなったイラク軍のクウェート進行時の爪痕だろうか。


空港バスの終着点ミルカブ・バスターミナル近くの食堂を除くと地元民でにぎわっていたので入ってみる。ここで少し早めの昼食に。

相変わらずメニューも料金表もない。
ただ英語の話せる店員が1人いたので助かった。
・ケバブ(ウマイ)
・サフランライス(パスタ入り。ウマイ)
・コーラ
・ホブス(パン)
上記4品で3KD(約1200円)
注文時に2KDと言っていたのに会計時に3KDといったはずだと言われる。

こんな労働者向けの安食堂で1200円というのは幾ら物価高の中東でもありえない。
明らかにボラれていると思う。


さて空腹も満たされたしうたでも歌うかと思うも、クウェートと言っても、イラク軍の侵攻の印象があって、フライトが一杯で諦めたイランのエスファハンの代わりに急遽やってきたということもあり、実は予備知識がまったく無い。

どこか路上ライブがやれる場所が無いだろうかとガイドブックをめくると、クウェートタワーがこの町のランドマークと書いてあるので行ってみることに。

12時15分 
タクシーでクウェートタワーへ タクシー代0.6KD(約240円)


12時15分~13時15分 クウェートタワー近くの海岸通りで歌う。

人が集まってきて大賑わい。
海からもジェットスキーに乗った若者が数人聴きに来る。
海から自分の歌を聞いてもらうなんてまったく初めての経験だ。(笑)

先日のペルセポリスで歌った時、過去の風景が重なり、すでに同じことの繰り替えしになりつつあるのか?と自問自答を繰り返していたが、そんなものは自分の驕りで、やっぱりまだまだ自分はこれからなのだと、何だか嬉しい気持ちになる。

世界がとても広く大きいことや、自分がとてつもなくちっぽけな存在であることを感じた時などに、意味も無く嬉しい気持ちになるのはなぜだろう。



しばし歌った後、タクシーをひろってバスターミナルへ向かう。

最初1KDと言われ、往路で0.6KDで来たというとメーターを使うと言われる。
しかし最初こそメーターを動かしたが、さらにそのあとボタンを押してキロメーター(走行距離)表示に切り替えられてしまう。

バスターミナルに着いて、1.7km走ったことが表示されていたが、これが料金で1.7KDを払えと言われる。

ふざけるな、これが走行距離であることは知っているし、お前の最初は言い値で1KD、オレは同じ距離を走って0.6KDだったと言い返すと、じゃあポリスにいくから車に乗れと言われる。

どうせグルの仲間の所に連れていこうとしているのだと思い、バスターミナルの中にポリスがあるので、そこへ一緒に行こうとハッタリをかます。

しかしそいつは自分の知っているポリスに連れて行くからとにかく車へ乗れと言ってきかないので、こちらもわざと大きな声を出して、こんな走行距離のメーターなど知らない、オレは同じ距離を0.6KDで来たんだと叫び続けると人が集まってきた。

イスラムの国は泥棒や不正を許さず、こちらが正しければ普通の人達は助けてくれると聞いたことがある。

現に人が集まってくると、そのタクシー運転手はしどろもどろになり、わかった最初の言い値の1KDでいいからと言い出した。


本当は0.6KDなのにと思いながら、もうかなりウザくなってきており、ここが落としどころかもしれないと、1KD(約400円。細かいお金が無かったのもある)を運転手に投げつけて、タクシーから荷物を取り出しバスターミナルへ向かう。

同じふっかけられるのにも、バーレーンではもう少し穏やかな空気が流れていたのに、物価こそ高いがここはまだまだこれからの発展途上国なのだろうか。
そういえばバスや徒歩で町を見回してもインターネットカフェすらない。

13時30分~14時30分 エアポートバスで空港へ 0.25KD(約100円)


チェックインカウンターへ行くとき、荷物運びのおっさんにセキュリティ検査の機械から出てきた自分のバックパックをもぎ取られる。
自分で持つというのに、こちらの言うことを聞かずそのまま荷物をチェックインカウンターへ運ばれる。この距離実に5メートルも無い。

しかし案の定そいつが金を払えと言ってきた。
オレは自分で荷物を運ぶといっただろう、金は無いと言いつづけると、最初はああだこうだわめいていたが、そのままどこかへ行ってしまった。
インド人っぽかったが、その方面の外国人労働者なのだろうか。
先程のタクシーの運転手といいまったく頭にくる。

チェックインの後、フライトまで時間があったので、インターネットカフェを探すが、免税店はあってもここにインターネットサービスは無いと言われる。
一国の大きな首都空港なのにトイレもアラブ式のみ。
物価だけ一人前なのにまだまだこれからの国のようだ。


空港にコンビニのような売店があったので250mlのコーラを買う。
これが0.15(約60円)
おそらくこの値段がある程度正しいこの国の物価なんだろうと思う。
地元の安食堂しかり、タクシーしかり、外国人と見ると騙してでも何でも金をむしりとってやろうということだろうか。

他の発展途上国、特に観光地などでよくあることだが、「騙す」ということが「悪いことでない」国や町も実によくある話だ。

「うそをつくのは悪いことなので、うそをついてはいけません」と幼稚園?でならった記憶があるが、残念ながらこれは日本という小さな島国の中での価値観である。

うそをつく行為、人を騙す行為が、セールストーク(ジャパネット○かたみたいなもの)やサービストーク(お世辞のようなもの)と同等レベルの価値観である国は、残念ながら数多く存在する。

この国もそのうちの1つのようだが、この物価の高さでか?とアンバランス感にやや呆れる。これも世界は広いということなのだろう。(汗)


KWI17:05/DOH18:20 QR135(カタール航空)

カタール航空の飛行機は新しいエアバス。イラン航空とは大違い。


空港でカタールのアライバルビザ取得。100QR。(約2800円)
なぜかイミグレーションカウンターでクレジットカード払いのみ。(現金不可)

イミグレでビザカード?それともマスターカード?といった会話をするなんて初めての経験。やっぱり世界は広かった。(笑)
すぐビザが取得できたので、これはこれで良い仕組み?なのかもしれない。(笑)


メータータクシーで中心部のホテルへ 24QR(約700円)

19:15 ガイドブックに乗っていたホテルに到着。 
AL NAKHEEL HOTEL(旧リージェンシーホテル)

ドーハで最も安い部類の中級ホテル(ドーハに安宿は無い。1件だけユースホステルが郊外にあるらしいが、ものすごく町から離れておりタクシー代等を考え1泊だけだからとこのホテルを選択)だが350QR(約1万円)もする。

こういう場合は、通常ディスカウントレートが適用されるインターネット(booking.com)等でホテルを抑えるのだが、クウェートにインターネットカフェが無かったのが誤算だった。

しかしホテルは町の中心部ドーハフォート、スークアルジャナダに程近く、立地は最高。ホットシャワー、洋式トイレ、エアコン、TV、冷蔵庫、フリーインターネット(しかも日本語入力OK)付。
インターネットをたんまり使って元をとることにしよう。(そんなに使えないと思うが。笑)


スークを歩いてまずは両替をする。
1USドル=3.4QR。 1QR=約35円。

売店で飲み物を購入。
350ml缶コーラ1QR(約35円)、水1.5l 2QR(約70円)


明日の朝移動の為、ギターを持ってドーハフォートへ。
この町には残念ながらランドマークが無いので、最寄りの目ぼしい場所をとドーハフォート前で数曲歌うが、ライトアップもされておらずかなり薄暗い。

地元民が喜んでくれた(冷やかされているような気もしたが。苦笑)が、これは場所の選択を誤ったと早めに切り上げることに。

そのままスークワキーフ(Souq Waqif)へ入ってすぐのところでイラク料理店を発見。
スークワキーフは外国人女性観光客等も何人も見かけ、夜歩いても大丈夫そうな繁華街だ。

少し高級そうな店構えだったが、珍しいのでイラク料理店に入ってみることに。

Al Adhamiyah Iraqi(ドーハフォートからスークワキーフの大通り入ってすぐ左手)


チキンブリヤニ(チキンカレーピラフ)+ナン、ホブス、スープカレー付。
40QR(約1100円)
缶コーラ 3QR(約105円)

チキンカレーピラフやナンがウマイ。
しかもスープカレーはザク切りジャガイモや野菜がごろごろ入って、ダシもしっかりとってあるまさにスープカレー。

インド等で薄いだけの水っぽいカレーを見かけるが、これはちゃんとダシも出ており、美味しく飲めるまさにスープカレーだ。

札幌のスープカレーのルーツはイラクだった?(たぶん違うと思う。笑)

それにしてもイラク料理は日本人の口によくあう。
はっきり言ってこれはウマイ!(イラン料理よりずっとウマイ)
これは意外な発見だ。


食事の後、ホテルに戻ってインターネットのサイトを見ていると、日本人女性2名がこの日、イエメンで誘拐されたことがニュースになっていた。
(※後日この2人は無事に解放された)

実は今回メインの行き先をイランにするか、イエメンにするかでかなり悩み、フライトがとれそうだということでイランに行くことにした経緯があり、複雑な気持ちになる。


イエメンはサナアは大丈夫だが、それ以外の町は部族闘争が激しく、外国人観光客もよく武装勢力に誘拐される事件が出ており、サナア以外は危険だという話も聞く。

アラブ諸国は宗教上の制約やその価値観の関係で女性が旅しずらいが、イエメンはその中でも女性がとりわけ旅しずらいことで有名だ。
今回彼女達が拘束されたのもイエメン中部のマリブという町の近郊で、ここはシバの女王関連の遺跡があった場所だったはずだが、外国人の誘拐事件も過去におこっていた場所だと記憶している。


確かに旅では、その時々で状況が常に変動する。
しかしもし自分が今回イエメンに行っていたとしたら、やはり比較的安全なサナアだけにしていたと思う。


もちろん他の場所へ行っても運よく何も起こらないかもしれない。
しかし今回彼女達はその場所へ行くことは危険であることを容易に知ることができたはずだと思う。

今回自分が行こうと思えば陸路で行けたはずのイランのエスファハーンへ行かなかったのも、インターネットで昨年も同エリアで外国人観光客が誘拐されたニュースを知って、危険の可能性を考えて回避したものだ。

彼女達にそのリスクを犯してまで、マリブへ行く理由があったかはわからないが、これでまた1つイスラムの国に対して日本で偏見が生まれることは確実だ。


またこのような事件が中東でおこると、「だからアラブは危険だ」という話になりがちだが、自分が実際にアラブに来て感じるのは、石油で潤うアラブは欧米諸国と遜色ない国々も多く、イスラム教徒だって親切な人たちは多い。

時々バクシーシを要求され嫌な思いをすることもあるが、弱者に味方するという意味では、キリスト教徒より親切なのでは?と思うことすらある。


今回の件はイスラム教とも関係なく、実際テロ行為を行っているのは、イスラム教徒の中でも、日本でも大事件となった○ウム心理教のようなカルト集団である。
日本では彼達はカルトというカテゴリに属されているが、意図的にうがった見方をすると、彼達は仏教徒ということになる。

我が家もそうだが、日本人の多くはそれ程熱心ではないにしても、家の宗派は仏教徒ということは多いと思う。それに対して見知らぬ遠い外国の人達からまったくお前達仏教徒は!と、○ウムのテロ行為について文句を言われても、「俺達とカルトを一緒にするんじゃない!」と怒りたくなるだろう。


アジアでも南米でもアフリカでも、政治集団としての過激派組織が外国人が誘拐をしたりする事件は時々あり、今回も同じレベルの類の話だ。

それなのにイスラム教という言葉がつくと、またイスラム教徒がテロ!的な印象を感じるニュースが流れるのは何か違うのではないかと感じる。


自分は何の義理も無いので、決してイスラム教徒を味方する訳ではない。
2001年9月11日以降、西側諸国ではイスラム教=テロリスト的な価値観が意図的に流されている感がある。
だが旅をしていて感じるのは、それは必ずしも事実では無いように思われる。

少なくとも自分自身が肌で感じたもの、自分自身の良心と価値観に正直に向き合った言葉をここで綴りたいと思う。


今回日本人女性2人が誘拐されたイエメンだが、先日シリアであった日本人旅行者に1つだけ1番良かった町は?と聞いたら、イエメンのサナアと言っていた。
他にもイエメンは良い国だという話を何度も聞いたことがある。
(しかしサナアだけ良くて、後は外国人にはあまりフレンドリーでは無いという話もよくきく。苦笑)

先日もニュースになっていたミャンマーやチベットについても自分がつい数年前に旅した場所だ。


常に世界は動き続けている。
しかし事実と真実は必ずしも同じではない。

編集作業1つで、意図的にいかようにも視聴者を誘導することが可能な、現代のメディアの怖さみたいなものは、たかがちょっとかじった程度ではあるが、自分もかつてメディアの世界に片足の小指の先を突っ込んだ数年の経験の中で感じている。


自分は戦場カメラマンでもジャーナリストでも無いので、危険を冒してまで、本当に危険な場所へ行くことはおそらく無いと思う。

しかし誰から与えられたものではなく、自分のこの目で見この身体で感じたものを、自分自身のちっぽけな価値観に重ねていこうと思う。

※写真:クウェートタワー