拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

日本の幸福度指数は、、、?

2009-06-16 | 旅人のひとりごと

ギリシャのクレタ島で欧州型バカンスを楽しんできました。


食事+終日フリードリンク(アルコール類含む)のオールインクルーシブ(AI)、ホテル、ビーチ&プール、航空券、ローカル空港⇔ホテル送迎がついた1週間以上の滞在型のリゾートパッケージは、欧州では一般的なバカンスプランで、庶民の手が届くお手ごろ値段(1人あたり300ユーロ位からあり、自分は7泊8日のパッケージで1人400ユーロ強位でした)で、終日完全自由行動ながら、近隣の見所へはオプションのローカルツアー(1人30EUR位から)が用意されていたりと、必要な所は全てフォローされています。


このようなバカンスパッケージや個人手配等で、老若男女を問わず欧州の人達は年に1~数回程、1週間以上のバカンスを楽しんでいるようです。
(近所のスーパーの前で、朝から晩までボーっと立っているお爺さんまで、バカンスシーズンはおめかしして出かけていく姿を見かけました。笑)


今回宿泊していたクレタ島のホテルでは、ドイツ人、フランス人、イタリア人、ロシア人の姿をよく見かけましたが、一方でクレタ島や1dayローカルツアーで訪れたサントリーニ島の滞在型リゾートホテルエリアに日本人の姿は殆どなく、これは距離的な要因だけでなく、日本の一般会社員が比較的長期休暇をとり難いことも関係しているような気がします。


ただ今回欧州型の休暇を過ごしてみて、ワーカーホリックとよく言われる日本よりも、はるかに欧州各国の人々の方が休日の楽しみ方は進んで(洗練されて)いるなとそう感じました。



今回宿泊したホテルには、日本人は始めての訪問だったようで、珍しがられましたが、ギリシャの島の田舎レストランで働く従業員でも日本や東京の名前は知っているようで、日本人だとわかるとすぐに「日本は物価が高いでしょう?」と聞いてました。


確かに日本はGNP(今はGDP/国内総生産でしょうか)世界第二位の経済先進国で、各国を旅していても、世界中の非常に多くの人達が、日本人=お金持ちというイメージを持っていることを実感します。



しかし世界を旅していつも思うのが、各国の人々が、日本で生活している時と比較して、はるかに多くの笑顔が溢れており、また実際に言葉を交わしてみて、彼達が人生を楽しんでいることを感じさせられます。

これは旅だけでなく、同じ職場のドイツ人、フランス人の同僚と比べても、自分達日本人よりも人生を楽しんでいると感じます。



そのような意味で、国民1人辺りの幸せ度(幸福度指数?)からいったら日本は世界第何位なのだろうか?と、今回ふと考えさせられました。


日本人は自分が幸せだと思えない人が多いという話をよく聞きますが、ひょっとすると人生を楽しむという意味の「幸福度指数」では、日本は発展途上国なのではないか?とさえ思ったりもします。



人それぞれ尺度が違うので、幸せの定義は難しいですが、自分が考える「幸せ」とは嬉しい、楽しいと同じ感情の1つで、嬉しい、楽しいが継続、発展すると幸せという感情に昇華するのではないかと思っています。


幸福度指数の数値化は難しいですが、嬉しい、楽しい時、そして幸せを感じている時、人は笑顔になると思うので、国民一人当たりの年間平均笑顔率で幸福度指数は表せたりするかも?等と思ってみたりもします。(単位はスマイル?等でしょうか。笑)




日本は24時間お金さえ出せば欲しいものがいつでも手軽に手に入るものすごく便利な生活があり、モノが溢れ、経済的に豊かだと思います。


でもその話をドイツ人やフランス人の同僚にすると、皆口を揃えて、日本のような「便利過ぎる生活」は必要ない、なぜならその分そこで働く人達が大変になるだけでしょう?それならばちょっとぐらい不便でも家族と楽しい時間を少しでも長く過ごせる生活の方が良いという答えが返ってきます。


それが他国の人から言われるだけであれば、文化や価値観の違いという言葉で片付けられるかもしれませんが、世界でも最も豊かな国の1つである日本の若者の多くが、自分の将来に希望が持てず、国民の多くが自分の生活に不安を感じているという話を聞くと、これはやはり何かおかしいのではないか?と思ってしまいます。



経済的にそれ程豊かではない国の人々が自分達の生活を幸せだと感じたり、毎週日曜日には全てのお店が閉まり、24時間開いているコンビニも無く、電車は頻繁に遅れ、ストライキでしょっちゅう運行停止になり、お店等のサービスも対応が悪い国の人々が自分達の生活を幸せだと感じているのに、世界屈指の経済力を持ち、世界で最も便利な生活を送り、電車も殆ど遅れず定期運行される国の人々が、自分達の生活に不安を感じ、自分達の生活に幸せを感じられないという現実。


それが事実なら、おそらく「幸せ」というものは、物質的な豊かさや持っているお金や財産、地位や名誉というものとは無関係なんだと思います。


たかだか100年にも満たない人生の中で、幸せを感じながら生き、幸せだったと笑って死んでいけることは素敵なことだと自分は思います。




ドイツで生活する日本人の知人の中には、5年間積算でドイツで働けばドイツの年金を貰えるので、将来が不安な日本よりもと、ドイツに来たという人がいます。

海外で暮らす日本人と話をすると、日本にはもう帰りたくないという人が少なからずいます。



でも自分が世界の約半分の国を旅し、多くの異なる文化、習慣、価値観を見聞きしても、やはり一番好きな国は日本で、今は海外で生活をしているものの、いつか日本に帰りたいと思っているし、自分は死ぬまで日本人だと思っています。

そして他国の人がどう言おうと自分は、日本は世界でも稀な素晴らしい文化、習慣、歴史、環境を持つ国、民族だと誇りに思っています。



確かに今の日本は幸福度指数が低いかもしれません。

でもGDPが年々変化するのと同様に、幸福度も常に一定ではなく、それを上げる為に自分達が何かできるのではないかと思います。


それはバブル崩壊時にグローバル化の名の下に行われた、どこかの国のモノマネではなく、日本の素晴らしい独自性を残しながらも、今よりももっと日々幸せを感じて生きていくことができるのではないか?と感じています。



欧米の先進国に大きく遅れをとっていた幕末に、抜本的な改革の道を選択し、近代化へと進んだ日本。それはたかだか100年ちょっと前の、曽祖父の世代の話。

また第二次世界大戦の敗戦で国土を焼き払われ、食べるもの着るものにも困っていたのに、その後の頑張りで世界有数の経済力を持つ国にまで成長した現代日本。それもたかだか60年余り前の祖父や父親の世代の話です。


そして次は自分達の番だと思います。



自分自身の人生を諦めたくないと思うのと同じ次元で、自分は1人の日本人として祖国、日本という国を諦めたくないと思っています。



※写真:サントリーニ島のイアの風景