今年の夏、ザルツブルク音楽祭に行ってきました。
演奏はウィーンフィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker)、指揮はオランダ出身の巨匠ベルナルト・ハイティンク、演目はブルックナーの交響曲第5番。
世界最高レベルのオーケストラだけあって、チケットも2F席で軽く100ユーロを超えましたが、自宅からインターネットで予約できたので、電車に乗ってミュンヘン経由でいざザルツブルクへ。(片道約5時間)
で、その演奏はベルリンフィルと並び、まさに世界最高峰というのも納得できる素晴らしい音楽。
特筆すべきはf(フォルテ)の音質で、こんなに「美しいfとff」(フォルテとフォルテシモ)はこれまで聴いたことが無いんじゃないかと思える位、ストリングス(弦楽器)からブラス(管楽器)まで全てが「美の音楽」を感じさせてくれる響きで、チケット代の100~200ユーロがはした金に思えるほど。(笑)
正直ブルックナーは専門外なのですが、ブルックナーもいいね~と思ってしまいました。
聴いていたのは2F席だったのですが、名ホールの1つとして有名なザルツブルク音楽際の大ホールだけあって、2F席でもここがポジションがベストなんじゃないかと思える程で、よくあるような、2Fにあがるといわゆる「音が舞ってしまう」ような現象もなく、美しい音楽を十分に堪能しました。
音楽理解の深さと職人肌で有名な指揮者の巨匠ベルナルト・ハイティンクですが、80歳を超えたと思えない程充実した仕事を見せてくれ、指揮者っていうのは年齢を重ねるごとによくなっていくのだなと、改めて感じました。
(ハイティンクは昔のCDでの演奏しか聴いたことがありませんが)
歌手も楽器奏者も、体を使って音を奏でる演奏家は、技術でいくらそれをカバーしても、どうしても体の衰えと向き合う年齢が必ずくるものですが、指揮者という仕事は、誰もが必ず訪れる「死」の瞬間まで、きっと成長し続けることができるすごい仕事なのだと感じさせられました。
(演奏家1人の人生の中での、「音楽との対話」も相当なものだと思いますが、特にオーケストラの音楽を作り上げることは、さらにより深く、人生を費やし探求し続けていくものなのかもしれません)
世界屈指の音楽祭と名高い、ザルツブルク音楽祭でのウィーンフィルの演奏は本当に素晴らしいものでしたが、今度ウィーンの楽友協会でその演奏を聴いてみようと思っています。