鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

技術・技能・知識の伝承方法その3

2016年08月18日 00時00分01秒 | 紹介

 中途採用についての補充が退職者の代用になるかといえば、そうではない。スムースにいっていない原因は、我が国の企業の体質にある。区分上は同じ職域にあるといっても、同じグループ以外では、同業ではないからである。現在でもヘッドハンティングはあるが、就業で知りえた事柄を他社へ転職後公言することは守秘義務違反に当たる。つまり縛りがあり、そのことが公になれば、採用した企業も罰せられる。同業といっても競争関係にあるし、企業の内容は組織、判断基準等異にするため、中途採用された側も新入社員とほとんど変わらないといえる。したがって、横断的な職種間移動のケースは欧米に比べ少ない。

 

 因みに、欧米の企業の人事権については、産業別組合が介在していて、そこを経由するため、企業間の移動は同一賃金でスムースに行える仕組みがある。いうなれば組合派遣労働者といえるかもしれない。退職者が出れば自動的に組合が補充するため、2007年問題のような危惧は感じられない。技能者も組合が管理する教育施設を使って育成される。技術者はエンジニアとして採用ルートは異なり、我が国のようなグレーカラーは存在していない。制度自体が我が国と異なり、移民問題など別の問題もあるが、後継者についての詳しい資料がないため、詳細は承知していない。

 

 我が国でも低賃金労働者の雇用は、外国人技能実習制度が変則的なチープレーバーとしての補充問題がある。受け入れ組織や団体で行われる事業内訓練も疑わしい部分があり、法的な制度上の問題で、賃金不払い、定住化、脱走による行方不明等後継者問題とは別の側面もある。安易な制度利用はデメリットが露呈している。

 

 労働力の維持は少子高齢化が背景にあり、かたや、人材育成は時間と費用とがかかるため、中小零細企業の根本的な問題解決にはなっていない。国も公共職業安定所が情報発信と、マッチングの機関としてあるので、人材育成についての相談等は各県にある公共職業訓練機関を活用することをお勧めしたい。

 

 指導者の伝承方法も問題としてある。人に教育するにはそれなりの資格が必要である。特に技能については、明確な裏付けもない作業を伝承というあいまいな理由で行われることはあってはならないことであり、時代錯誤や、秘密主義では通じない。教えるに値する人物の選択を見極め、確実な移転を管理しなければ後継者育成は挫折する。幸い、現場で行うOJTは指導環境が整っている。実機があり、抽象的な説明ではなく、実際の生産に直結しているメリットを生かし、安全作業の徹底、操作手順、適正作業手順等が指導できる。TWIに沿った指導は現在もOJTの基本である。


2016年8月

2016年08月11日 00時00分01秒 | 挨拶

ブログの閲覧されている方へのあいさつ

 

 暦の上で早、立秋とか、平素からブログの閲覧をいただき感謝しております。

 さて、本日から約一週間、所用があり、ブログを休みますので、よろしくお願いいたします。実家への帰省です。戻りましたらブログを再開しますので、ご承知ください。

 

 連日の猛暑です。どうか熱射病等になりませんようご留意ください。

 


技術・技能・知識の伝承方法その2

2016年08月10日 00時00分01秒 | 紹介

 

 

 義務教育は仕方がない面がある。修学が終了するまでは行き先が決まらないため、幅広く教えざるを得ない。したがって、将来不必要な学習までも含まれるのである。ものは考えようで、広範な知識は、創意工夫に通じるし、異業種交流等を通じて新たな分野との共同が新製品開発に有用であり、多様化に向けての概念構成や企画、新たな発想には欠かせない部分であろう。

 

 学習すべき内容を決めるためにも、余裕があれば、職場内のある業務所掌別にジョブローテーションを組んで、幅広く体験させる方式が近道である。むしろ適性を見るためにも、本人が望む職域を決めるためにも、採用当初に行うことを提案したい。この結果、本人の納得が得られやすい配属先を決めた方が、新人においてもモチベーションが上がる。期間は職場規模にもよるが1~2週間を目安にし、職場体験をさせるのである。実践を通じて、職場環境を知り、人間関係に触れるのである。当初にオリエンテーションを行う場合もあるが、職場体験をするとより深く職場の内容を把握することができる。その後にオリエンテーションを行っても遅くはないであろう。

 

 カリキュラムについては、以前手掛けた職業能力総合大学校、基盤整備センターが所蔵するデータベースの中に、コース別のカリキュラムがある。在職者に対して行う能力開発セミナー等でも使えるコース設計から、教材までも含んでいるため、参考になるであろう。

 

データベースを使用するには検索キーを入力するだけで目的の職種に到達でき、無料でダウンロードすることが可能である。以下に基盤整備センターのホームページアドレスを記載した。

 

http://www.tetras.uitec.jeed.or.jp/index.html

 

 実学一体型の教材を手掛けたことがあったが、浸透するまでには至らなかった。実技教科書として使われてきた教材は、作業ステップごとに、カンやコツを記入し、写真やイラストで分かりやすくしている。手軽に使えるようにシート状にしてあり、そのまま現場で使用することが可能で、その作業に必要な関連知識をも含んでいる。改訂版がどのように扱われているか不明であるが、関心があれば、基盤センターのデータベース項目から、教科書使用状況を選択して社団法人、雇用問題研究会及び、財団法人、職業訓練教材研究会にアクセスしてもらいたい。

 


技術・技能・知識の伝承方法その1

2016年08月09日 00時00分01秒 | 紹介

 伝承のバックグラウンド及び内容についてランダムではあったが考察してみたところである。次のテーマは伝承の方法について触れたい。知識については、基本は知識を体系化するのではなく、個々の技術や技能に関連したことだけを伝承方法とすべきと思っている。なぜならば、知識には従来から学校教育で用いられている方法が、体系化し、段階的に教えるというもので、将来の必要性を考慮したものではなかった。更に、学年や、卒業後上級学校へ進学するたびに3か月から半年を復習ということで重複して教えられている。本来ならば卒業するということは、決められた程度と内容を就学したとみなした制度であるがチェックが不十分なため、理解できていなくても通過してしまう欠点があった。

 

 復習に時間をかけることは、修学していないからに他ならない。つまり学年は1年単位であり、教えたことを完全に習得したかは問題にはならず、病気で出席できない等の特別な理由がなければ留年するということはない。したがって、義務教育終了後は、入り口の篩分けは厳しいが、ほとんど全員が留年することなく、ところてん(突き出し)方式で卒業する。それぞれの課程において試験を行っているが、最低点であっても進級できる。一部大学課程のみ単位制が敷かれているため、単位が取れなければ留年することは僅かであるが発生する。留年させることは教師側の怠慢を指摘されやすいためか?

 

 この方式は、修学を確認する厳しいチェックシステムとはなっていないため、履修を証明したとしても統一基準ではないため、学校間の格差を作ってきた。また、履修はしても身についたかどうかの判定はいい加減といわざるを得ない。義務教育の中学を卒業したとしても、簡単な漢字が読めない、分数の計算ができない生徒が多いのにはあきれる。学歴社会といえどもその実態はお粗末といわざるを得ない。

 

 また、学問体系などと称して履修しても、就職してから、不要な学問が多いことも確かで、教員のレベルもさることながら、就職先の実態など知る機会もないまま、教育に従事している教員の多いことにはあきれ返る。つまり、学校制度の目的が満足に達成されなくてもお咎めがなく、刑事事件等を引き起こさない限り、教職員組合に守られ、免職になることはないのである。

 

 知識の指導は、技術・技能に関する知識だけを教え、習得させることの方が理にかなっている。教育は学者が望む後継者を育てるのではないのである。過去のブログでも紹介したが、実学一体型の指導方法を取るべきと考えている。さらに重要なのは、集団指導の弊害を取り除いた自学自習スタイルの個別指導である。企業に就職すればある程度の職域に所属することになるため、習得すべき内容が明確化される。余分なことは教える必要はない。個人別のカリキュラムを作り、マンツーマン体制ができればさらに効果的である。

 


技術・技能・知識の伝承内容その6

2016年08月08日 00時00分01秒 | 紹介

 単純に言えるかどうかはわからないが、自動車の走行は、装置自体のメカニズムが技術のたまもので、様々な機構が組み合わされた技術の組み合わせである。それを操作するのを運転技能といっている。運転自体は人間が行うため、技能の範疇に入る。では無人化した自動走行は運転技術というのであろうか、それとも無人化技能というのであろうか、人工知能を搭載されているので先端技術といった方がよさそうに思う。

 

 このことは人が介在されなくても運転が可能なことを示していて、技術が技能を凌駕しているといえる。一方、最新技術であっても、メンテナンスや、改造、性能を向上させるのは技術者ばかりではなく、テストドライバーなどにおいても技術の限界を知り、さらにテクニックが走行性能を向上される場合もある。そこには技能が入り込む余地はあるようである。つまり、古典的な世界だけではなく、最先端技術であっても技能者を必要としているのである。

 

 人間の感覚は進化するもので、すべての感覚を活用することによって、さらには感覚をより敏感にさせる装置や器具を併用することによって、感覚能力を増強することが可能である。香水を見分ける臭覚、多種の調理で使用するスパイスや等の味覚の世界でも感覚を強化した専門家がいる。カンやコツもその部類に入ると思うが、統合力などは機器では及ばない精密さを追及できる世界もある。

 

 小池和夫氏の新語として、在職時代に接したと記憶がある「知的熟練」という技能者とも技術者ともいえない新たな専門家が登場したとの論であったと思われるが、NC工作機械等を操作し、メンテナンスや生産計画等の経営にも参加するという専門家集団が将来の我が国の産業を牽引するとのことであった。現在、知的熟練との言い方が定着しているとは思われないが、この傾向が続いていることは否定できない。

 

 すでに我が国の技術者が生産現場に入り、技能者と一緒に作業することは珍しいことではなく、グレーカラーなどといわれていたが、技術者と技能者との区分けはますます曖昧となっていて、違和感なく第一線での仕事を行っている。最近では、単なるコア職員としてではなく(現場を知るために大卒の新人が短期間現場に入ることは従来から行われていた)、現場の指揮命令を行い、技能者とも技術者とも区分できない生産に従事している。

 また、技能者であっても、工程管理や、新製品開発のための研究を行い、試作品の作成、提案制度の具現化等にもあたっている。もはや、技能者と技術者とを区分する必要はなくなっているのかもしれない。


技術・技能・知識の伝承内容その5

2016年08月07日 00時00分01秒 | 紹介

 技術と技能の定義が変わってきている。自分の経験からすれば、厳密に区別することもないが、あえて、区別するのは、学術的な意味合いでのエリヤを決めることで、両者を区分し、整理する手段であろうか。

 

 まずは技術を見てみよう。証明されている科学技術の原理原則を具現化し、人々の生活に役立たせ、より便利にしたもの、その時代の最新知識を駆使し、工夫して、製品にしたり、加工したりする手段である。技術思考、過程を含める一連の行為を指している。また、訓練の結果、獲得した能力を発揮して、最も少ない手間や分量の時間で的確に事を処理する方法である。生産技術、加工技術、科学技術、技術水準、技術革新、編集技術などの関連した用語がある。英語ではエンジニアリングである。

 

 次に技能についてであるが、物事を行ったり、何かを作ったりするときに発揮されるその人独自の技術的能力をいうが、個人に内在される能力であるため、暗黙知などの言葉で表され、再現性や文書化することは難しい。技術的な工夫を技巧といっているが、カンやコツといった感覚や段取りを含めていう場合が多い。英語ではテクニックという。技芸は美術・工芸のほかに、社会生活の享受に直接・間接的に貢献する専門的な技術のことを指す場合もある。

 

 一般的には技術という言葉に包含して使っていることもあり、すし職人が手早く握る寿司など、明らかにテクニックであっても技術といわれ、違和感を覚えることもある。逆に、生産技能、加工技能、科学技能、技能水準、技能革新、編集技能等の言葉があってもよいのであるが、前例に上げた科学技能や技能革新という言葉はないようで、聞いたことがない。

 

 そのように捉えるならは、どうも技術の世界の一部に技能があり、技術と技能との関係は、上位概念が技術で、下位概念が技能ともいえる。また個人の能力に依存することで、同じことを行っても、経験や、工夫によって差が出るとも考えられる。極端な判断ともいえるが、原理原則が証明されていない場合もあるようで、そうなるとなかなか文書化や、見える化を行うことは難しいが、または汎用化することの困難さを感じる。

 

 果たしてそうなのかはっきりしたことはいえないが、自動化技術や三次元プリンターなどの最先端機器では、技能の見える化に挑戦した結果でもあろう。生の鶏卵の鮮度を測る装置や餃子の皮にネタを包む装置などを見ると、技能の持つ不明確さが逆に新技術の発見につながっているようで、つながっていれば技能の伝承も可能な範囲となろう。


技術・技能・知識の伝承内容その4

2016年08月06日 00時00分01秒 | 紹介

 伝承という切り口で、学校制度を見てきたが、人材育成という意味では、伝承する中身は何も過去のことばかりではなく、将来に向けての可能性も習得できる強みがあるが、実際の就職先とのレベルや実態から遊離しやすい面があるのは否めない。その補完的な不足をどのように行うかは、インターンシップや、デュアル訓練が有効に思える。しかしながら、後継者不足に陥った企業や業種の再生には自ずと限界がある。雇用の待遇面での格差は、大企業、中小企業、零細企業では歴然としており、例え一時的に雇用条件を緩和したとしても後継者不足に陥った企業の評判の回復には時間がかかり、組織的、恣意的な宣伝も効果的な人材補充にはつながらないことが多い。中小・零細企業への就職希望者が少ないし、労働条件が大企業に比べ悪いからである。

 

 労働条件の改善は、喫緊の課題であるとともに、職場という概念も変化してきており、情報機器や端末通信機能を利用した在宅勤務などの工夫も必要であろう。労働の形態が徐々に変わってきており、従来の3K職種や残業時間が多い企業は、後継者が希望しないことも明らかなことである。就職希望者が来ない企業は職場環境や労働条件を見直すことが必要であり、職務内容の見直し、組織の再編、専門性の特化、新たな事業展開等外部チェック機関を入れた将来プラン等も情報公開する必要があり、開かれた企業とする努力を惜しんではならない。

 

 我が国の傾向は、学卒採用が時期的にも集中していて、中途採用の機会は多いとはいいがたい。また、転職もマッチングが難しく、資格制度についても内容によるし、横断的な職種転換も簡単ではない。

 

 最近の傾向として、派遣労働、パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働、いわゆる非正規雇用が3割を超えているし、正規雇用の門戸が狭くなっている。この傾向はさらに続くことが予想されている。非正規雇用は社内研修などの人材育成の機会がほとんどないため、また低賃金化しているため、子育て、住宅の購入など将来設計ができない等の問題も多い。この傾向が続くと少子化に拍車がかかり、年金等の原資不足、地方自治体の税収減など波及的に新たな問題につながっていく。

 

  後継者育成問題は機会の不足、人材の量と質の減少がどのような結果をもたらすのか、団塊の世代の退職が契機となり、将来の姿への道程ははっきりしないが、現在よりさらに深刻な問題となることが予想される。


技術・技能・知識の伝承内容その3

2016年08月05日 00時00分01秒 | 紹介

 一般的な学校制度と並行する職業教育・訓練施設がある。公的な職業人材を育成する機関は文部科学省管轄では工業・商業・農業・水産高校、短大レベルでは高等専門学校(高専といわれる5年制)、各種学校、厚労省管轄では県立高等専門校(学院)、職業能力開発大学校、職業能力開発促進センター等が専門機関として、複線型となっている。学校教育体系は段階的であり、全国に分散している。一部私学が行っているが、就職先である企業との連携は、インターンシップ(単位として、期間を限定して企業等へ留学する体験)やデュアル訓練(学校と企業とがサンドイッチされた制度)等が導入されており、それなりの役目を果たしてきたが、業界で独自のカリキュラムを実施している従業員向けの事業内訓練施設は、減少傾向が続いている。

 

 減少の傾向は、運営に多額な費用を必要とすることや、知名度が低く、亜流という存在に思える。人材育成の生涯設計にはそれぞれの教育訓練機関が一長一短であり、総合的なコンサルを行う部署が明確ではなく、コンサルタント、アドバイザー、プランナー等のサポート組織も不明確である。そのため、連続的で継続的な体制の構築が期待されているが、誰が誰に対していつ何をどのように行うかなど具体的な設計すらないのが現状である。

 

 憲法で保障されている職業選択の自由は判断に必要な情報が限られる。変化する環境の中で生涯設計が安定的でない。既定路線を進ませるには多くの面で対応が不十分な面もあり、実際に形成されている労働市場の不安定さは、需要供給状況が多くの因子に左右されるため、情報が限られ、判断が難しいためでもある。

 

 職業教育・訓練は、疑似的な演習や体験を通じて、職業に就く基礎的な内容を習得する準備段階といえるが、変革が激しい時代では、固定的なテクニックや技術内容だけでは意味をなさないため、指導内容についても現状に合わせた改編が付きまとう。このことは常に後手に回りやすい。最先端の技術(知識集約型業種)は多くの雇用者を必要としないし、労働集約型業種では非正規雇用等の不安定な雇用を生んでいる。知識集約型では、情報・通信技術に集約され、この変革についていけない人材の情報格差(情報ディバイド)の問題も浮上している。

 

 明治時代以降、学歴社会を形成してきたわが国では、就職を前面に出した学校教育制度が、歴史的な経験や蓄積が短いことも原因しているせいか、早期からの学習過程に組み入れてはいたが、意識の面で十分機能してこなかったといえそうである。この傾向は現在でも続いており、大学・大学院進学が進み、就職する年齢も高年齢化しているといえる。