kebaneco日記

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都バスに乗って2

2024年09月16日 | チェロ&アート

昨日はお昼から、池之端にある横山大観記念館に行ってみた。

 

途中根津神社のお神輿に遭遇、うちの今宮神社さんは台風のせいで例大祭が中止になっちゃったので、残念だったなぁと思いながらバスからパチリ。秋晴れにお神輿が映えること。

 
 
池之端1丁目バス停の目の前にある、横山大観記念館。建築家になりたかった画家が設計して、造園にも細かい絵を描いて植木屋さんに指示をして、完成後50年ここで生活し制作活動をした、その建物が記念館として公開されている。



立派な門構え
 

 
玄関で靴を脱いで上がる(よって靴下必須)


受付で、まずは2階に上がってビデオをご覧くださいね、写真は2階だけはご自由に、1階ではカメラをしまってからご覧ください、と指示された。同じタイミングで入館する方がいらっしゃらなかったので、受付兼売店の女性が、展示の見どころをいろいろと教えてくださった。新宿区の記念館のスタッフさんにも感じた、自分が勤めている場所が大好きっていうオーラが感じられ期待感高まる。
 

 

 

都バスに乗って - kebaneco日記

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2階は自然光の採光抜群
 

 
画室だからね
 



お道具も置いてあった
 
 
ビデオでは邸宅と庭園(国の指定史跡及び名勝に指定されている)のこと、大観の1日、などが説明されていた。それを見た後、2階の画室を拝見して、1階に降りた。今回は、今年の干支の龍をテーマを展示品を選んであった。皇室に献上され今は皇居三の丸尚蔵館所蔵となっている6曲一双の屏風「龍蛟躍四溟(りゅうこうしめいにおどる)」の右側のレプリカが一番奥の部屋に飾られていた。横山大観イコール富士山の絵、という浅はかなあたしたちのイメージからは想像できない、お茶目な龍にびっくりした。一気にテンションが上がる(笑)。そんな気配を察したのか(?)。展示室にいらしたスタッフの方が近づいてこられて、いろいろと教えてくださった。他の美術館と違って、ここではスタッフが話しかけて色々と教えてくださるスタイルで、あたしたちが話を聞けば聞くほど作品の説明など対応してくださった。
 
 
「竜胆」と題された作品が3点あった。とても簡単な額装が新鮮だなと思ったら、作品といっても落款のない「未完成」だという。本来処分されていたはずの作品なのだけど、くるくると巻かれて倉庫に入っていたらしい。大観は多くの日本画家がするような実寸大の試作を描いたりせず、いきなり一発勝負のように描いていたそうだ。筆を持った段階で頭の中には完成品があったので、試作を参考に描くことで筆の勢いが削がれるのを嫌がったのではないか、と言われた。ただ、満足しないと落款を押さないので、あんな高い墨をたっぷり使ったのに〜、燃やすんですかい!?みたいなのがたくさんあったらしい(笑)。
 
 
その(未完成の)竜胆は3点。一点はかなり完成品に近く、竜胆とトカゲが描き上げられていた。墨と金泥だけを使った作品。その隣に展示されていたのは同じ構図、ただトカゲはまだきっちり筆を入れていない、墨と金泥と緑っぽい顔料を使っていた。少し離れたところにあったのは、竜胆には完璧な着色が施されてるけど、笹は半分だけ完成、残り半分は木炭であたりをつけただけで終わってしまっていた。完成品は足立美術館にあるらしい。展示されているタイミングを調べて、もしも日程が合えばまた行ってもいいかな、と思った(が遠いぞ・・・)。
 
 
あらゆる「記念館」に共通していることだけど、ご本人の作品はほとんどがレプリカ。展示されているのは、ご本人のコレクションや頂き物、本物は記念館を作った後に所有者から寄贈されたものが多い。今日スタッフの方とお話ししていて、確かにどんなに有名な画家だったとしても仙人じゃないので売らなきゃ生活できないよなぁ、と納得した。どうしても欲しい墨があった時には、あえて「探している」という噂を流して画材商にどこからか見つけて持って来させた、というから画材には糸目をつけなかっただろうし。一方で、伊東屋がいい墨を手に入れて見せているという時には、普通に列に並んで順番を待ったためお店の人が恐縮していたという話も伺った。自分が満足したものだけを「完成品」とするストイックさの一方で、特別扱いされなくても大丈夫な感性、こだわりポイントが狭い人だったんだろうか?
 
 
再び受付兼売店に戻って、「どちらの絵がお好きでした?」と聞かれた。入る時に、松の枝を龍に見立てた初期の絵と昭和になって同じテーマで描いた絵があるので比べてみてくださいね、と言われていたのだった。初期の絵は中国の影響がとても強い画風、昭和の絵は直線的で鋭くモダンな感じ。どちらも捨てがたかった、同じ構図なのに全く違った印象、墨は奥が深いですね〜、などと答えた。大観のお子さんが小学校のお習字の授業用にと大観に持たされた墨と硯が大変なもので、墨は子供の力ではすっても全然墨にならず、墨汁を持っている子供が羨ましかったでしょうねとか、硯も重く巨大なものでクラスメートに揶揄われていたそうですよ、今頃当時の同級生たちは反省してるでしょうね、なんて「墨」繋がりの話を披露された。そういえば、今回の展示で唯一の富士山の絵は、お孫さんが卒業された小学校に「おせわになりました」と寄贈された絵をお借りして展示している、とのことだった。大観といえば富士山でしょ、という来館者が多いからだそう。当然その作品には落款が押されていた。孫の小学校にお礼の絵の寄贈、大観じ〜ちゃんったらどんだけ孫が可愛かったんだ(笑)。
 
 
デジタルアートもいいけど、やっぱりあたしたちはアナログがいいね〜、こういうスタッフの方とのやりとりで画家の人となりが浮き上がってくるのはここに来たからこそだもんね〜、なんて言いながら不忍池の辺りを「ハスはもう終わっちゃったねぇ」と歩いて、上野広小路あたりをちょっと散策してからバスで帰宅。年4回展示替えがあるそうなので、バスで一本で行けるんだし、また行こうと思った。
 
 

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6 コメント

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kebanecoさんへ (くりまんじゅう)
2024-09-16 06:58:44
お神輿には晴れ渡った青空が似合いますね。
昨日は大相撲秋場所開催中の国技館前にもお神輿が行ったようで
勇壮な姿がニュースで流れました。

横山大観記念館は門構えは武家屋敷風で 中はついさっきまで
自宅で大観が描いていたような雰囲気で いいですねぇ。

こちらで大観作品を見るのは 足立美術館がいちばん数多く見られますが
↑のような 使った道具や書きかけの絵などの紹介は観る側からは 大観を身近に感じられます。

鳩バスで都内観光したい とずっと思ってそんなツアーがあれば行きたい
と思っていましたが ぜひとも横山大観記念館をコースに入れてほしいです。
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くりまんじゅうさま (keba)
2024-09-16 11:39:22
9月に入ると近所は毎週末どこかでお祭り、どこかでお神輿です。
うちの周辺の鎮守の今宮神宮は台風のせいでお祭りができず残念でした。

横山大観記念館はバス通沿いで上野に行く途中前を素通りしてばかりでしたが、ようやく行きました。
はとバスが回るような場所ではないように思えます。
20人も入ったら満員で、そんなに入ると雰囲気を楽しめない気がしますし、
そもそも作品は足立美術館のようなコレクターのところで見るしかないので。
東京の比較的小さなミュージアムを巡る少人数のツアー、あればいいのにね。
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お神輿 (みどり)
2024-09-16 14:59:26
お写真から秋が感じられました。
暑いけど秋ですね。
横山大観の自宅兼アトリエだった家なのでしょうか。
和室の畳の雰囲気がむか~しな感じで良いです。
kebaさんのおかげで東京に行ったら行きたい所が増えました。
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みどりさま (keba)
2024-09-16 15:43:35
空気は徐々に秋になってきている気がします
お彼岸すぎると涼しくなるらしいです。
はい、自宅兼アトリエでした。
京都の橋本関雪の白沙村荘同様、ご自身で設計・作庭され、お住まいになって制作に励まれた場所です。
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素晴らしいですね (よう)
2024-09-17 07:16:09
行ってみたい!と思いました。
足立美術館も 近いと言えば近いところながら 長い間遠出ができず
今一番行きたいところです。
この冬にお遍路が結願したら つぎは 足立美術館だわ。
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Unknown (keba)
2024-09-17 08:00:23
ようさま

足立美術館、メディアではお庭が絶賛されてますが
あそこの横山大観のコレクションは素晴らしいです。
横山大観記念館の方に、足立全康氏と横山大観は面識があったんでしょうか?と聞いたら
「全く面識はなかった」という答えが返ってきました。
横山大観は日本画が広く一般の方に親しまれることを願って
コロセット印刷という技法でレプリカを作ることを許可してらしたようです。
確かに本物の日本画は褪色との戦いなので(半年展示して3年寝かす、みたいな)
いつも好きな絵を飾って、というわけにはいかないですからね。
でも、いい感じに古くなってる(苦笑)精密なレプリカの鑑定を、と持ち込まれる方が後をたたず
ご家族などがその鑑定に当たっておられる(有料で)そうです。
なんだか複雑、、、。
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