kebaneco日記

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舌禍事件?

2015年08月15日 | 折々の話題
安倍首相の総理談話、村山談話と小泉談話と比較して、恐ろしいほど長くて意味不明で、日本語としての品格もなく、聴いてるものを辟易させつつも、チラチラと首相の本心が覗いてて、これが内閣としての歴史認識として世界に発信されたと思うと恐ろしい。安倍内閣の知的水準や歴史認識は、日本国民のそれとは同じじゃありませんから~って、声を大にして叫びたい、と思った昨日の総理談話。

そもそもさ、会見場に現れてすぐの冒頭発言が問題なんですわ。「政治は、歴史から未来への知恵を学ばなければなりません」って。え~、あんた学んでるつもりかえ?って突っ込みましたですよ、あたし。「政治は歴史に謙虚ではければなりません。政治的、外交的な意図によって歴史がゆがめられるようなことは決してあってはならない」が強い信念っていわれても、修正してるのあんたやん、ってさらに突っ込み。で、歴史認識に関しては21世紀構想懇談会に意見をもらった、と。つまり自分の歴史認識は懇談会委員の専門家が議論を通じて到達したものをベースにしているゆえ、間違ってても自分のせいじゃないとおっしゃっておられる。日頃首相たる自分が責任を持って云々、っていうお得意のフレーズを華麗に使いこなしておいでのこの方、結局責任取るつもりはさらさらないってことやん。ずるすぎる・・・。

そして、談話本体。かなり最初の段階で、超カッコ悪い発言が飛び出す。「圧倒的な技術優位を背景に(西欧諸国を中心とした国々の)植民地支配の波は、19世紀アジアにも押し寄せました。(中略)日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々をを勇気付けました」たっていうくだりに愕然とし(ただしこれは21世紀構想懇談会の報告書にそう書いてある)、出だしからこりゃだめだと思った。植民地主義の時代に日本だけが悪者にされるのはおかしい、とか、日露戦争を評価してたじゃないか、という言い分。それってさ、「だってなんとかちゃんもやってたじゃん」っていう、大人に叱られたときに使う幼稚園児の常套句そっくり。我が日本国の首相は幼稚園児以下なのか。

勇気付けた、う~ん、たしかに当初そういう側面はあったかもしれない、が、すぐにメッキが剥がれたことも事実だ。それにそもそも日露戦争ってアジア解放のためにやってたっけ?こじつけもいい加減にしてほしい。と同時に、みんながやってるから許されてしかるべき、周囲環境によっては武力行使もオッケーになるっていう、今の解釈改憲と同じロジックに驚かされる。幼児の論理ですか~、みたいな。

「我が国は、さきの大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました」って、主語は誰?あんたはど~なの?と突っ込んだあたりから、もうだんだん疲れてきた。そして止めの一撃、「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供達に、謝罪を続ける宿命を負わせてはなりません」だと。

あたしだって謝りたくない、だって自分には責任がないことだし、戦時賠償金やそれに代わるもので法的には解決済み。戦後世代にできるのは、戦前世代の過ちを繰り返さないことだけだ、そのための日本国憲法なのだと教わって育った。だけど、海外に住んでた学生の頃、中国系や韓国系からどれだけ謝れと言われたことか。日本人は天皇のために死ねるんだろと見下したように言われ、第二次世界大戦のときの日本の戦争責任を償えと、人前で罵倒される。そういう時、その場にいた欧米人は冷ややかだった。罵倒する彼らに対してではなく、未だに罵倒されねばならないあたし、ひいては日本という国に対して。そういうことに、どれだけ若いあたしが傷ついてたか。あたしより前または同じ頃海外にいた日本人は、多かれ少なかれ似たような体験しているはずだ。「謝罪する宿命」なんていう生易しいものではない、アウェイで侮蔑の対象とされる経験、自民党の政治家にはわかるまい。浅薄な言葉遊びはやめてほしいものだ。

あたしが人の痛みを自分の痛みとして感じる感性を持たない、政治家や支持者の一族や井の中の蛙が政治家になることに絶望感に近い感情を持つのは、多分あれが原体験だと思う。

が、国民には一番これがウケるだろうと思って入れたにちがいない。しかし、謝罪を続ける宿命を我々に押し付けてきたのは自民党政権じゃないか。その宿命を負わせないためには、反省して反省の気持ちを行動で示すしかないのに、それを激しく怠ったのはあんたの党でしょうが。戦犯合祀して遺族会の票欲しさにみんなで寄ってたかって靖国参拝したり、歴史を知らない恥ずかしい言動を繰り返してきたのは、いったいどこの誰よ、と。なのに国民に目くらましのようなこの言い回し、卑怯だ。

おまけに質疑応答では、質問に正面から向き合うというより、質問にちょとでも関係している箇所に関して、自分の言いたいことを言い募る答えかた。侵略かどうかは後世の歴史家が決めるって、要するに自分は侵略だと思ってないってことで、そのスタンスの人にお詫びだとか言われても、どういう意味があるんだろうね、と中国も韓国も怒ってくれないかな、と呆れはてた。それに歴史家が決めるってあたかも専門家の意見に耳を傾けているふりしてるけど、そして、自分が聞きたいことを言ってくれる21世紀懇みたいな自分が選んだ専門家の意見には耳を傾けるんだろうけど、今の安保法案が違憲だといっている憲法学者の意見には耳を貸さないどころか「憲法の番人は最高裁」とか「自分の方が勉強してる」とか、わけわからん状態のなので、きっと「後世の歴史家」とは自分が死んだ後の人のことをいっているのであろう、と思われ愕然。

マロなんか途中で怒って、そのまま怒りのお顔で寝てしまった。あ~あ、ど~する、マロまで怒らせちゃって(苦笑)。これってほとんど舌禍事件といっても過言じゃない、酷い談話だと思うんだけど。自民党とか21世紀懇の委員センセにおもねりたい鞄持ち学者とかが、絶賛するんだろうな~。あ~、もう~



日付変わって終戦記念日の今日。全国戦没者追悼式で、天皇がお言葉を述べられた。「平和の存続を切望する国民の意識に支えられ、我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という、この長い期間における国民の尊い歩みに思いをいたすとき、感慨は誠に尽きることがありません」「さきの大戦に対する深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民とともに、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。」

過去を直視し「歴史から未来への知恵を学ば」ない政治と決別の年にしたい、と願う終戦記念日であった。

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2 コメント

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ちらり~んさま (keba)
2015-08-16 11:22:11
川内原発稼働直後に、桜島の危険レベルが4に引き上げられましたよね。
予知連絡会の意見を無視して、
川内原発の火山噴火リスクはゼロに近いとした九電や規制委員会に対する、
桜島からの「え~かげんにせんかい』メッセージだと思います。
ぶっちゃけ、全国でトップニュースになる程度の噴火にならないかな、
大きな火山弾でも飛んでくれないかな、と思っちゃいます
あの、人的被害の出ない程度にね(苦笑)

恥ずかしく思うべきは永田町にいる人たちであって
ちらり~んさんじゃないですよ。
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涙が・・・ (ちらり~ん)
2015-08-16 08:51:08
読みながら、心にいだいている恥ずかしさと悔しさをkebaさんが表現して下さって、涙が出て来ました。

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