今日のうた

思いつくままに書いています

後方支援は安全か

2014-12-29 09:05:53 | ②一市民運動
2014年12月29日、朝日新聞によると
安倍政権は、来年の通常国会に、自衛隊による米軍など他国軍への後方支援をいつでも可能にする新法(恒久法)を提出する検討に入ったと首相周辺や政府関係者が明らかにした。これまで自衛隊を海外派遣するたびに特別措置法を作ってきたが、新法を作ることで、自衛隊を素早く派遣できるようにする狙いがある。自衛隊の海外活動が拡大するため、活動内容や国会承認のあり方でどこまで制約をかけるかが焦点になる。

 政権は7月の閣議決定で、集団的自衛権の行使を認めるとともに、海外で自衛隊が米軍などを後方支援する活動範囲の拡大も決めた。派遣期間中に戦闘が起きないと見込まれる「非戦闘地域」以外でも、派遣時に戦闘がなければ、自衛隊を派遣できる内容だ。これに沿って、他国軍への物資の補給や輸送など直接の武力行使を行わない後方支援活動を随時できるようにする新法を整備する。
(引用ここまで)

泥憲和氏は『護憲派・泥の軍事政治戦略 安倍首相から「日本」を取り戻せ!!』の中で、
集団的自衛権の危険性を、ご自分の体験から論理的に分りやすく、何度も述べている。
泥氏は自衛隊の「ホーク地対空ミサイル部隊」に所属していた方だ。
この本を読むと安倍首相が、いかに現実の戦争や、集団的自衛権の本質を知らないかが解る。

この本の一部を引用します。
集団的自衛権で危険にさらされる
安倍さんの空論
「安倍さんはいう。集団的自衛権を行使するにしても、自衛隊を直接的な戦闘行為に参加させる
 ことはないと。自衛隊を海外に派遣しても補給行為など後方支援に留めるし、
 『攻撃を受けたら撤退させる』と答弁している。

 その方針で「日本の安全が確保できるなら」「平和主義が崩れないのなら」「自衛隊が危険な
 任務から免れてしかも外国の人を傷つけずにすむのなら、それでいい」と思っている人が
 いるかもしれないが、それは実に甘いと思う。安倍さんのいい分がどこまで信用できる
 ものか、具体的に考えてみよう。

 まず、補給を止めれば前線部隊は戦えなくなるから、補給部隊を攻撃するのは作戦の
 常道であることを知ってほしい。

 さて、ここに二つの補給部隊がいる。攻撃すれば撤退するとわかっている自衛隊と、
 攻撃しても頑強に戦い続ける部隊である。あなたが武装勢力ならどうするだろう。
 攻撃すれば撤退する部隊を狙うのではないだろうか。私なら、そうする。

 つまり、いの一番に狙われるのは自衛隊である。自衛隊の視点に立てば、攻撃されて
 死ぬのを待つわけにはいかないので、当然反撃する。反撃したら戦闘行為である。
 補給任務だから戦闘行為ではないとか、攻撃されれば撤退するから戦闘にならないなど、
 机上の空論なのである」

補給任務は攻撃対象になる
「いま述べたことは、杞憂ではない。
 アフガン戦争で最も狙われたのは、米軍やNATOに物資を補給する民間輸送会社や、
 ISAF(国際治安支援部隊)の補給部隊だった。

 2008年には、ISAFの補給基地が襲撃されて治安要員は武器を取り上げられ、
 輸送車両百台以上が焼かれた。同じようなことは数えきれないほど起きており、最近では
 2014年にもISAFの補給基地がタリバンに襲撃されて死傷者を出しているし、
 その四日後には、首都カブール近郊で、タリバンの襲撃で燃料輸送トラック数百台が
 放火され、炎上したことが伝えられた。

 この危険は当初から指摘されていたけれど、事態は何年間も改善していない。
 要するに打つ手がないのだ・・・」

補給は戦闘行為
「安倍さんは『自衛隊を直接戦闘に参加させない』と気楽なことをいうが、国際法の観点
 から見れば、補給行為それ自体が武力行使に当たる。

 アメリカのニカラグア干渉について審理した国際司法裁判所は、判決で
 『武器や兵站(へいたん)その他の援助の提供の形式における支援』は
 『武力による威嚇・行使ないし干渉行為と見られる』と示している。武装勢力から
 見れば、補給という形で最初に武力行使したのは自衛隊だということになる。
 したがって、自衛隊に対する攻撃は正当防衛だというだろう。

 安倍さんの主張は、自民党が多数を占めている国会の議場でしか
 通用しない代物である・・・。

 安倍さんの議論は一から十までこんな感じである。リアリティに欠けるのだ。
 まるで雲の上でも歩いているようなふわふわした議論で、
 国の将来を変えてしまおうとしている

 (引用ここまで)

自衛隊員に犠牲者が出たらどうなるのだろう。
誰が責任を取るのだろう。
補償はどうなるのだろう。
どこに埋葬されるのだろう。

自衛隊が戦闘に参加することで、日本の治安は悪くなるだろう。
国内で、あるいは国外で、日本人が武装勢力のテロに遭うことも考えられる。
戦闘は想定外なことが起きる。
アメリカから日本への要求がエスカレートしていくことも考えられる。
アメリカの指図で、日本が泥沼にはまってしまうことも考えられる。
その場合に、日本は「NO!」と言えるのだろうか。
日本が拒否した場合、「それなら何が起きようと、これからは日本を守ることは出来ない」と
脅されることはないのだろうか。
今以上に安全が脅かされて、孤立することはないのだろうか。

「集団的自衛権の行使で、自衛隊員に1人も犠牲者を出すことはない」と安倍さんは発言した。
では犠牲者が出た場合に、あなたはどう責任を取るのだろうか。
内閣総理大臣を辞職するくらいでは済まないのですよ。

為政者はあらゆる場合を想定して、物事を決めるべきだと思います。
私は、あなたの楽観主義につき合わされるのはごめんです。

追記1
2014年12月26日の石破茂氏と金子勝氏との、集団的自衛権をめぐる対談が興味深い。
動画は今も観られます。
      ↓
 http://www.asyura2.com/14/senkyo177/msg/135.html

石破氏
「ですから、これは国会においてどういう人を委員にするのかっていうことは決めていきます。
 話を戻すならね、そういうふうに【戦争をするにあたって】・・・し、失礼、
 集団的自衛権を行使するにあたって・・・」。(引用ここまで)

「集団的自衛権の行使」を、「戦争をするにあたって」と言い違えてしまった石破氏は、
正直な方なのか、深層心理が言わせたのか・・・。

今年を振り返ってみると、怒って、怒って、怒り続けた1年でした。
世の中の事を知れば知る程、理不尽なことが多いことに気づきます。
私は来年、高齢者の仲間入りです。せいぜい生きて10年。
この10年をなんとか生き延びたとしても、その後の日本がどうなっているのか心配です。

NO.1を目指さなくても、皆で少しずつ生活を我慢して、富めるものから貧しいものに
富を分配して、近隣諸国とも互いに「正義」をふりかざすのではなく、戦争の痛みを知る者
同士が、少しでも近づく努力をしていけたらと思います。

私の怒りにまかせた文を、お読みくださりありがとうございました。
来年が戦争のない、生活に困窮する子どものいない、理不尽な扱いに苦しむ人のいない
国でありますように!
(2014年12月31日 記)

※泥憲和さんの『護憲派・泥の軍事政治戦略 安倍首相から「日本」を取り戻せ!!』を
 引用させて頂きましたが、2017年5月3日に64歳でお亡くなりになったそうです。
 ご冥福をお祈りいたします。
 (2017年5月3日 記)



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