平成30年度木造建築士試験問題の解説は、今回で最後となります。最後の5問は、いつも通りの建築士法2問と、その他関連法規3問です。
〔No.21〕は、建築士法において、建築士としての業務範囲、法的義務、及び定期講習受講義務等の、建築士個人に関する法規制の問題です。特に正答となっている、建築士法21条のその他業務の規定は、二級建築士試験でもよく出題される問題なので、法文をよく読んで、内容の理解をしてください。
正答 3
1.正しい。建築士法3条1項二号、同3条の2第1項二号、同3条の3第1項:木造建築物において、高さ13m、軒の高さ9mを超えるものは、一級建築
士、 延べ面積300㎡を超えるもの、又は3階建以上のものは、二級建築士でなければならないが、高さ13m、軒の高さ9m、延べ面積300
㎡、2階建て木造建築物は、木造建築士で設計・工事監理ができる。
2.正しい。建築士法22条の2:建築士事務所に所属する建築士の定期講習受講義務
3.誤り。建築士法21条:かっこ書きにおいて、木造建築物限定としているが、その他業務に関しては、各級の縛りに関係なく業務ができる。
4.正しい。建築士法19条:設計変更に関する規定
5.正しい。建築士法2条の2:職責
〔No.22〕は、建築士事務所としての法的管理義務を問う問題で、主に、建築士事務所の開設者への、事務所経営管理責任の問題です。
正答 1
1.誤り。建築士法23条の6:業務に関する報告書の作成提出義務があるのは、開設者であり、管理建築士ではない。
2.正しい。建築士法24条の6:開設者の書類の閲覧による情報開示義務
3.正しい。建築士法24条の7:開設者の重要事項説明義務
4.正しい。建築士法24条の3第1項:無登録事務所への再委託の禁止規定
5.正しい。建築士法24条3項:管理建築士の技術総括に関する業務
〔No.23〕は、例年通り、関連法規が重なって出題されています。ただ、ごく狭い範囲の基本的重要事項に集中していますので、ある意味で、法令集を引くというより、覚えてしまった方がいい問題かもしれません。
正答 4
1. 正しい。建設業法24条の2:下請負人の意見の聴取
2.正しい。宅地建物取引業法15条:宅地建物取引士の業務処理の原則
3.正しい。宅地造成等規制法2条二号、同令3条一号
4.誤り。住宅の品質確保の促進等に関する法律94条:注文者に引き渡した時から10年間、所定の瑕疵担保責任を負う。完了した時から10年間では
ない。
5.正しい。民法235条:境界線付近の建築の制限
〔No.24〕は、例年、木造建築士試験は、都市計画法から出題されています。これも毎年、基本的な重要事項ばかりで、難しい問題はありません。
正答 2
1. 正しい。都計法9条2項:地域地区
2.誤り。都計法7条3項:市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域であり、設問の記述は、市街化区域(都計法7条2項)のことをいっている。
3.正しい。都計法12条の5第1項:地区計画
4.正しい。都計法4条12項:定義
5.正しい。都計法9条20項:地域地区
〔No.25〕も、その他関連法規からの種々の問題の詰め合わせです。これも、ごく狭い範囲の基本的重要事項に集中していますので、ある意味で、法令集を引くというより、覚えてしまった方がいい問題かもしれません。ただ一つ注目したのは、労働安全衛生法の設問で、建築資料研究社発行の法令集(オレンジ本)には掲載されていない条文で、井上書店発行の法令集には掲載がある条文が出題されていることです。井上書店の法令集は、もともと霞が関出版会から引き継いでいるので、出題者は、この法令集を使っているのではないかと推察しています。
正答 5
1.正しい。建築物の耐震改修の促進に関する法律17条:計画の認定
2.正しい。労働安全衛生法3条3項:事業者等の責務 ⇒ 建築資料研究社の法令集には記載がない。平成26年の社労士試験で出題された問題。
3.正しい。消防法17条、同令7条4項二号:消防用設備等の種類
4.正しい。建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律:政令で定める規模以上の解体工事における分別解体等実施義務(同法9条)
実施義務の規模に関する基準(同令2条1項一号)
5.誤り。長期優良住宅の普及の促進に関する法律5条:計画の認定は、所管行政庁に申請するもので、建築主事ではない。
これで、平成30年度の木造建築士試験問題の解説を終えます。来週は、平成30年度二級建築士試験問題の解説に移りたいと思います。
なお、問題文と正答表に関しては、公益財団法人 建築教育普及センターのH.P.にて過去3年分について公開され、ダウンロード可能ですので、下記アドレスにて、内容をご確認ください。
http://www.jaeic.or.jp/shiken/mk/mk-mondai.html
2018年9月20日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
〔No.21〕は、建築士法において、建築士としての業務範囲、法的義務、及び定期講習受講義務等の、建築士個人に関する法規制の問題です。特に正答となっている、建築士法21条のその他業務の規定は、二級建築士試験でもよく出題される問題なので、法文をよく読んで、内容の理解をしてください。
正答 3
1.正しい。建築士法3条1項二号、同3条の2第1項二号、同3条の3第1項:木造建築物において、高さ13m、軒の高さ9mを超えるものは、一級建築
士、 延べ面積300㎡を超えるもの、又は3階建以上のものは、二級建築士でなければならないが、高さ13m、軒の高さ9m、延べ面積300
㎡、2階建て木造建築物は、木造建築士で設計・工事監理ができる。
2.正しい。建築士法22条の2:建築士事務所に所属する建築士の定期講習受講義務
3.誤り。建築士法21条:かっこ書きにおいて、木造建築物限定としているが、その他業務に関しては、各級の縛りに関係なく業務ができる。
4.正しい。建築士法19条:設計変更に関する規定
5.正しい。建築士法2条の2:職責
〔No.22〕は、建築士事務所としての法的管理義務を問う問題で、主に、建築士事務所の開設者への、事務所経営管理責任の問題です。
正答 1
1.誤り。建築士法23条の6:業務に関する報告書の作成提出義務があるのは、開設者であり、管理建築士ではない。
2.正しい。建築士法24条の6:開設者の書類の閲覧による情報開示義務
3.正しい。建築士法24条の7:開設者の重要事項説明義務
4.正しい。建築士法24条の3第1項:無登録事務所への再委託の禁止規定
5.正しい。建築士法24条3項:管理建築士の技術総括に関する業務
〔No.23〕は、例年通り、関連法規が重なって出題されています。ただ、ごく狭い範囲の基本的重要事項に集中していますので、ある意味で、法令集を引くというより、覚えてしまった方がいい問題かもしれません。
正答 4
1. 正しい。建設業法24条の2:下請負人の意見の聴取
2.正しい。宅地建物取引業法15条:宅地建物取引士の業務処理の原則
3.正しい。宅地造成等規制法2条二号、同令3条一号
4.誤り。住宅の品質確保の促進等に関する法律94条:注文者に引き渡した時から10年間、所定の瑕疵担保責任を負う。完了した時から10年間では
ない。
5.正しい。民法235条:境界線付近の建築の制限
〔No.24〕は、例年、木造建築士試験は、都市計画法から出題されています。これも毎年、基本的な重要事項ばかりで、難しい問題はありません。
正答 2
1. 正しい。都計法9条2項:地域地区
2.誤り。都計法7条3項:市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域であり、設問の記述は、市街化区域(都計法7条2項)のことをいっている。
3.正しい。都計法12条の5第1項:地区計画
4.正しい。都計法4条12項:定義
5.正しい。都計法9条20項:地域地区
〔No.25〕も、その他関連法規からの種々の問題の詰め合わせです。これも、ごく狭い範囲の基本的重要事項に集中していますので、ある意味で、法令集を引くというより、覚えてしまった方がいい問題かもしれません。ただ一つ注目したのは、労働安全衛生法の設問で、建築資料研究社発行の法令集(オレンジ本)には掲載されていない条文で、井上書店発行の法令集には掲載がある条文が出題されていることです。井上書店の法令集は、もともと霞が関出版会から引き継いでいるので、出題者は、この法令集を使っているのではないかと推察しています。
正答 5
1.正しい。建築物の耐震改修の促進に関する法律17条:計画の認定
2.正しい。労働安全衛生法3条3項:事業者等の責務 ⇒ 建築資料研究社の法令集には記載がない。平成26年の社労士試験で出題された問題。
3.正しい。消防法17条、同令7条4項二号:消防用設備等の種類
4.正しい。建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律:政令で定める規模以上の解体工事における分別解体等実施義務(同法9条)
実施義務の規模に関する基準(同令2条1項一号)
5.誤り。長期優良住宅の普及の促進に関する法律5条:計画の認定は、所管行政庁に申請するもので、建築主事ではない。
これで、平成30年度の木造建築士試験問題の解説を終えます。来週は、平成30年度二級建築士試験問題の解説に移りたいと思います。
なお、問題文と正答表に関しては、公益財団法人 建築教育普及センターのH.P.にて過去3年分について公開され、ダウンロード可能ですので、下記アドレスにて、内容をご確認ください。
http://www.jaeic.or.jp/shiken/mk/mk-mondai.html
2018年9月20日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」