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平成30年度二級建築士試験「建築法規」解説 Vol.5(最終回)

2018-09-28 09:53:07 | ビジネス・教育学習
◇今週は、平成30年度の二級建築士試験「建築法規」毎日、5問づつ解説してきました。
◇公開されている正答表は、番号だけを公表して、解説がありません。
◇そこで、二級建築士受験講座での講師キャリアを活かした論評を加味しています。
◇今回で、二級建築士の最終回です。


〔No. 21〕は、建築士法で、主に、建築士個人に関わる事項を問う問題で、二級建築士の設計・工事監理の業務範囲を問う設問が列記されている、割と珍しい問題ではないでしょうか?でも、設計・工事監理業務は建築士としての法的独業務ですので、しっかりとした理解が必要な、基本的事項です。
 正答2
 1.設計できる。士法3条1項三号、同四号:いずれにも該当しないので、二級建築士が設計できる。
 2.設計できない。士法3条1項三号:鉄骨造で300㎡を超えるものは、一級建築士でなければ設計できない。
 3.設計できる。士法3条1項一号、同二号、同四号:いずれにも該当しないので、二級建築士が設計できる。
 4.設計できる。士法3条1項二号、同四号:いずれにも該当しないので、二級建築士が設計できる。
 5.設計できる。士法3条1項二号、同四号:いずれにも該当しないので、二級建築士が設計できる。

〔No. 22〕も、建築士法に関わる問題ですが、例年ですと、建築士事務所管理に関わる問題で占められるのですが、「No.21」で、建築士の業務範囲を問う問題で占めてしまいましたので、建築士個人と建築士事務所管理の混合問題となっています。でも、正答は、事務所管理に関する、開設者(事務所の経営者)責任を問う問題となっています。
 正答5
 1.正しい。士法22条の2、規則17条の37の表一号、同規則二号
 2.正しい。士法18条3項
 3.正しい。士法10条1項、同二号
 4.正しい。士法24条の6、同一号、規則22条の2第2項、同5項
 5.誤り。士法23条の5第1項、同2項、同23条の2第五号:士法23条の2第一号、三号、四号、六号については、2週間以内の届出だが、第五号の所属
      建築士の氏名、建築士の種別の変更届は、3月以内でよい。

〔No. 23〕は、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に関する問題です。パリ協定が発効し、地球温暖化政策が待ったなしの中での、スクラッブアンドビルドの風潮を変える、建築分野での重要な法規の一つです。前回は、平成25年度に、5択の設問全部をこの法律で占める出題がされています。勿論、常に混合問題の中で出題されている重要な法律です。特に正答の認定基準のところは、数値が絡む部分は主題されやすいので、特に注意するように、講座の中で学生には促していますので、講義を良く聞いている学生には、簡単な問題だったと思います。
 正答1
※「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」を、ここでは「法」と称する。
 1.誤り。法6条1項二号(認定基準)、規則4条二号(規模の基準):共同住宅の規模は、一戸の床面積の合計が、55㎡以上であり、一戸建住宅の規
      模の基準である75㎡以上とする必要はない。
 2.正しい。法13条(改善命令):持ち込み可能な建築資料研究社の法令集には記載がない条項ですが、確かに存在します。
       「法13条:所管行政庁は、認定計画実施者が認定長期優良住宅建築等計画に従って認定長期優良住宅の建築及び維持保全を行っていな
       いと認めるときは、当該認定計画実施者に対し、相当の期限を定めて、その改善に必要な措置を命ずることができる。」
 3.正しい。法2条2項
 4.正しい。法3条5項
 5.正しい。法5条4項四号ロ:譲受人が決定していない分譲事業者(法5条3項に該当する)には、建築後の住宅の維持保全に係る資金計画(法5条4項四
       号ロに規定)の記載を要求していないので、認定申請の際、記載しなくてもよい。

〔No. 24〕は、関係法令の混合問題です。注目したいのは、正答の「2」にある、「宅地造成の定義」を問う問題です。実は、毎年出ています。今回は「正答」での出題で、これも前問同様に、講座でに留意事項に耳を傾けていた学生には、簡単な問題だったと思います。
 正答2
 1.正しい。「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」第2条十八号、同令6条七号
 2.誤り。「宅地造成等規制法」第8条(工事の許可)、法2条二号(宅地造成の定義)、同令3条一号、同四号:切土は2mを超える崖を生じるものが対
       象で、切土・盛土の基準に該当しないものでは、土地の面積が500㎡を超えるものが規制対象であり、そのいずれにも該当しないので、
       許可を必要としない、
 3.正しい。「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関うる法律」第2条5項、同6項、第3条、第11条
 4.正しい。「都市計画法」第53条1項一号、同令37条:許可を要しない軽易な行為は、木造2階建以下の改築、移転であり、新築は許可が必要なの
       で、設問は正しい。
 5.正しい。「建築物の耐震改修の促進に関する法律」第2条2項

〔No. 25〕も、混合問題なのですが、正答に、改正法である「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」が入ってきました。パリ協定が発効し、地球温暖化問題対策の、建築関連での直接的対策法です。平成30年度の試験から適用になる法律ですので、ビデオ解説を含めて、講座の中では注意を促した事項です。聞いていた学生には、これも簡単な問題だったと思いますので、最後の3問は、講座をしっかり受講していた学生には、立て続けに、獲得したと思います。
 正答4
 1.正しい。「消防法」第9条の2
 2.正しい。「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」:木材は第2条5項に定める「特定建設資材」であり、それを使用する新築工事は、
       第9条1項に基づく「分別解体等実施義務」があり、その規模が同3項に基づき政令で定める規模以上のものを「建設対象工事」としてお
       り、政令2条1項二号において、その規模に関する基準で床面積500㎡以上としている。また、第10条において、建設工事の着手7日前ま
       でに「建設対象工事」の都道府県知事への届出義務を課している。
 3.正しい。「土地区画整理法」第76条(建築行為等の制限)、同四号、第103条4項(換地処分)
 4.誤り。「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」第19条1項一号、同令8条1項:届け出の必要があるのは、300㎡以上の建築物であ
       り、200㎡のものは、届け出の必要はない。
 5.正しい。「建設業法」第3条:軽微な建設工事(第3条ただし書き、令1条の2)を除いて、建設業を営もうとするものは、許可が必要なので、設問
       は正しい。

◇これで、平成30年度の二級建築士試験「建築法規」の問題解説を終わります。
◇なお、二級建築士試験の問題文と正答表が公益財団法人建築教育普及センターのH.P.にて公開されています。
◇過去3年分について公開され、ダウンロード可能です。
◇是非、問題文を参照下さい。
◇なお来週から後期の講座が始まりますので、一服入れてから、一級建築士試験「建築法規」の問題解説をしたいと思います。
◇一級の建築法規は4択30問ですので、3問づつ10回コースで解説していきたいと思っています。

二級建築士試験の「建築計画と建築法規」の問題
https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.files/2k-mondai-h30-gakka1_2.pdf
「正答表」
https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.files/2k-h30-gakkagoukakukijun.pdf

2018年9月28日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
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