暮らす、生きる、繋がる、持続可能な未来

人も社会も、成長と負荷を切り離して、落としどころを考える。

知っ得「建築法規」R6年二級建築士試験対策「R5問題からの要点整理」②

2023-09-02 10:16:05 | ビジネス・教育学習

◇R5年(2023年)の二級建築士試験の問題と正答表が公表されました。
◇内容は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページをご確認ください。
◇本ブログでの解説内容は、R5年(2023年)の試験問題をベースとして、要点整理を図ります。
◇上記財団のホームページで、R5年の試験問題を確認してから、本解説をご覧いただければと思います。

◇用語の定義については、R5年度は出題がありませんでした。
◇そこで、過去の用語の定義の出題があった5年分を遡り、整理していきます。
◇具体的には、表の参照でわかると思いますが、H27、H28、R1、R2、R3の5年分で整理していきます。

◇過去の出題傾向(H27、H28、R1、R2、R3の5年分)で読み解きたいのは、次の5点です。
①特殊建築物の定義は、まだ正答での出題はありませんが、他の問題を勘案すると重要事項と推察。
②大規模修繕・模様替の定義で、主要構造部の理解が必要になるので、関連して把握する事が重要。
③構造耐力上主要な部分(構造規定と関連)と主要構造部(防火規定と関連)の違いの把握も重要事項。
④防火性能と準防火性能は、非損傷性等の技術的基準の相違以上に、「軒裏」への対応の違いが重要。
⑤「延焼の恐れのある部分」、「避難階」という、唐突に正答で出題があるものがある事にも注意する。

◇5年分の過去問(H27、H28、R1、R2、R3)から、用語の定義の理解すべき重点事項を整理
①特殊建築物(法2条二号、別表第1(い)欄、令115条の3)
 ・原則、法2条二号に列記する用途だが、その他これらに類する用途として、別表第1(い)欄を示唆
 ・別表第1(い)欄の(2)(3)(4)(6)の各項について「令115条の3」に類する用途を規定している
 ・「令115条3」での注意事項は、「児童福祉施設等」は、令19条に定められていること
   ⇒児童福祉施設(狭義の範囲)と児童福祉施設等(広義の範囲)とは、扱いが異なること
 ・(6)項の用途(自動車車庫、自動車修理工場)に、「映画スタジオ又はテレビスタジオ」を含むこと
 ・特使建築物の定義に悩んだときは、「不特定多数のものを対象とする」という広義の原則論で推察する
   ⇒中央官庁的なものは、「事務所」であり「特殊建築物」ではない
   ⇒地域密着の区役所的なものは「特殊建築物」である
 ・ちなみに、過去問での出題事例がある「地域活動支援センター」は特殊建築物である
   ⇒令19条により児童福祉施設等に該当している
   ⇒令115条の3において法別表第1(2)項に類する用途としているので、特殊建築物である
②大規模修繕・模様替(法2条十四号、十五号)
 ・共に、主要構造部の過半の行為を示唆しており、主要構造部の理解が前提
③構造耐力上主要な部分(令1条三号)と主要構造部(法2条五号)
 ・構造耐力上主要な部分(令1条三号)は、力学上の重要性から定められており、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版などで、建築物の自重若 
  しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいい、各構造規定と関連する。
 ・主要構造部(法2条五号)は、防火上の重要性から定められており、壁、柱、床、はり、屋根又は階段などで、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚
  げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分は除かれている。
④防火性能(法2条八号)と準防火性能(法23条)
 ・防火性能は、「法2条八号」において、防火構造に必要とされる性能として定義
  ⇒「外壁」だけではなく、「軒裏」に対しても、延焼を抑制する性能を要求
  ⇒防火性能に関する技術的基準は「令108条」において定義している
   一号:耐力壁は、加熱後30分以上の非損傷性
   二号:外壁、軒裏:加熱開始後30分以上の遮熱性能
 ・準防火性能は、「法23条」において、「法22条指定区域内外壁」に必要とされる性能として定義
  ⇒「外壁」に、周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制する性能を要求
  ⇒準防火性能に関する技術的基準は「令109条の9」において定義している
   一号:耐力壁は、加熱後20分以上の非損傷性
   二号:外壁:加熱開始後20分以上の遮熱性能
 ・試験問題では、「軒裏」への対応の違いが重要
⑤延焼の恐れのある部分(法2条六号)
 ・基準となる境界線から、1階部分3m、2階部分5m以内の部分をいう
 ・基準となる境界線は、「隣地境界線、道路中心線、同一敷地内の建築物の中心線」
 ・同一敷地内の複数の建築物があり場合、500㎡以内は同一の建築物とする。
⑥避難階(令13条一号かっこ書き)
 ・直接地上に通ずる出入口のある階をいう
 ・過去問で出題事例がある「避難上有効なバルコニー」は「避難施設」として定義されている。
⑦その他の気になる重要事項
 ・R5年「No.9」で出題の設問の中にある、「強化天井(令112条4項一号に規定)」の定義に注意
 ・「防火設備(法2条九号の二、令109条、令109条の2:20分間遮炎性能)」の定義に注意
 ・防火設備には、特定防火設備(令112条1項)、防火設備、10分間防火設備(令112条12項)がある。

2023年9月2日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする